名古屋・栄の松坂屋美術館で開かれている(2月18日まで)「ミュシャ展~運命の女たち~」を見てきました。ミュシャの女性と花を描いた絵が好きな家内のお供と、ひょっとしたら以前見たミュシャとは思えない絵画に出会えるのでは、と出かけたのです。
アルフォンス・ミュシャ(1860~1939)はチェコ生まれ。19世紀から20世紀へと移り変わり、祖国を含めて民族主義の高まりや対立など激動する中で、パリやニューヨーク、プラハなどを舞台に作家活動を送ってきました。
アールヌーボーの旗手とされ、絵画をはじめ、本の挿絵と表紙、イベントのポスターや広告、装飾パネル、紙幣や郵便切手の図柄、さらには彫刻や宝石細工をも手掛け、その幅広さには驚きです。
今回の展覧会はチェコの個人コレクションからなり、水彩、油彩、鉛筆、木炭、多色刷リトグラフの作品約150点を展示。カレンダーなどで目にしてきた女性と花を描いた作品を中心に、「春・夏・秋・冬」「朝・昼・夕・夜」をセットにした装飾パネル、挿絵の原画、素描などが並んでいます。
でも、お目当ての絵とは出会えませんでした。
その絵はチェコを旅した時にプラハのミュシャ美術館で見かけたもので、夜空の砂丘のようにも見える荒野で行き倒れのように座り込んだ女性を、丘の上から3頭の狼がじっと見ている状況が描かれています。
これから起こりうるだろうことを受け入れている女性。頭上には星でしょうか、大きく広がる光の輪・・・。絵に込められたミュシャの思いを考えながら、絵に釘付けになる僕。
あまりに熱心に見ていたせいか、美術館の館長か支配人らしい男性から、「素晴らしい絵でしょ。私もそう思います」と話しかけられたものです。
旅行後に「もう1度見たいものだ」と探した時は見つけることができませんでした。
しかし、この記事を書くために改めてミュシャ作品集やネットで調べたところ、それらしい絵が見つかりました。「荒野の女」という作品です。
以前見たミュシャの作品「荒野の女」