リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

性格が悪いのは人間だけじゃなくて

2015年08月30日 | 日々の風の吹くまま
目が覚めて、予報通りに雨が降っているかと思ったら、あら、明るいじゃないの。雲がたく
さん散らばっているけど、空の色は青。それもどう見たって秋空の青。そういうもんなんだな
あ。夏の嵐が来て、いわば台風一過のような朝の空はだいたいが秋の色。嵐は天気の変
わり目なんだろうな。きのうの嵐では人口250万ほどのメトロバンクーバーで一時50万戸
が倒木などによる断線で停電したそうで、スタンリー公園の樹木の20パーセントが吹き倒
された2006年のパイナップル特急以来の被害。24時間経ってもまだ20万戸近くが復旧
を待っている。

整理整頓用のオーガナイザーやいろんな金具を買いに行くつもりだったけど、ラジオを聞い
ているとあちこちで停電や信号消えたことによる交通混雑があるようだし、いつどば~っと
降りだすかわからないなので、今日はやぁ~めた。その代わりというわけではないけど、リ
サイクルごみや生ごみを集めて捨てに行こうとしたら、ボタンを押してもすぐに消えてしまっ
て、エレベーターが来ない。ずいぶんと待って何とか来たエレベーターは満員。休みのはず
の管理人のシェリーが乗っていて、「今日は引越しが午前と午後にあってエレベーターをロ
ックしなければならないのに、1台がきのうの嵐で故障したの」と。へえ、閉まりかけたドアが
何度も開いてしまう性格の悪いヤツで、修理されたのが気に入らなかったのかと思ったら、
強風による建物の揺れを地震と勘違いしたらしいという話。いかにも高層マンションならで
はの話・・・。

この「イジワルなエレベーター」は住人の格好のice breaker(打ち解けるきっかけ)になって
いたんだけどな。すんなり閉まると「機嫌がいいね。かわいい子が乗ったのかな」とか、2度
も3度も途中で開いたときは「おやおや虫の居所が悪いねえ」とか、たまたま乗り合わせた
知らない人たちの間でジョークの交換。言うなれば裏口親善大使みたいなもんだったのが、
直ってしまえばタダのエレベーターなんだけど、「地震だあ~」とチキンリトルよろしくシャット
ダウンしてしまうところはさすがだな。なかなか来なくてイライラしていた人たちも話を聞いた
とたんに笑い出して、すし詰めのエレベーターの中は和気藹々・・・。

天気はまだ超がつく不安定。流れて行く雲も何だか性格が悪そうな感じだなあ・・・。

      誰かに似てる・・・?

      チョロッ・・・

☆引越しはやっぱり新しい出発

2015年08月30日 | 日々の風の吹くまま
 8月29日。引越し本番からほぼ1週間経って、やっと旧居から外して持って来た水のろ過装置を取り付けて、ついでにフィルターも取り替えてもらって、やっと飲みなれた水にありついた。逆浸透圧でろ過した水に慣れると水道の水はやっぱり何かまずい。ちょうどバーの道具が出て来たので、さっそくろ過した水で氷を作って、待ち遠しかったマティニで乾杯。調理道具もいろいろと出て来たので、夕方にカレシとスーパーへ「今日の夕飯」の買い物。カレシは久しぶりにサラダを作り、ワタシは出来合いだけどリブを焼いて、枝豆を蒸して付け合せ。ほぼ1週間にしてどうやらまともな「おうちご飯」。生活に落ち着きが出て来た感じ。寝室の外の6番ストリートは主要道路なのに夜に成ると静まり返って、住宅地なのに深夜でも騒々しかった旧居とは比べものにならない。ときどき遠くから貨物列車の汽笛が聞こえて来て、子供の頃の霧の夜に布団の中で夢うつつに聞いた汽笛の記憶が蘇って来る。霧に包まれる季節になっても「霧笛」は聞こえないだろうけど、川の見えるところで生まれたワタシ、何か人生が一巡したような感じがしないでもない。

主寝室は北東向きで、ブラインドを通して朝日が差し込むので、午前7時過ぎには目が覚めてしまう。まあ、その後1日あの箱、この箱と開けて回ったり、あれはどこだ、これはどうしたとうろうろ探し回ったり、あれがいる、これがいると徒歩1分の量販店London Drugsへ駆け込んだりで、夜中ごろには2人とも疲れ切って寝てしまうので、考えようによっては「普通」の生活リズムになっているということか。落ち着いたら寝室に遮光カーテンをつけようと思うけど、このまま「普通」の生活を続けてもいいような気もする。何よりも明るい光の中での生活がワタシにはうれしい。空を見たいと駄々をこねたのは、長年ベースメントの自然光が入らないオフィスでモグラ暮らしをして来て、知らない間に閉塞感が募っていたせいかもしれない。明るい日差しの中にいると自然に元気が出るような気がするのは、人間も植物のようにエネルギーを光合成するのかもしれない。

カレシは早々と英語教室を再開。「通勤時間」が15分ほど長くなるので、早めにランチをして、行ってらっしゃい。休業中のワタシは家事をするにも洗濯機から乾燥機、ガスレンジからオーブン、電子レンジと、使い方を覚えるものが多い。不動産売買では大型家電は家の付属物とみなされるので、マンションにも少なくとも冷蔵庫、レンジとオーブン、食洗機、洗濯機と乾燥機が発売当時からがついていて、売るときも一緒に売る。新居について来たのはサムスンの大型冷蔵庫(使い勝手が悪い)、ドラム式洗濯機と乾燥機(上に重ねた乾燥機は高すぎて踏み台が必要)、ボッシュのレンジとオーブン、食洗機、換気扇併用の電子レンジ。レンジとオーブンは40年使っていないガスなので初めはビビッたけど、実家でプロパンガスを使っていたのを思い出して「学び直し」。

掃除はルンバを走らせて、ワタシは床のモップかけ。いたるところで場所を取っていた段ボール箱がぐんと減ってスペースが開けて来ると、ワンフロアで階段がないとは言え、137平米が全部フローリングだから掃除はけっこうタイヘンと言う感じで、売主の80代の奥さんが音を上げたと言うのもわかる。ワタシはもう20年も自分の住処の掃除をやっていないから、キッチンや浴室、トイレの掃除をしようにも洗剤も清掃用具もなくて、店でもどれを買っていいのか途方にくれる始末。ハンドクリーナーとトイレブラシだけは買って来たけど、困ったもんだ。やっぱり月に一度はシーラに援軍に来てもらって、掃除の仕方をコーチしてもらわなくちゃ。

午後4時を過ぎると、カレシと連れ立ってその日の夕食の食材を買いに徒歩3分のSave-On-Foodsに行く。ときには別方向の徒歩1分の同系列のBuy-Low Foodsに行くこともある。引っ越して不便になったのは酒屋。ニューウェストの購買層はビール党が中心らしくて、ワタシの愛しのレミもハウスワインにしているニュージーランドのソヴィニョンブランもない。でも車で10分ほどの隣町のMarket Crossingというショッピングセンターに行けばまあまあの品揃えの酒屋があって、週に2日は午後11時まで営業しているし、もっと大きなSave-Onもあってニューウェストではほとんど見かけないアジア食品も手に入る。バーナビー市はバンクーバーのすぐ隣だから中国系が多いんだろうな。夕食のメニューが決まったら、カレシがサラダを作り、マティニを作って、ワタシはメインの料理。キッチンのスペースの住み分けは微調整が必要だけど、遠くの風景を眺めながら並んで食事の支度をするひと時はすごく新鮮な感じがする。カレシは荷解きや後片付けにも積極的に参加してくれて、これほど2人一緒にがんばったことってあったかなあと思うほど。でも、みんな納まるところに納まったらどうなるんだろうな。それでも窓の外一面の大きな空を眺めていると、私たちの「新しい出発」が現実になったという気がして、やっぱり胸がわくわくする。

8月17日は旧居の明け渡しの日。その前の金曜日に再度Got-Junkを呼んで、隅々まで徹底した清掃。隣のパットが貰い手のあるもの、寄付できるものを運び出してくれていたので、残っているのはほんとに「廃棄物」ばかり。二階にあった電子ピアノはパットと息子で介護ホームに運んで寄付したそうで、長いこと沈黙していたワタシのピアノも誰かに弾いてもらえると思うとうれしいね。最初の1台が満杯になって、午後4時過ぎに2台目のトラックが来た。大きな家具から小さなゴミに至るまで総量がトラック1.5台分でしめて10万円。3時間ほどで家の中はがら~んと空っぽになって、どこにいても声が反響するので、これが27年住み慣れた家だという現実味がまったくない。午後6時前、33年住み慣れた土地を後にしたけど、年が明ける頃には解体される運命にある家は、手をかけて育ててやれなかった子を見送るようなものなのに、喜怒哀楽の思い出がぎっしり詰まっているはずなのに、もう二度と見ることはないのに、少しは感傷的になるかと思ったのに、普通に玄関に鍵をかけて出て来たのは、ワタシの中ではもう過去だからかな。

翌土曜日は特注家具の検収。カスタム設計のバーキャビネットを見たカレシは「おお」と感動した様子。キッチンのカウンターの下に入れる浅いキャビネットも、オフィスに入る3本のデスクもいい出来上がり。残金を払って、後は火曜日の搬入を待つばかりで、エレベーターの予約も確認済み。2人のライフスタイルと部屋の間取りに合わせてカスタムサイズ/カスタム設計で新調した家具はしめて400万円。予算を大幅にオーバーしたけど、40年遅れの「嫁入り道具」だと思えばいいかな。

明け渡し前日の日曜日には不動産エージェントのポールがみごとな胡蝶蘭の鉢を抱えてやって来た。旧居の鍵を引き取るのが目的で、明日17日の正午にポールが買主とそのエージェントに旧居で会って鍵を渡せば家の明け渡しが正式に完了。キーチェーンにつけておいた玄関と裏口の鍵の他に、集めておいた予備の鍵数本、ガレージドアのリモコン、防犯装置のコントロールボックスの鍵とリモコンをビニール袋に入れて、はいどうぞ。あっけない感じもするけど、もう新しい暮らしが始まっているんだもの。ワタシの前には「新しい出発」がある。川の流れと同じように人生は前にしか進まないもの。

8月18日。特注家具の搬入が終わって、私たちの引っ越し大作戦にピリオド。一番大きいバーのキャビネットは環境を変えたいと言うワタシのたっての願いを抵抗しながらも叶えてくれたカレシへのプレゼントのつもり。下はお酒を入れる戸棚とワインラックで、上はビターやグラスなどを置く浅い棚の組み合わせで、高さは2メートルちょっと。隣接するカウンターの下にはワタシの小皿コレクションを入れる浅い戸棚をはめ込んで、収納場所を確保・・・。

[写真] [写真] フリーザーや食品庫を置いて、カレシの室内園芸設備も入れたデンをキッチンの延長として物理的ダイニングエリアから隔離するために、バーをリビングとキッチンカウンターの間に斜めにはめ込むことを思いついたわけだけど、結果として視覚的にもリビングとダイニングがひとつのエリアとしてまとまった生活空間になったような感じがする。Bekinsと入れ替わりにマイクが持って来てくれた本棚はリビングの奥に置いて、そのうちに買うことになっているテレビの置き場所。ソファに座ると窓の外に見える建物はほぼ屋根だけになっていい。

[写真] 最後の目玉は何と言ってもオフィスのデスク。移動できるコンピュータデスクを持って来たカレシには袖に引き出しのついた長いデスクひとつ、ワタシは短いコンピュータデスクと2人のスペースを分け隔てる長いデスクの2つで、これまでとだいたい同じL字型の作業スペースをくっつけて全体にT字型にしたレイアウト。変わったのは2人の距離が近くなったということだけ・・・。

[写真] けっこう汗をかいた後は、いつもハッピーアワーのカレシバーが開店。自分専用のカスタムオーダーの「バー」の主になったカレシはえらくご満足のようで、いそいそとマティニを作る準備。横のカウンターの端に製氷機があれば申し分なしと言うことで、落ち着いたら小型の家庭用製氷機を1台買うことにした。それにしても、どんだけのんべえな2人なんだろうと思われてしまうかもしれないね。

新居での生活も3週間が過ぎ、家具も全部揃って、段ボール箱の「長城」もほぼ姿を消して、やっと日常のパターンが固まって来た感じがする。同時にたまっていた疲れが出てくるのか、あるいは『ウサギとカメ』のウサギみたいなもんで、ここまで来たらもう大丈夫という気になるのか、ついついだらぁ~んとしてしまいがち。でも、またぞろ中途半端なまま年月が経ってしまいかねないから、ここでちょっと気を引き締めておかないと・・・。

[写真] 晴れた日には遠くに万年雪を戴くベーカー山(標高3286m)が・・・。


☆引越し大作戦の胸突き八丁は引越し(2)

2015年08月30日 | 日々の風の吹くまま
8月29日。いよいよ本番の8月。まずは納品された家具第1陣の検収。ソファや椅子、食器棚、本棚を含めて16品目、全部で24点をひとつひとつチェック。「ほんとに全部収まるの?」とカレシ。まったく家具のない部屋は実際の広さよりも小さく見えるそうで、不動産屋がよくステージャーという業者を使って家具を配置するのは「すてきなインテリア」を演出するための他に「狭い」という印象を与えるのを防ぐ目的もある。ま、書き込んだ間取り図に全部ちゃんと収まっているから大丈夫。嫁入り道具を持たずに海を渡って来て、カレシと一緒に暮らし始めて40年。やっときちんとした家具を持つことができた。シンプルな直線のデザインが気に入ったんだけど、素材が国産の無垢材だからどっしりした安定感がある。全体を同じデザインで統一したのは正解だったな。リビングとダイニングでは仕上げの色が違うけど、間に置くソファの色がつなぎ役になって、わりとまとまっていると思う。考えると新品のソファを買ったのは初めてだし、食器棚も飾り棚もコーヒーテーブルもナイトスタンドも引き出したんすも、完成品を揃えたのは初めてだから、何だかちょっぴり新婚気分・・・。

Bekinsからの連絡で、作業日程は4日に午前8時半から荷造り、5日は午前10時から家具の引取りと搬入、6日は午前8時から引越し本番という確定。秒読みに入ったから、荷造りと処分品の仕分けに本腰を入れる。ひとっ所に30年近くも根を生やしていると、ほんとに呆れるほどモノが「堆積」するもんだな。でも、収納スペースが足りない、足りないと言っていたわりにはどれもちゃんと置き場所があったわけで、いったいどれだけの床面積がガラクタに占領されていたやら。最後になってベースメントにある古い本棚の解体作業。はしごのようなフレームを棚板で支える機能的なもので、ワタシがまだ独身で実家住まいだった45年近く前に三越で見つけて買ったもの。衣類などと一緒に船で送ってもらったから、嫁入り道具の家具があったとしたらこれが唯一のものかな。長い間に何度かの引っ越しで解体しては組み立て直したけど、未だにしっかりしていて、新居ではカレシの希望でメディアルームの主役になる。夕方に辞書類を引き取ってくれた同業の友人夫婦と食事をしたついでにペンキ塗りと照明器具の取替えが済んだ新居を視察・・・。

[写真] ダイニングとリビング
[写真] ダイニングエリアとキッチン
[写真] 主寝室
[写真] メディアルーム兼客用寝室
[写真] 園芸ルーム/キッチンエクステンション

8月4日。午前7時半に目覚まし。8時半、Bekinsの荷造りチーム2人がやって来て、ものすごい勢いで箱詰め作業。正味5時間の作業で、本棚にぎっしり詰まっていた120冊くらいの革装丁の本も、食器やグラス類が並んでいたキッチンの戸棚も、カトラリーや料理道具の詰まっていた引き出しも、旅行の記念品を飾ってあった戸棚も、これもお願いと出して来た小さい家電の類も、すべて箱詰めにして、あっという間に段ボールの壁・・・。[写真]

8月5日。新調した家具を家具屋の倉庫から搬入。午前10時にコクィットラムにあるCreative Home FurnishingsでBekinsのトラックを迎える予定で、午前8時30分に目覚ましをかけておいたのに、カレシに起こされて目が覚めたらもう9時30分。就寝が午前2時だったから、疲れすぎて目覚ましが鳴っても目が覚めなかったらしい。あぁぁ!猛烈な勢いで身支度をして、朝食代わりのサンドイッチをトートバッグに放り込んで、車を飛ばすこと25分で店に到着。ところがトラックが迷子になって30分送れて到着。数が多いから積み込むのに3時間かかって、一足先に車をぶっ飛ばして新居へ。トラックの到着を待って、エレベーターをロックしてもらって、引越しの始まり、始まり・・・。

[写真] リビングの家具
[写真] ダイニングチェアと陳列キャビネット
[写真] 主寝室のプラットフォームベッドとたんす

8月6日。いよいよ27年住み慣れた家からの引越し。起床午前7時半。8時に大型トラックが到着。朝食の暇もなく積み込み作業開始。積み込みがほぼ完了した午後12時半、一足先に新居へ。トラックの到着は午後1時過ぎ。ランチの暇もなく家具や大量の段ボール箱の搬入作業を指図。すっきりしていた新居があっという間に段ボール箱の山・・・。

[写真] 段ボール箱の大長城
[写真] どこを見ても箱、箱、箱

8月7日。新調した「ヘブンリーベッド」で泥のように眠った新居の第一夜が明けて、さっそく荷解き作業を開始。午後、電話会社のテクニシャンが来て新しい電話番号とネット接続の設定。ところが何かおかしい。翌8日はカレシの誕生日だったのに、朝から電話会社のサポートとああだこうだで潰れてしまった感じ。一応復旧したけどまだ不安定。光ファイバーと折り合いが悪いとめぼしを付けてさんざん掛け合った末、4日後に電話会社がルータを取り替えてくれてネット接続が安定。カレシはストレス過重でで十何年ぶりかの口唇ヘルペス。でも、引越し大作戦6ヵ月で、どうやら新しい我が家での暮らしが始まった。


☆引越し大作戦の胸突き八丁は引越し(1)

2015年08月30日 | 日々の風の吹くまま
 8月29日。新居となるコンドミニアム(日本語で言う「マンション」)の引渡し日の7月21日、期限の正午に着いてみたら、正面にトラックが2台止まっていて引越し荷物を積み込んでいる最中。ポールと売主のエージェントのピーターがロビーで待っていて「法的には正午が退去期限だけど、荷物の運び出しが遅れているんだよ」。ま、キム夫妻は私たちよりもずっと高齢だし、引越し業者着が遅れたのかもしれないし、ガラクタを残さずに明け渡してくれたらそれでいいんだけど。ロビーで世間話をしながら待つこと30分。娘を伴ったキム夫妻が降りて来て、「終わりました」と2本の鍵(玄関ドアと郵便箱)がついたキー・フォブ2個。この認証用フォブがないと玄関の中に入れないし、エレベーターで上がれないし、住人専用の駐車場やゴミ捨て場にも入れない。めんどうでもあるけど、出かけるのにいちいち防犯アラームをセットして60秒以内に外へ出て、帰って来たら30秒以内に解除して、という手間に比べたら楽なものかな。これが「マンションは鍵ひとつで出かけられる」という利点なんだろうな。

まずは駐車場への乗り入れ方を覚えて、割り当てのスポット(2台分)に止める。駐車場は地上階と地下1階が一般有料駐車場で、フォブで開閉するゲートを通った地下2階と3階がマンションの住人専用。(地下一階のゲートの外には訪問者専用のスペースもある。)私たちの部屋に割り当てられた駐車スポットは地下2階で、ゲートからランプを回ってすぐのところでエレベーターもすぐそこ。どうやら高層階の広いユニット(つまりはお高いユニット?)から優先的に便利なスポットを割り当てたらしい。向かいにはベンツが4台も並んでいて、トラックとエコーだとかえって目立ちそうな感じ。「自転車置き場」と書いた(自転車のない)ところにはケージのような専用ロッカーがあって、その大きさも各戸の床面積と連動するらしい。小町横町で日本のマンションの居住階による住人の階層化などを論じていたけど、こんなところに微妙な「差別」が潜んでいるってことかな。

次はエレベーターの使い方を覚えて(ピッと当てて居住階のボタンを押すだけだけど)、23階へ。ポールに促されてカレシが鍵を開けて一歩中に入ったら、がらぁ~ん。お願いした通りにすっかり空にしてくれていた。もちろん床はごみだらけだけど、そこは引越し前に掃除すればいい。でも、キムさんは「掃除費用を請求してください」と言い残して行ったそうな。それほどの汚れじゃなさそうだから払ってもらわなくてもいいんだけどね。コンセントなどの位置や要所の寸法を間取り図にマークして、写真を撮る作業に1時間ほどかかったけど、家具も何もなくてがらんとしているせいで、話し声や窓の外の音が室内に反響して「我が家」と言う実感はわいて来ない。まあ、これから5年、10年とかけて「我が家」にして行けばいいわけだけど、カレシはさっそくinstitutional whiteと揶揄される当たり障りのないくすんだ白一色の内装に気が滅入ったと文句。曇り空だったからよけいに陰鬱に感じられたのかもしれない。

こうして私たちはめでたく?ニューウェストミンスターはアップタウンのマンション23階の角部屋の持ち主になったわけだけど、引越し予定の8月6日までにやることは山のようにあって、ほっとしてはいられない。コントラクターのマイクとペンキ塗りや照明器具の取替えの入居準備の打ち合わせがあるし、管理会社関連の事務処理もあるし、まだまだ荷造りもたくさんある。管理会社のウェブサイトに「所有者/居住者」として新規登録して、引越し当日のエレベーターを予約。引越し本番の6日は「入居」(手数料100ドル)、前日の5日に「家具の配達」(手数料なし)として、それぞれ正午から午後4時までを予約。午後は転送願いの用紙をもらいに郵便局へ。最大どのくらいの期間転送してくれるのか聞いたら、「1年間ですが、今キャンペーンで1ヵ月無料で延長して13ヵ月です」。は?昔はごり押しの賃上げ要求で1ヵ月以上もストをやって、メールがなかった頃に国中が迷惑したもんだし、民営化したらしたで儲からないと戸別配達を廃止することにしてヒンシュクを買っているカナダポストが販促キャンペーン?ま、それでも1回の通知でクリスマスの時期をカバーできるからいいか。

秒読み段階になって来て、カレシもやっと時間とエネルギーに限りがあるとわかったようで、フランチャイズで廃品回収業を展開しているGot-Junkを呼んで、かなりのゴミを撤去してもらった。何でも自分でやりたがる気持はわからないでもないけど、ここは「住居移転」という大プロジェクトを完遂するための手順をいかに効率的に組むかという課題を最優先しなければならないので、自分の力を試している場合じゃない。そういうことで、入居準備の作業のうち、主寝室のバスルームの改装は管理組合の許可が必要だとわかったので、マイクにはペンキ塗りと照明器具の取り替えから始めてもらい、引越し業者Bekinsのベニーには8月4日に梱包チーム派遣を依頼。マイクがフォブを借りに来たついでに古いキッチンの戸棚を外してくれた。買主の許可を得た上のことで、安っぽいパーティクルボード製だけど積み重ねれば即席の食料庫になるという胸算用。マンションと言うところは収納場所が足りないのが難点・・・。