先に教室でスケッチに出掛けた三重県桑名市の赤レンガ倉庫の1枚目です。
倉庫は桑名が生んだ豪商・諸戸清六(1846~1906)が、明治28年(1895年)ごろ米蔵として建設、倉庫の前に造った運河から出荷していました。棟続きで5棟あったそうですが、大戦末期の空襲で2棟が焼失、現在あるのは3棟です。
ここへは10年前のスケッチ会でも訪れていますので、その時とは違った視点で描いてみようと筆をとりました。1枚目は、倉庫の扉にかけられた鍵の部分。鍵というより、錠前(じょうまえ)、あるいは南京錠(なんきんじょう)と言った方がふさわしいでしょう。
豪商の倉庫という割には装飾のないシンプルな鍵を見ると、これまでに1度くらいは取り換えられたかもしれません。
それより魅力的だったのは、扉の表面の経年変化です。
扉の表面は金属のようですが、最初の色がどのようだったのかは分かりません。長い歳月と風や雨、錆、カビが描いた不規則な模様や色は、ちょっとしたアートです。
夏の日差しでできた影とともに一気に描きました。10号です。
赤レンガ倉庫。以前のスケッチ会(2007年2月)の撮影です。