【いくつになってもアン気分】

 大好きなアンのように瑞々しい感性を持ち、心豊かな毎日を送れたら・・。
そんな願いを込めて日々の暮らしを綴ります。

小説が運ぶ危険な香り

2010-09-17 16:32:17 | A・クリスティーの館


   起床時は一点の雲もない空。
  カラッと晴れ渡った天気になりました。

   日中はまだまだ暑いけれど、
  もうすっかり秋ですね。

   照り付ける太陽にも夏とは違う
  独特の秋の匂いを感じます。

   いつか秋には匂いがないと
  申しましたが、いいえ、いいえ・・。
  どうやら失念していたようです。

   さて三島由紀夫の 『豊饒の海』。
  後、まだ残り2巻残っています。
  とは言え・・。

   大層面白いのですが、この本を
  書き終えた後、例の自裁(1970)が
  ありますから、小説の中にどうしても
  氏を投影して見てしまうのです。

   透明で純粋な魂。それ故に・・
  そんな息苦しさを払拭するお口直し? の1冊には、やはりアガサ・クリスティー。
  
   例の短編、「火曜クラブ」 の続きを・・となった次第です。
  ここでの謎解きはポアロではなく、ミス・マープル
  どうやら、この 「火曜クラブ」 の13の事件から初登場のようです。

   ここで又々、発見。
  【電車での化粧】 に続き、今盛んに世間を騒がせている、
  家族の年金搾取問題も登場しているではありませんか。

   かれこれ7、80年前の小説ですのに、ちっとも古くない・・。
  小説の偉大さを思います。
  
   それにしても、イギリスではこんなに古くからこのような事件が起きていたのですね。
  いずれも日本では、100年近くも遅れるような良い国でしたのに。

「(中略)・・・あの人は、3人のおばあさんの名義で、
あちこちの教区で養老年金をただどりしていましてね」
「複雑巧妙な犯罪のようですな。(中略)」
「(中略)・・・世の中にはひどく貧しい一家もおりますのよ。
その養老年金が子供たちにとっては、
大変な有り難みを持っていたんですわ。
他の社会層の方にはなかなかお分かりにならないでしょうねえ。
・・・(中略)」
     ~アガサ・クリスティー 『火曜クラブ』 より 「2人の老嬢」
 

死のハーブ

2010-09-04 16:09:16 | A・クリスティーの館






   目にする光景は、いつの間にか秋色になって来ていますのに、
  相変わらず気温だけは、猛暑日が続いています。

   それは、これからも続き、向こう10日まで真っ赤な晴れマークがズラリ。
  しかも最高気温は36度。目が点になり言葉もありません。
  この猛暑の原因は、エルニーニョと偏西風なのだそうですね。

   さて今日は、何とも物騒なタイトルになってしまいました。
  こんなに暑いものですから、ちょっと背筋の凍るような話でも・・
  ~なんて思った訳ではありません。(いいえ、少々思ったかも)

   冒頭の写真にもありますように今、
  我が家の庭ではセージが盛りです。
  
   この暑さですのに、ものともせず、
  勢い良く咲くセージを眺めていますと、
  イギリスの諺(ことわざ)にもある、
  「セージが庭にある家に死人は出ない」
  ~の言葉を思います。

   旺盛な繁殖力もそうですし、
  セージには実に様々な効用が
  ありますものね。
  
   実際に私も毎朝お茶にしたり、
  パンの間にハムと挟んだり・・。
  
   ローズマリーと共に、
  欠かせないものの一つとなっています。

   それにしても思い出すのは、
  アガサ・クリスティーの、
  そのものズバリ、「毒草」 という作品。
  (「火曜クラブ」 の中に収められている短編です)
  
   以前にもこの短編の事は記した事がありますが、
  もう一度、本棚から引っ張り出してみました。
   
「(中略)ある日、誰かが手違いから
(でも手違いにもほどがあるって、私、つくづく思いますわ)
ジギタリス の葉を沢山 セージ に混ぜて摘んだんです。
晩餐のお料理の鴨の中にこれが詰め物になっていましたの。
お陰でみんなひどい中毒を起こして、
可哀想にお嬢さんが1人――」
ジギタリス、別名狐の手袋というのは
心臓に影響するんですよ。
ですからある種の心臓の特効薬になっていましてね。
非常に奇妙なケースですな、これは。(中略)」

「(中略)庭の一隅に、ジギタリスセージ とすっかり
ごちゃまぜになって生えている所がありましたから、
間違ったとしても、まあ、無理はなかったのです」 
                   ~アガサクリスティー 「毒草」 より         


   尤も、小説の中では故意にジギタリスの葉っぱを入れた訳ですが、
  私なんかも最近ではつい、“この葉っぱは大丈夫?” ~なんて思ってしまいます。

   我が家の場合、蔓日々草(全草毒)を植えている場所からは離れていますので、
  問題ないと思うのですが、やはり怖いですものね。

   今日のお茶は、紅茶プラス、セージ、ローズマリー、オレガノのブレンドです。
  香りに、ローズゼラニウムの葉っぱを散らして。
  
   テーブル代わりの壺は、珍しく和製ではなく、イタリア製の薔薇の絵柄の物を。
  中には文庫本がぎっしり詰まっています。

読書は心のスパイス

2010-08-11 16:36:16 | A・クリスティーの館


   台風北上中、しかも昨日は
  1日中不安定な天気。

   こんな風(ふう)ですから、
  てっきり曇天の空・・
  と、思って起き出した今朝。

   意外にも写真のような青空です。
  思わず緩む頬。

   おまけに室内と室外の気温の
  差は、ほとんどありません。
  何だか得した気分。

     尤もそれは朝早い時間だけで、
    午前9時半には30度を越えてしまいましたが・・。

     でも早い時間だけにしろ、爽やかな空気の下で
    雨粒の宝石を目にしたり、木陰の爽やかさをしばし満喫。
    
     ここでは、今日1日の元気を貰った気分です。
    そうそう、こんな光景も・・。

     “・・・略・・・庭には涼しい木陰が
    あちこちにあり、黄金色の光が、
    ゆらゆら揺れていた。”

                                       【「アンの青春」 第17章】


【オレガノの花&ティーカップ】

     さて、シドニー・シェルダン作 「時間の砂」(上下巻)は、
    あれからほどなく読了。

     歴史物は、漢字の読みに四苦八苦して時間がかかりますが、
    さすが、この手の小説はスイスイ。

   スペインの民族対立も扱っていて、
  1国に複数民族が暮らす国家の困難を考えさせられます。

   国境のない世界、地球市民等など・・言葉は優しく、ある意味理想ですが、
  対立は必然ですものね。世界のあちこちで紛争は起きています。
  
   幸い単民族国家の日本。島国という恩恵も受けています。
  これまで内紛はありませんでしたが、
  果たしてこれからはどうでしょう。日本の行く末を思います。
 
   ~なんて話はこの位にして。やはり私は、こちらが落ち着きます。
  今回は、アガサ・クリスティー作 「ゴルフ場殺人事件」。

   事件とは何の関係もないのですが、その中のある1つの描写を記して置きます。
  所謂(いわゆる)、電車の中でのお化粧です。

   今の日本でも日常茶飯事ですが、この小説が書かれた、
  およそ100年前の日本では、あり得ませんでしたものね。

 「あらら、大変!」 と、少女は叫んだ。
「あたし、白粉のパフどこへやったかしら?」
彼女は、こってり白粉を塗り付け、
小さな手鏡で出来栄えを見ながら、口紅を付けた。
人前をはばかる様子は全然ない。
「ね」と、私は遠慮がちに言った。
「失礼だけど、なぜ、そんな事をするの?」
少女はちょっと化粧をやめて、さも驚いたように私を見つめた。
           ~アガサ・クリスティー 「ゴルフ場殺人事件」 より

         

緑陰と炉辺の読み物

2010-07-27 15:51:25 | A・クリスティーの館


     連日の猛暑が続きます。
    ただ気温は同様ですが、今日は若干、ましかも知れません。
    とは言え、暑さに何ら変わりはありませんが・・。

     ところで、朝6時のNHK FMの 「バロックの森」 から
    ずっと付けっ放しにしているラジオから流れて来たのは、
    「かもめの水兵さん」。

     可愛い歌声に、
    思わず暑さを忘れて聴き入ってしまいました。
    同様に暑さを忘れる読み物と言えば、ミステリー&スリラー。
    
     先日のアガサ・クリスティーの短編集は、読んでいたものもありましたが、
    暑さで何となく気分の集中しない中では、ピッタリだったような気がします。

   それにしても、
  モンゴメリーとクリスティーの
  共通点を改めて発見。

   こんな短編では良い意味で、
  凝縮されますから如実に
  感じるのかも知れませんね。

   例えば、こんな表現。
  「頭のてっぺんから
  爪先まで・・」
  「崇拝者」、「分別のある人間」
等など・・。

   思わず訳者に目を走らせたものですが、様々な方。
  おまけに前から申していますように、お茶のシーンや銀食器なども。
  
   暖炉と安楽椅子は当然のように、私の大好きなレースも、ふんだんに出て来ます。
  それにしても大層優雅な格好をして編み物なのですね。
  と言う訳で、もう1度私は出口保夫(でぐち・やすお)著 「イギリスの優雅な生活」を。 

・・・ 略 ・・・
彼は、どっしりした、大きな 安楽椅子 にしゃんと座っている、
伯母の方を 暖炉 越しに見やった。
ミス・マープルは、腰回りのきゅっと緊まった黒い綿織の服を着ていた。
メクリン産の レース飾り が、上衣の前の処で波形に垂れていた。
又、黒い レースの長手袋 をはめ、黒い レースの室内帽 が、
束ねられた真っ白な髪の上に乗っていた。
彼女は編み物をしていた ――
             アガサ・クリスティー 「火曜の夜のつどい」 より
        
     

午後のお茶はミステリアス!

2010-06-28 15:51:15 | A・クリスティーの館



   今日は意外や意外、
  青空が出ています。

   しかしながら朝の
  湿度は、ゆうに70%を越え、
  まさに蒸し風呂状態。

   さすがに午後には
  下がりましたが・・。
  (60%ちょっと)

   そんな中で、
  (先日から記していますが)
  半夏生の白や、一頃より青色をより増した紫陽花が
  一服の清涼剤になっています。


     さて、合間、合間に読み進めていました、
    アガサ・クリスティー作 「スタイルズ荘の怪事件」、やっと読了。

     二転、三転する犯人像にまたもや翻弄され、真犯人はハズレ。
    結局、今回は一番犯人らしい人物に納まりました。
    
   クリスティーにとっては逆に、
  これが意外性なのかも知れませんね。

   でも、今になって思いますと、
  処女作という事を鑑(かんが)みれば、妥当だった・・・

   いいえ、ポアロの口癖である 「灰色の脳細胞」 を駆使しても、
  それ以上に衰えている私の脳細胞では、とんと分かりません。










 
【エメラルドグリーン → グリーンに】

   




   それにしても、今回も英国の古き良き時代の上流階級が舞台です。
  その中で、やはり興味をそそられるのは、
  さり気なく触れられる午後の紅茶。
  尤も、珍しく珈琲とココアも登場して来ましたけれど。

   そして、ほとんど描写されていませんのに、
  「スタイルズ荘」 というお屋敷が、
  なぜかイメージされてしまうのです。

   それに続く森の小径までも・・。
  クリスティーの魅力は、こういう点にもあるのでしょうね。

   次の本は、さすがに・・クリスティーは、お休みです。
  久し振りに歴史物でも・・なんて思っていましたら・・。

   主人から宮部みゆきの 「魔術はささやく」 を勧められました。
  とても面白いからと。これもミステリーです。
  でも、その前に挿絵が美しい上の本で一服。(「ウィーン四季暦」)

   ところで、今日も 「マロウティー」 です。
  ミステリアスにその色を変える、このお茶は、
  やはりミステリーにピッタリですね。


   初めはブルー(エメラルドグリーン)のお茶も、
  時間の経過と共に美しいグリーンに。
  これぞ、本物のグリーンティー・・なんて。   

セピア色の魅力

2010-06-15 15:57:15 | A・クリスティーの館


   天気予報では、今日は朝から雨・・との事でしたが、起床時には太陽も。
  尤も、それは長くは続きませんでしたが・・。

   今日は、いつ降り出したのか分からないほど、静かな雨。
  ふと気付くとやんでいたり・・。又、降り出したり。

   そうそう昨日の花菖蒲、意外にも今日も同じ姿で佇んでいます。
  細い剣のような葉っぱの間から大きく花開いた姿は、申すまでもなく優雅ですが、
  雨に打たれ、今日のように少しだけ綻んだ立ち姿も、風情があってなかなかのものです。

   ところで昨夜はサッカー、日本頑張りましたね。
  その前日の “はやぶさ” の帰還と言い、何だか希望が見えて来たような気がします。
  次のオランダ戦が、楽しみになって来ました。

   さて、相も変わらず、
  クリスティー物に、ぞっこんの私。

   とは言え、合間、合間の読書。
  なかなか前に進みません。

   かなり長編ではあるのですが、
  やっとの事で 「もの言えぬ証人」 を
  読了しました。勿論、音読です。

   以前にも記しましたが、
  ヴィクトリア調の雰囲気たっぷりの
  彼女の本は、読んでいてなぜか落ち着きます。

   そしてこれも、もう何度も記していますね。
  ちょっと古風な、格調高いとも言える、登場人物の美しい言葉。
  今日のタイトルでもある “セピア色の魅力” とでも言いましょうか・・。
  
   心を捉えて離しません。
  音読しているからこそ、それは余計に感じるのかも知れませんね。

     この小説のタイトル、「もの言えぬ証人」 とは、
    テリア犬 “ボビー” の事。
    ( 【先日】 のブログ記事、表紙の写真でも登場していましたね)

   巨額の財産を持つ老婦人、エミリーから命の危険を訴える手紙を受け取ったポアロ。
  しかもそれは、一介の付添婦に全財産を渡すという遺言状を残し、
  彼女が死んだ 2ヶ月後の事だった・・。

   どこから見ても完全な病死。
  しかしポアロは、その何日か前に、愛犬 “ボビー” が、
  階段に忘れたボールに滑って老婦人が転落したとされる事故に注目します。

   幸いにも軽い怪我程度で済んだ事で、単なる事故とされていたものは殺人未遂事件。
  持病の肝臓悪化で病死とされていた老婦人の死は、
  実は毒物による殺人事件だった・・と推理。

   ここまで来ますと、クリスティーお得意の “植物の毒・・?”
  ~なんて思ったものですが、残念ながら? 違いました。
  でも、やはりと言いますか・・彼女お得意のガーデニング関連フレーズ? は健在です。

   「多分、チャールズは雑草をどうして始末するか尋ねたんだろう?」
  「君の使ってるのはこの薬品だね?」

   「さようです。重宝な薬で・・・」 「危なくないかね?」
  「使い方さえ知ってりゃ大丈夫でさぁ、
  勿論、砒素 には違いないけれど・・・」


   クリスティーの作品は、いつも意外な人物が犯人です。
  登場人物は、それぞれ怪しい人ばかり。

   犯人とおぼしき人間も次々、浮かんでは消え・・。
  今回も、私の思っていた人間とは大きく外れてしまいました。

   それはそうと・・性懲りもなく次回も又々、クリスティーです。
  タイトルは、ご覧の通り 「スタイルズ荘の怪事件」。(処女作)
  
   スタイルズ荘には、こんな革カバンを持って静養に出掛けましょうか・・。
  尤も殺人事件に出会うのは、ごめんですが・・。  

薔薇の花咲くティータイム

2010-05-30 16:06:26 | A・クリスティーの館


     爽やかな天気が続きます。こちらは今日も五月晴れ。
    今年は、これまであまり春を感じる時がありませんでしたので、
    その遅れを一気に取り戻すかのように輝いてくれている太陽。

    緑もキラキラ、目に眩しくて。
    光と、木の葉の織り成す、まるでレースのような透かし模様も健在です。
    今日この日、今この時、しっかり謳歌しなければ・・と思います。



   さて、ひっきりなしに咲いていた
  薔薇が今は、ひとまずお休み・・と
     昨日も記しましたね。

     そこで取り出したのが、
     一昨日も紹介しました、
   “薔薇の花びらジャム” です。

      今日は紅茶に浮かべて
      “ロシアンティー” と
       行きましょうか・・。

     蓋(ふた)を開けた瞬間、
    フワ~ッと薔薇の香りに包まれます。
    紅茶と薔薇の香りが微妙に絡み合って絶妙な香り・・。幸せの瞬間です。

     スプーンに軽くひと匙(さじ)入れただけですが、薔薇茶の趣き。
    こうなりますと、トレーは手描きの薔薇の物を。勿論、カップも。
    尤も、これらは以前に紹介済みですね。

     アラッ!? 偶然ですが、薔薇柄のワンピースを着ていましたわ。
    紅茶片手の読み物は、今日もアガサ・クリスティーです。

     今日の本の題名は、「もの言えぬ証人」。
    やはり今回も表紙の犬の絵(名前はボブ)は、暗示的です。

     そうそう、先日の 「三幕殺人事件」、読了しました。
    又々、最後の最後にどんでん返し。ポアロの推理に脱帽です。

     それにしても、“ヴィクトリア風・・” と言った言葉、良く出て来ます。
    所謂、時代やファッション、インテリアなどではなく、気質とか考え方という意味で。
    (時代的には、アンの時代ともダブります)

     日本で言えば、さしずめ “明治” でしょうか・・。
    明治気質(めいじかたぎ)なんて、言いますものね。

     このように、アガサ・クリスティー物は推理の面白さも然る事ながら、
    ハーブ、お茶、インテリア等など・・英国の格調高い暮らしぶりを
    垣間見る事が出来ますので、興味津々です。  

匂い立つ言の葉の美

2010-05-27 17:23:17 | A・クリスティーの館


     こちらは昨日とほぼ同じような天候となりました。
    晴れたり曇ったり・・と言った処でしょうか・・。

     ただ、後数日もすれば6月だと言いますのに、寒いこと!
    室温は午後3時の時点で21度。季節は明らかに逆戻りしています。

   さて、昨日もチラと触れたアガサ・クリスティー。今日は、その話題で。
  彼女の著作は沢山ありますから、中には以前に読んだ物も多々あります。

   それより何より、着眼点が違えば又、違った面白味がありますね。
  それは、「赤毛のアン」 とも共通した部分です。



   ご覧の写真は、今読んでいる 「三幕殺人事件」。
  何とも物騒な題名ですが、さすが、ハーブや植物などにとりわけ造詣が深い、
  彼女だけの事はありますね。至る処で、それを扱った記述に出会います。

   それは、アンジム船長 を彷彿させ・・
  サスペンスの中の一筋のオアシスのようで、何だかほっとします。

   「この手じゃ、握手する訳にも行きませんわね。
  庭仕事の時は手袋をはめなきゃいけないって事は知っていますし。
  初めのうちははめている事もありますのよ。
  でも遅かれ早かれ、いつも取ってしまうんですの。
  
   だって花でも、草でも、じかに触る方が、
  ずっと良く感じが分かるんですもの」
     【「三幕殺人事件」 第3幕 第1章】
  
   物語は、暗示的な表紙の絵からも分かりますように、
  晩餐会でワインを飲んでから気分が悪くなり・・
  といった経過を辿ります。初めは病死で片付けられるのですが・・。

   そこで私も今日は、ワインを・・。
  昼間から頂くなんて、少々、おふざけが過ぎるかも・・ですね。
  
   でも、今日は寒いので丁度上手い具合に温まる事が出来ました。
  ~なんて。

   それにしても、これら翻訳本の言葉の美しさ。
  何と格調高いのでしょう。
  この小説の場合は、英国の上流家庭が描かれているのですが、
  
   それは召使いに至るまで。
  敬語がこんなにも美しいものか・・改めて感じてもいます。

   そう言えば、今はお亡くなりになりました、
  阿久悠氏の言葉に次のようなものがあります。
  以下に記して置きますね。


英国紳士の最高の暇つぶし

2009-10-06 18:15:18 | A・クリスティーの館


   今日も真珠色の空で明けました。
  天気予報に反して意外にも雨は降っていません。

   尤も昨、夜半、微かな雨音を聞きましたから夜のうちに降ったのでしょう。
  ~なんて、思ったりしていましたが、やはり雨は降って来ました。
  
   午前9時半頃でしょうか。ぽつぽつ・・から始まって、降ったりやんだり・・。
  そぼ降る雨です。その雨も、今はやんでいます。(午後5時半現在)
  ただ、こんなお天気のせいもあるのでしょうね。随分、肌寒く感じられます。



     さて、今日のようなお天気ですと・・。
    やはり、と言いますか・・。
    オレンジの灯りが、やたら恋しくなり、
    同時に揺らめきを感じたくなります。となりますと・・。

     「蝋燭の灯り」 と 「珈琲」、それに 「ミステリー」 でしょうか。
    この3点セットが、最近では一番落ち着けるように思います。     

     そうそう今日は、何とも思わせ振りなタイトルですね。
    英国紳士の最高の暇つぶしとは・・? 
    その答えは、「推理小説」 です。

     英国と言いますと・・。
    エルキュール・ポアロを初め、シャーロック・ホームズなど、
    世界的にも有名な名探偵がいますものね。納得です。
  
     そもそも、私が本格的な推理小説を読むきっかけになったのは、
    ウィリアム・アイリッシュ作、(又の名をコーネル・ウールリッチと
    二つの名前を持つ) 「幻の女」 を読んでから。確か小6の時。
  
     ハラハラ、ドキドキ・・その面白さに、ものの見事にハマッてしまい、
    推理小説の大ファンになったと言う訳です。
  
     その前にも少年、少女版のルパン物やホームズ物も読んでいましたが、
    いかんせん 「幻の女」 の面白さの比ではありません。

     それをきっかけに 「暁の死線」、「黒衣の花嫁」・・と言った、
    彼の一連の作品を読み漁(あさ)るという、
    この頃から・・今の私の癖(へき)が、そろそろと顔を出し始めたという訳です。
  
     後、カトリーヌ・アルレーの 「わらの女」 や、
    パトリック・クエンティンの 「愚か者の失楽園」 も心に残っています。

     この 「わらの女」 では、悪女ヒルデガルデ・マエナーが、
     “ロオシャの香水” を付けていたそうで、
     それを確かめるためにも、もう一度・・なんて思っています。
  
     「幻の女」 も 「わらの女」 も様々な形で映像化されていますから、
    ご存知の方も多いかと思います。

     「幻の女」 は、映画 「逃亡者」 の原作ですね。(主演ハリソン・フォード)
    映画 「わらの女」 は、若き日のチャールズ・ブロンソンの主演です。

     そうそう、アガサ・クリスティー。
    彼女のファンになったのは、ずっと後の事なのです。
  
     最初は、登場人物の多さについて行けませんでしたから。
    今では最も好きな作家の一人ですのに、面白いですね。

     という訳で私の場合、翻訳ものが先で松本清張や夏樹静子などの日本の作家は、
    高校生になってから。翻訳ものに比べ、随分遅れを取ったものです。



 
 



     明日(7日)は、ブログお休みさせて頂きます。
    勝手を申しますが、どうぞよろしくお願い致します。
  
         

美しい花にご用心!

2009-06-19 15:46:08 | A・クリスティーの館

【ハイビスカス】


    こちらは連日の快晴です。
   昨夕も、遠くで雷が “ゴロン・・”。
   
    早めにドクダミなどを家の中に
   取り込んだりしましたので、
   事なきを得ました。

    今日も風があり、爽やかです。
   でも、日中はさすが暑くなって
   来ました。湿度は50%。

    これが70、80%になりますと、
   もうたまりません。
   不快指数も、一気に高まります。

    ところで司馬遼太郎著 『坂の上の雲』
   1巻の半ば辺りまで読んだ所で、気分転換とばかりに読み始めた、
   アガサ・クリスティー。冷やかし半分に読み始めましたのに、思わぬ熱中を・・。

     『ポケットにライ麦を』 から、(なぜかこれは、よたよたでしたが)
    今度は一気に 『死との約束』 を読了。
    探偵役も、ミス・マープルから、エルキュール・ポアロにバトンタッチ。

     エルサレムから死海を旅行中に巻き起こる殺人事件。
    ちょっと松本清張の 『黒の回廊』 を彷彿させたりして。
    テレビでも、以前に見た記憶・・。

     ここで登場する植物は、毒草の 「フォックスグローブ(ジキタリス)」
    俗に言われる、「キツネの手袋」 です。

     ここでも毒物は、それから抽出される、
    「ジギトキシン」 が、死因に挙げられています。

     「ジギトキシン」 は、心臓に作用する劇薬とか。
    尤も今回は、経口ではなく、注射によるものですが・・。

     それにしても、フォックスグローブ、園芸店などにも売られていますが、
    こんな毒草だったのですね。(あまり好きな花ではありませんが)

   一方、肝心の 『坂の上の雲』。大好きな正岡子規の登場です。
  それにしても、あの大政奉還から僅か22年で東海道線が全通しているのですね。
  この年、喀血をした子規は、郷里の松山に静養に帰ります。

   「汽車があるけん、病人でも疲れんでもゆける」 
  ~と言っています。今が平成21年ですから、来年全通した事になるのですね。
  これって、凄い事です。(東海道線開通、明治22年)

   そうそう、ベースボールに 「野球」 という日本語を与えたのも、この子規なのだそうです。
  その後、松山が野球王国になったのも、その影響からだとか。

   ともあれ、この 『坂の上の雲』 も、非常に面白い読み物である事は疑いのない所です。
  あまり他所見(よそみ)しないで、これからも頑張って音読に励むとしましょう。