【いくつになってもアン気分】

 大好きなアンのように瑞々しい感性を持ち、心豊かな毎日を送れたら・・。
そんな願いを込めて日々の暮らしを綴ります。

言葉の雑学(植物)

2010-07-31 16:13:16 | リラのお気楽ユメ日記


   暑さが戻って来ました。早朝からの蝉の啼き声に今日の一層の暑さを予感。
  それにしても思いもかけない3日間の猛暑の中の安息日。
  ほっと一息つかせて頂きました。

   そんな中、昨日から何度も黒いレースのような蝶が飛来。
  尤も、なかなか止まってくれませんので写真に撮る事は出来ません。
  
   そうそう、2日間に渡ってブログに取り上げました、「木槿(ムクゲ)」 の事。
  今朝、やっとその花びらをひっそりと閉じました。

   木槿は1日花の筈ですが、我が家のそれは何と2日花。
  何だか得をした気分。(これまでこんな風に意識した事はありませんでしたので)

   さて、こちらは今朝の朝顔。 
  昨日よりはましですが、やはり今年はちょっと変。思い切り開きません。

   その上、そう思って眺めるせいか、なぜか哀調を帯びていて。
  それはそれで風情がありますが・・。


【そろそろ去り行く 「半夏生」】

   一方、こちらは朝顔以上に哀調を
  帯びて来た 「半夏生(ハンゲショウ)」。

   と言ってもまだ十分
  葉っぱの白さは残しています。
  この半夏生にも新しい発見。

   この炎天下に見ますと、
  まるで雪が降ったようだこと!
  思わぬ涼をプレゼントしてくれました。

   ところで今日は、ちょっぴり雑学を。
  例えば「根回し」、
  「裏切り」、「ぎ穂」

  
   これらは、植物が語源なのですね。
  「根回し」、「接ぎ穂」 は分かりますが、
  「裏切り」 は意外かも知れませんね。

   「裏切り」 の植物学上の意味は、
  木を切る場合、木を倒す側、
  枝なら下側を咲きに切ります。
  (これが裏側を切るという事)
  
   これにより木は簡単に切り倒せますし、
  太い枝も切り口が裂けたりしなくなるそうです。これが 「裏切り」。
  一方、「根回し」 は・・。
  
   大木を移植する1、2年前にその周囲を掘って側根の大きなものと主根とを残し、
  その他の根を切り、髭(ひげ)根を発生させ移植を容易にする事とあります。
  そして 「接ぎ穂」。読んで字の如く、接ぎ木をする時の台木に接ぐべき枝や芽の事。
  
   これらが人間社会に持ち込まれますと、
  「根回し」 の “ある事を実現しやすいようにあらかじめ周囲の各方面に話をつけておく事”
  は兎も角、「裏切り」 は、“味方に背いて敵に内通する事” ~なんて途端に物騒な事に。

   「接ぎ穂」 は、“途切れた話を繋(つな)ぐきっかけ” を言いますね。
  「話の 接ぎ穂 がない」 という具合に・・。

   余談ですが、「葛藤(かっとう)」。
  これも「葛(カズラ)」 と 「藤(フジ)」 、
  二つの植物の名前を組み合わせたものですね。
  
   「葛」 や 「藤」 の蔓(つる)がもつれ、
  絡む事から “もつれ、いざこざ、悶着” の意味に。
  葛や藤の与(あずか)り知らぬ事とは言え、こうして見ますと何だか面白いですね。 

ピンクの麗花

2010-07-30 15:35:15 | 香る庭の花綴り




   猛暑の中、一昨日、昨日と・・
  思わぬ 2日間の休息を頂きました。

   今朝もまだその余韻と言いますか、
  微かな名残(なご)りも・・。

   ニュースでは暑くなるような事を
  言っていましたが、
  それ程ではありません。

   おまけに朝など庭に至っては、
  雨上がりのキラッ! いつもの魔法。

   こんなワクワク感も久し振り。
  いいえ、つい最近のような気もしたり・・。
  いずれにしても心愉しい気分。

   「楽しもうと堅く決心さえ
  すればたいていいつでも
  楽しく出来るのが
  あたしのたちなんです。

   勿論、堅く決心しなければだめよ。・・・ 略 ・・・

                                        【赤毛のアン」 第5章】

   確かに楽しむ、楽しもうという気持ちって必要ですね。
  その気持ちさえあれば、それはどこにだって何だって、いつでも見つける事が出来ますもの。
  勿論、アンの言うように堅く決心する事が絶対条件のようですが・・。

   さて、昨日の 「木槿(ムクゲ)」。
  1日花ですのに、今日もまだその花びらは健在です。
  (ポプリにするべく引っ張ってみましたが、しっかりくっついています)

   今日の姿は真っ直ぐ上を向き、堂々としたもの。
  さすが真夏の麗花、アオイ科の花だと納得。気品さえ感じます。

    昨日は、やけに淋しそうに
   感じたものですが・・。
   雨の涙のせいかも知れません。

    そして今年はなぜか不調の朝顔。
   ちょっと遅かったですね。

    先日もそうですが咲いている事に
   全く気付かなかった私です。

    今日のこの姿、花言葉の
   「儚い恋」 を彷彿。

    そうそうそう言えば、夕顔も。
   同じ花言葉と擦れ違い。

    未だに咲いているその瞬間に、
   立ち合えていません。

    ナイーブなネーミングの通り、
   ひっそり咲くのかも知れませんね。   

槿花一朝の夢~真夏の麗華

2010-07-29 16:55:05 | 香る庭の花綴り




   こちらは久し振りの雨となりました。
  それもこの処、すっかりお馴染みとなってしまった、
  激しい雨ではありません。そぼ降る雨。

   お陰様で、あの猛暑からはひとまず解放されました。
  庭の木や草花も、もう干上がる? 寸前でしたので心なしか嬉しそうです。

   さて今年も、槿花(きんか)、「木槿(ムクゲ)」 の花が、
  何日か前から次から次へと咲き始めました。(こちらは 【去年】 の記事)
  
   ハイビスカスに似たこの花が咲くようになると、本格的な暑さに・・
  というのは、本当ですね。

   しかしながら、朝開いたかと思うと夕方には萎んでしまう花。
  今日のタイトルにもなりました、槿花きんか一朝の夢」 は、
  栄華の儚(はかな)い事を木槿の花に例えたものです。

   こんな諺(ことわざ)からも分かりますように、わが国への渡来は古く、(中国、インド原産)
  万葉の時代には、庭植えにされていたようです。そう言えば・・。

   「万葉集」 で詠まれた秋の七草の 「朝顔」 は、
  「桔梗」 という説と 「木槿」 という説がありますものね。
  (更に今の朝顔で良いという植物学者もいます)

   最近の木槿は品種改良の結果、
  早咲きになったようです。
  
   本来は、秋の花木。
  ですから歳時記では、
  秋の季語とされています。

   ハイビスカスもそうですが、
  この木槿の花も 「アオイ科」。
   
   この 「アオイ科」 に代表される花は、
  何と言っても
  「立葵(タチアオイ)」 でしょう。
  
   「真夏の麗華」
  言われる所以(ゆえん)です。

   一方、こちらはもう一つの
  七変化の花、「ランタナ」。
  (【以前】 のランタナ)

   右上は、一昨日撮った写真ですが、
  今日は、こんな風になりました。
  面白いですね。

   今日は何度も騙された雨。
  今度こそ、雨も上がったようです。見る見る間に青空が・・。

 

檸檬色の魅惑

2010-07-28 16:56:36 | 『カフェ「薔薇の詩(ポエム)」』編




   こちらは、10日連続の熱帯夜が続いています。
  しかしながら今日は、これまでのじりじりと照り付ける太陽と青空ではなく、
  薄らと雲が広がった空に。

   従って日射しもごく弱いものとなりました。
  ちょっと一息つきました。と言いながら、今日も相変わらず冷房の中ですが・・。

     さて、冒頭の写真。
    私の場合、珈琲も紅茶も毎日頂いていますので、
    今更ながら、(ブログ上とは言え)カフェ開店? 
    ~なんて思うのですが、ともすれば同じカップになってしまう日々。

     こうして定期的にカップを変える事で、ちょっとした気分転換と
    しまい込んでいたカップのお披露目をさせて頂いています。
    尤も、たいしたものではありませんが・・。

   という事で1週間振りに
  『カフェ「薔薇の詩(ポエム)」』 の
  開店です。

   毎朝頂く紅茶には生姜や、
  庭から摘んで来たセージ、
  ローズマリー等を加える、
  至って濃厚な物。

   今日は久し振りにあっさりした
  ハーブティーを頂きたくなりました。

   それには、やはり・・
  硝子のカップがいいですね。こちらは初めての登場です。

   何と言いましても庭から摘んで来たばかりの香り高いハーブは、
  ドライでは味わえないフレッシュさ。

   喉越しのすっきりした風味は勿論、
  檸檬(レモン)色のお茶は気分までもリフレッシュ。
  
   そうそう今日は、アロマも自然の香りで。
  見た目も綺麗ですし、仄かにさり気なく香ります。



   こちらは昨日の黄昏の空。二階のベランダから撮った東南の空です。
  西の夕日の照り返しでしょうか・・。
  夏の “黄昏の美” ですが、ここは 『アンの世界』 の、この言葉で。

    “アンは ・・・ 略 ・・・
  庭から漂って来る花の香りやポプラの葉ずれなど、
  快い 夏の黄昏の美 に陶然としていた。
   樅の木の上の東の空は西の夕焼けの照り返しで、
  ほんのりピンクに染まっていた。
  色彩の精というものがあるならば、
  あんな感じのものではないかしら ・・・ 略 ・・・”
         
                                         【「赤毛のアン」 第32章】 

緑陰と炉辺の読み物

2010-07-27 15:51:25 | A・クリスティーの館


     連日の猛暑が続きます。
    ただ気温は同様ですが、今日は若干、ましかも知れません。
    とは言え、暑さに何ら変わりはありませんが・・。

     ところで、朝6時のNHK FMの 「バロックの森」 から
    ずっと付けっ放しにしているラジオから流れて来たのは、
    「かもめの水兵さん」。

     可愛い歌声に、
    思わず暑さを忘れて聴き入ってしまいました。
    同様に暑さを忘れる読み物と言えば、ミステリー&スリラー。
    
     先日のアガサ・クリスティーの短編集は、読んでいたものもありましたが、
    暑さで何となく気分の集中しない中では、ピッタリだったような気がします。

   それにしても、
  モンゴメリーとクリスティーの
  共通点を改めて発見。

   こんな短編では良い意味で、
  凝縮されますから如実に
  感じるのかも知れませんね。

   例えば、こんな表現。
  「頭のてっぺんから
  爪先まで・・」
  「崇拝者」、「分別のある人間」
等など・・。

   思わず訳者に目を走らせたものですが、様々な方。
  おまけに前から申していますように、お茶のシーンや銀食器なども。
  
   暖炉と安楽椅子は当然のように、私の大好きなレースも、ふんだんに出て来ます。
  それにしても大層優雅な格好をして編み物なのですね。
  と言う訳で、もう1度私は出口保夫(でぐち・やすお)著 「イギリスの優雅な生活」を。 

・・・ 略 ・・・
彼は、どっしりした、大きな 安楽椅子 にしゃんと座っている、
伯母の方を 暖炉 越しに見やった。
ミス・マープルは、腰回りのきゅっと緊まった黒い綿織の服を着ていた。
メクリン産の レース飾り が、上衣の前の処で波形に垂れていた。
又、黒い レースの長手袋 をはめ、黒い レースの室内帽 が、
束ねられた真っ白な髪の上に乗っていた。
彼女は編み物をしていた ――
             アガサ・クリスティー 「火曜の夜のつどい」 より
        
     

涼を呼ぶ小さな花

2010-07-26 15:38:55 | 四季のスケッチ


   今朝の目覚めは、「ジ、ジ、ジ~~ッ!」 と啼く蝉の声から。
  夢現(うつつ)に、“こんなに朝早くから・・?” なんて。
  
   ひと頃の鶯(ウグイス)の声での目覚めとは何という違いでしょう。
  空調の効いた室内から出たくない・・そんな思いが脳裏を過(よぎ)ります。

   今日は 「土用の丑の日」 ですね。丑の日と言えば、鰻(うなぎ)。
  気温も、相変わらず 鰻登り
  
   今日の新聞にも載っていましたが、かの斎藤茂吉も鰻は大好物だったとか。
  しかも1日に何回でも、毎日続いても平気だったと言いますからハンパではありません。
  
   ここまでは行かないまでも日本人と鰻って、切り離せないものとなっていますね。
  それにしても七輪、それも団扇(うちわ)で煽(あお)いで焼く蒲焼の匂い・・。
  思わず食欲をそそられますね。

   今年の猛暑を乗り切るためにも今晩の食卓に、
  鰻が載る・・という、ご家庭も多いのでは・・と思います。

   ところで猛暑という言葉でさえ、驚かなくなった昨今。
  昨日は、テレビで 「激暑」 なんて新しい言葉も。

   何でも8月には40度を越す日もあるかも知れないと・・。
  暑さも然(さ)る事ながら言葉も、どんどん過激になります。

   だからでしょうか・・。
  自己主張のハッキリしている大振りな向日葵(ヒマワリ)でもない、ハイビスカスでもない・・。
  
   こんな暑さにも負けないで頑張って咲いてくれている、
  ハーブを初めとした、小さな小さな花に余計に心を惹かれるのかも知れません。(冒頭の写真)


【もうすぐ開花の「夕顔」】

【開きかけた「白粉花(オシロイバナ)」】


   そんな中、もうすぐ開きそうな 「夕顔」 と 「白粉花」 です。
  奇しくも、どちらも夜咲く花ですね。
  真夏の暑い1日が終わって日が西に沈む頃、ぽっと辺りを照らすように咲き始める花・・。
  
   「夕涼みの花」 とでも申しましょうか・・。
  それにしても、夕涼み・・最近、死語になりつつありますね。
  それでは、『アンの世界』 での、こんな夕涼みは如何でしょう・・。

   “・・・ 略 ・・・木陰を連ねた古い家々、耕された牧草地、静かな庭。
  西の空はさながら大きな金色の真珠だった。
  遥か下の港は明るく射して来た月光で砂糖をまぶしたようだった。
  辺りは妙なる物音に満ちていた ――

   眠そうな駒鳥の鳴き声、薄暮の樹木を渡る風の素晴らしい、
  悲しげな、柔らかなつぶやき、優美なハート型の葉を揺るがせながら
  銀のようなささやきを交わしているポプラのさらさらいう音、
  少女達がダンスへ行く支度をしている部屋の窓から
  聞こえて来る愉しげな若々しい笑い声。
  世界は気も狂いそうに美しい音と色彩に浸っていた。”

                                       【「アンの娘リラ」 第3章】  

朱夏の粧い

2010-07-25 16:38:58 | 香る庭の花綴り




   「ジ、ジ、ジ、ジ~!」
  蝉の啼く声にも拍車がかかります。

   昨日より今日、今日より明日・・と?
  毎日、毎日、暑さを更新して
  いるかのような日々。

   その証拠に今朝などは、
  午前8時に30度です。

   せめて一雨来たら・・と思うのですが、
  残念ながら、その気配すらありません。

   さて、のっけから真っ赤な写真。
  こちらに折角訪れて下さった方、
  暑さが倍増したかも知れませんね。

   私思うに・・本当に遠慮深いカンナが
  暑くなるのを待っていたかのように、
  満を持して開花しました。

   通り径にせり出すように咲いていたカンナが、
  いつの間にか奥へ、奥へと移動して行ったのは、つい最近の事。

   でも、その姿は健在で真っ赤な花びらは、まるで燃え盛る炎のようです。
  このカンナ、インドが原産なのですね。
  その意味でも仏教的な・・とりわけ人の心が分かる慈悲深い花なのかも知れません。 

   ところで、
  カンナの花言葉は、「妄想」

   やはりと言いますか・・
  「妄想」 という言葉、
  ちゃんと仏教用語にあるのですね。

   “仏教で、正しくない考え。
  真実でないものを真実とする事。”
  ~とあります。

   この花の持つ、目の眩(くら)むような
  強烈な花のイメージから生まれた
  ものなのでしょう。幻惑・・でしょうか。

   そして、こちらの赤い花は、
  「小海老草(コエビソウ)」。
  別名、「ベロベロネ」。

   5月頃から咲いていますから、
  既に相当長い期間になります。
  
   その上、植えたものではありません。
  裏のお宅からの風の贈り物?

   おまけに丈夫なこと!
  ある日、花瓶に挿しましたら・・僅かな日数で発根しましたもの。
  (感覚的には2、3日という印象)そのあまりの生命力には驚かされたものです。

   あまり好きな花ではないのですが、意外や意外、花言葉は 「女性の美しさの極致」 とか。
  「キツネノマゴ科」 のこの小海老草には私などには分からない、
  不思議な魅力があるのかも・・なんて思っています。

希望という名の改革列車

2010-07-24 17:11:17 | 心の宝石箱


     朝からじりじり照りつける太陽。ひとしきり啼く蝉。
    今日も昨日以上に暑くなる予感。

     その予感通り、午前10時の段階で、
    居間の気温は、何と32度。
    
     戸外と室内の優劣で最後まで迷いましたが、
    結局、今日の外出は取りやめに。それと言いますのも・・。

     この暑さで外出する服に迷い、色々着替え又、迷い・・。
    おまけに蜂蜜色の炎天下の中に出て行く、
    勇気も気力もなくなったという訳です。

     それにしても、この位の暑さなんて、一頃でしたらヘッチャラでしたのに。
    随分、暑さに弱くなったものです。



     さて、そんなこんなで・・ぽっかり空いた時間。
    こんな日は、木陰でミステリー・・と行きたい処です。
    少しは涼しくなりそうですもの。

     しかしながら高原ならいざ知らず、
    時折吹き抜ける風も、今日は熱風と化しています。

   やはり冷房の効いた室内で、熱い珈琲片手に読書と致しましょう。
  という訳で、今日も大好きなアガサ・クリスティーを。
    
   となれば、肩の凝らない短編がいいですね。
  そうそう、その前に。

   藤沢周平著 「漆の実のみのる国」、(上下巻)やっと読了しました。
  この小説は、彼の絶筆となった作品だそうですね。
  彼の作品には架空の藩の小説が多い中で、珍しく実在の藩。
  
   あるテレビ番組で、どなたかが 「上から目線の司馬遼太郎ではなく、
  下から目線の藤沢周平・・」 ~なんて言っているのを耳にしたものです。
  (それには異論もありますが・・)
  
   それで行けば、これも例外、上から目線です。
  尤も、農民の暮らしを1番に考える、名君の上杉治憲(後の鷹山)ですが・・。

   借金ばかりで貧しい藩の経済改革物語。
  結局、壮大な計画の下に始めた漆木の植え付け(漆蝋を取る)は、失敗。
  (西の櫨(ハゼ)蝋に負ける)

   何年にも渡る緊縮財政と疲弊する藩。付随する政治抗争。
  今の時代にも十分、通じる気がします。
  最後に。心に残ったフレーズを記して置きます。

・・・ 略 ・・・
外部からの借財がなければ表向き15万石の藩の国力は
せいぜい7万石から8万石程度のものであると見極めた事になる。
― 中略 ―
尤もそれは、言ってしまえばごくまっとうな理詰めの結論だった。
これに対して反対論を述べる事は恐らく何人なにびとたりとも難しい。
だから、藩の運営は志賀に委ねるしかないのだ。

―― しかし、いかにも華がないの。
と、今治憲は思っているのだった。
それが気がかりの正体だった。― 中略 ―

その不思議な温かみは何かと言えば、
まだ望みはあるという事だったように治憲は思う。
藩は今は疲弊している。

しかしいつかは枢要の地位に人を得、策の宜しきを得て、
藩はついに繁栄を迎えるだろう。
善政はその望みを、治憲の胸の内に残して行ったのである。
― 中略 ―
理に適ってはいるが、志賀の再建策から伝わって来るのは
冷え冷えとした感触である。

志賀は藩を袋小路から抜け出させようとして、
却って一層深い袋小路へと導こうとしているかのようにも見えた。
・・・ 略 ・・・
             藤沢周平 「漆の実のみのる国」 より
  

紫の夢

2010-07-23 15:15:15 | 四季のスケッチ




   今日も昨日以上の
  暑さとなりました。
  
   午前9時には
  居間の気温は、既に30度越え。
  昨日より早いスピードです。

   でもこの暑さ、
  毎日毎日雨が続く冷夏よりは、
  まだましなような気がします。
  
   暑い、暑い・・と言いながらも、
  人々は、ハイテンションになりますもの。
  物事には両面がある事をここでも思います。

   さて、冒頭の写真。
  黄色い夏の午後、これも黄色い花、“ハロー・エンジェル” こと、
  「ユリオブスデージー」 に今日も蝶(シジミ)が・・。

   このシジミ、これまでにも度々登場していますね。(今年は2回目)
  でも今日は、仲良く2頭止まっていたのです。
  尤も、カメラを構えた瞬間、飛び立って行ってしまいましたが・・。
  
   がっかりする私。そんな私を可哀想に思ったのか・・?
  1頭だけ戻って来て、ちょこんと収まったのが、こちらの写真です。
  その瞬間を捉えるのって、本当に難しいですね。

   それにしても通名の “ハロー・エンジェル”
  名前の通り、良く蝶が止まります。
  ローズゼラニウムが “蚊取り草” と言うようなものなのでしょうね。

   そう言えば、この 「ユリオブスデージー」、1年中咲いていますものね。
  それも特に花の少ない時期を選んで、咲いてくれている印象すらあります。
     
   この花は蝶のみならず、昆虫にとっても・・
  いいえ、私達人間にとっても有り難い花なのかも知れません。

   ところで昨日の 「紫の黄昏」 の写真。
  昨日は淡々と記すだけで、この写真の事には触れませんでしたが、
  夏の黄昏の素晴らしさ。
  
   それは、アン や、エミリー も折に触れ称賛しています。
  ただ、期待した昨日の黄昏は全然。果たして今日はどうでしょう・・? 楽しみです。
  今日のタイトルは、それにあやかって黄色ならぬ、「紫の夢」 に。

   “・・・ 略 ・・・ 森の隙間という隙間、空地という空地には
  真紅の夕日の光が溢れていた。
   小径もあちこち夕映えに輝いていたが、
  楓の下陰は暗くなっており、樅の下には 葡萄酒 のような、
  澄んだ 紫色の夕闇 が立ち込めていた。
   風は梢を渡っていたが、夕方、
  樅の木の間で奏でる風の音楽ほど美しいものはこの世にない。”

                                       【「赤毛のアン」 第29章】




   
     まだ確定ではないのですが、(この暑さで迷っています)
    明日(24日)、出掛けた場合、ブログはお休みします。
    その節は、どうぞよろしくお願い致します。

            

白い貴婦人

2010-07-22 16:46:16 | ハーブと香り雑学

【茉莉花(マツリカ)】

   連日、日本各地で暑さを
  更新しているようですね。

   こちらも例に洩れず、午前10時の
  段階で、居間の温度30度越え。

   これまで午前中は何とかクーラーを
  入れないで我慢して来ましたが、
  今日だけはお手上げです。

   我慢して病気になったのでは、
  元も子もありませんものね。

   昨日、そろそろ雨を・・
  ~なんて記しましたが、
  今日こそ、その思いを強くしたものです。
  風も、ほとんどありませんから。

   そんな中、先日は 【蕾の状態】 でお伝えした、ジャスミンの花が開花。
  【正確には「茉莉花(マツリカ)」】

   実は・・このジャスミン、蕾の時期が結構長く、
  来る日も来る日も蕾を堅く閉じていたものです。
  
   そんな事もありましたから、今日の炎天下の空の下(もと)に、
  ひっそり咲く、この白い清楚な花を見つけた時は、びっくり。
  
   何とも清々しくて、ほんのひと時・・暑さを忘れていたものです。
  こちらも、ハーブ独特の小さな小さな花。おまけに素敵な香りも伴って。
  
   勿論、あのお馴染みの “ジャスミンティー” の香り。
  それもその筈、このお茶の香り付けに使われるそうです。
  
   もう茶色になった花びらを摘んで来て、今手元に置いていますが、
  その香りは健在です。香水の原料にも使われる・・というのも納得です。

   そしてその花姿には、思わず 「白い貴婦人」 なんて。
  尤も、この名称、少々乱発気味ですけれど。

   しかしながら、「ジャスミン」 や 「茉莉花(マツリカ)」 という名前も、
  その花姿も香りも、何もかも・・「白い貴婦人」 に、相応(ふさわ)しい気がします。





   ところでこちらは昨日の夕空。
  南の空が俄かにピンクに染まって。
  
   でも、ちょっとぐずぐずして
  いるうちに思わぬ時間の浪費。

   既に、すみれ色の空には、
  来る26日に満月を迎える、
  お月さまがぽっかり。

   それでも思い直し、
  一旦外に出て西側の丘に。   

   かろうじて間に合いました。
  薄暮の時間を経て夕闇に包まれたのは、それから間もなくの事です。