リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

旅の空から~アラスカ州コディアク

2024年09月20日 | 日々の風の吹くまま
9月19日(木曜日)。🌤☀⛅。一晩中かなり揺れていたけど、8時過ぎに目を覚ましたら静か過ぎて拍子抜け。とっくにアラスカというか西半球で最後の寄港地コディアクに着いていて、ベランダのすぐ外に大きなはしけが横付けになっていて、どうやら燃料の給油の最中。Silver Novaはハイブリッドエンジンを採用しているから燃料はそれほど要らないかもしれないけど、それでもコディアクを出たら日付変更線を越えて東半球の釧路に着くまで、陸地は影も形もない日が続くんだから、燃料だけじゃなくて食糧もたっぷり補給しておかないとね。



コディアクは辺境アラスカのさらに辺境にあるという印象だったけど、人口は6千人近い、アラスカで10番目の都市で、アメリカ沿岸警備隊と海軍の施設がかなりある。アメリカが帝政ロシアからアラスカを買収するまでは、18世紀末にラッコの毛皮を求めて住み着いたロシア人がパブロフスカヤ・ガワンとしてロシアの植民地の首都にしていたところで、今でもロシア正教の信者が相当数いるそうな。(北海道にもロシア人が住み着いていた形跡があるそうで、思いがけないところにロシア正教の教会が残っていたりするらしい。)朝食の後でカメラを持って10階デッキに上がったら、貨物の荷揚げ施設らしい埠頭にバイキングのクルーズ船が停泊していて、後ろにそそり立つ山の上にはウィンドタービンが6基。コディアクの電力需要の相当な部分をまかなっているんだそうで、かなり進取の風潮があるところと言う印象。



コディアクでのツアーは野生動物の観察などの自然に親しむのが目的のエネルギーが必要そうなものが4つあるだけで、毎日キャビンに届く船内の情報誌『Chronicles』を見ていたカレシが、「市内と港のツアーはいいな」と言うので、残念でした、ツアーのチケットは全部売り切れ。自分でテンダーに乗って行って街を歩いて来る手があるけど、どれほどの見所があるのかな。そもそもツアーの予約がオープンしたときに、ケチカンから(後でキャンセルになった)ダッチハーバーまで寄港地全部でこれはと思うツアーを予約してあったのに、カレシがアラスカには興味がないとか、山の中を歩き回るのは嫌だとか言うから、ケチカンとシトカを除いてそっくりキャンセルしたんだから(スカグウェイは予約しなおしたけど)、今さらツアーに行きたいなんて言っても遅いっつうの。


スシとビールのランチ

キャビンでアメリカーノをいれて・・・

午後3時頃、10階デッキのプールサイドで午後4時から太平洋への船出を祝うパーティがあるという船内アナウンス。午後4時はコディアク出港の時間で、ホスピタリティ部門のスタッフの発案で予定にはなかった「出帆パーティ」をすることになったらしい。おもしろそうだから4時ちょっと前に行ってみたら、うは、かなりの人がシャンペングラスを片手に即席のバンドの演奏を聴いたり、踊ったり。船が動き出す4時にはクルーズ・ディレクターのJPが挨拶して、日本語で乾杯の音頭を取って、みんなそろって次の寄港地である釧路までの楽しい太平洋横断の旅を願っていっせいに「かんばぁ~い」の大合唱。次いでDJのリオがバンドを指揮してダンスパーティ。最初は10人くらいだったのが、周りの人を引っ張り込んでいるうちにみんな大いにノリノリ。ワタシもエキサイトして生まれ故郷に行くのよぉと踊りまくり。スタッフの1人がワタシの携帯でカレシとワタシが踊っているところをビデオに撮ってくれて、楽しい思い出の記録ができちゃった。ちょっと(年甲斐もなく)はしゃぎすぎかもしれないけど、さよなら、コディアク!うん、いい運動にもなった・・・。


夕日に赤い帆じゃないけど・・・


旅の空から~波高き北太平洋を西へ

2024年09月20日 | 日々の風の吹くまま
9月18日(水曜日)。☁⛅🌤。きのうは何だか疲れて早くに寝てしまって、最初に目が覚めたのが6時過ぎ。シトカ湾から北太平洋のアラスカ湾に出たせいか、ひと晩中かなりの揺れて、おまけにキャビン全体がギシギシ、ガシガシ、カリカリとけっこううるさい。それでも、波の上の揺れは、ときどき大きな波にぶち当たってドンっとつまずくような衝撃があるけど、だいたいはゆらゆらした感じなので、いつの間にかまた眠りに落ちて、次に目が覚めたら7時過ぎ。今日はどこにも寄港しない(寄港するところがない)ので、1日中ひとかけらの陸地の影さえ見えない、まさに大海原のど真ん中と言う感じで、つい「Where the ocean meets the sky, I’ll be sailing」とロッド・スチュワートのRhythm of My Heartを口ずさんでしまう。どこまでも果てしないと大空が1本の細い線を挟んでどこまでも果てしない大海原と出会うという光景は、ワタシにとっては幼い脳裏に強烈に焼き付いた最初の「意味のある風景」として、その後のワタシの世界観に大きな影響を与えた原風景と言えるもの。妹が生まれて母が手いっぱいだった頃(ワタシは3歳半くらい)に父がよく散歩に連れ出してくれて、特に晴れた日にはジャガイモ畑の外れの崖っぷちに手をつないで立って、太平洋を見ていたんだけど、ある日父が横にまっすぐな線(地平線)を指さして、「あの線をくぐって行くとこことは違う世界がたくさんあるんだよ」と言ったのを驚異として受け止めた記憶がある。その頃のワタシはまだ「世界」が何であるかも理解できていなかったはずだけど、あの線の向こうにはわくわくするものがあるんだと感じたんだろうな。ロッド・スチュワートの歌をもじるなら、「大海原が大空と会うところ、そこがワタシの宇宙」(Where the ocean meets the sky, it’s my universe)となるかな。父はワタシの人生の最高のメンターだった。うん、来年は父が人生を終えた年齢に追いつこうというワタシだけど、きっとこのままずっと「お父さんの子」でいるんだろうな。


寄港地のない日は教養講座で・・・

のんびりと写真の整理を試みて、おなかが空いたら今日のランチは(高級)和食レストランKaiseki。メニューに「とんこつラーメン」があるので、普通のラーメンを想定して注文したら、「寿司はどれにしますか?」と来て、はあ?「前菜ですから量は少ないですよ」と言うので、そっか、ラーメンは「前菜」のスープなのか。それじゃあと、ワタシはたこロール、カレシはレインボーロールを注文したら、「それだけでいいんですか」と来て、そっか、巻きずしを好きに組み合わせるようになっているのか。でも、船が出て以来ずっと食べ過ぎの感があるから、今日はそれで十分。ということで、出て来た「ラーメン」を見てなるほどとナットク。脳内にしみついているラーメン屋のてんこ盛りのラーメンのイメージとは大違いで、いやあ、こんなお上品なラーメンは初めて。でも、麺はごく普通の中華麺だったけど、スープは薄味でおいしかった。次いで出てきたスシロールは、あはは、小さい輪切りが3個。いやあ、お上品もここまで来ると・・・。


これがとんこつラーメン

夕食を出すレストランは8つあるけど、そのうち5つは予約制で、うち3つはけっこうお高いカバーチャージがかかる。パッケージの料金にはクルーズ会社が決めるonboard creditと言うアカウント(私たちは今回300アメリカドルずつ)が含まれていて、ブティックで買い物をして、有料のレストランやプライベートなツアーを利用させるのが狙いのようで、言うなれば船内でのお小遣いの前払いということだけど、返金されないので「使わにゃ損損」。出発の半年前くらいになって空室を埋めるためにExpediaなどに激安で売り出されるパッケージに1000ドルなんてお小遣いが付いて来るのは、クルーズ慣れしていない人たちに「お得感」を持たせると同時に割引の幾分かを取り戻すしくみになっているからだろうと思う。でも、私たちには超高級ブランド品は縁がないし、ツアーはパッケージに含まれる(ベーシックな)ものを選んでしまうので、使い道はプレミアムWiFiと長めのクルーズなら洗濯の料金くらいなんだけど、今回は(少し高いキャビンにしたせいか)どっちも「無料サービス」になっているので、残るはレストランくらい。それで今回は和食のKaisekiとフランス料理のルレ・エ・シャトー会員La Dameに予約を入れて、さらにレストランでソムリエに声をかけられたイベント(ワイン・ペアリング)に申し込んで「前払い分」はめでたく使い切り。ビジネスってのは一種の狐の化かし合いのようなもんで、上手に化かされて上手に化かせられたらWin-Win。

午後も深まって来ると、今日はどのレストランに行こうかと言う話になって、10階デッキのレストランMarqueeの中にあるSpaccanapoliでピッツァでも食べようと思ったけど、そこはほぼ吹き曝しなので、地中海かカリブ海にでもいなければ寒すぎて、ピッツァとビールなんてのは年寄りの冷や水の最たるもの。ということで、3階デッキのけっこう気に入っているS.A.L.T. Kitchenのメニューが変わったからそっちにしよう。(となりのAtlantideと交互に行っている感じだけど・・・。)窓の外で砕けるすごい波しぶきを見ながら、前菜はカニの足、メインはワタシは(今夜のスペシャルの)メルルーサ、カレシはパンをボウルにしたシーフードチャウダー。カリフォルニアの白ワインはまあまあよりちょっと落ちる感じだったけど、メルルーサはおいしかったし、取り合わせに選んだ和風きのこライスはいい味の「炊き込みご飯」。デザートは?と聞かれたとたんにダイエット志向はまたもや雲散霧消して、ウォッカでマリネ―としたイチゴのパンプディング。帰りに5階デッキの船尾のラウンジで食後酒のコニャックを1杯。今夜も船は揺れそうだなあ・・・。


温室育ちのパン?