【いくつになってもアン気分】

 大好きなアンのように瑞々しい感性を持ち、心豊かな毎日を送れたら・・。
そんな願いを込めて日々の暮らしを綴ります。

時空列車に揺られて~晩餐会の13人

2012-02-29 16:16:36 | A・クリスティーの館











「モンタギューコーナー卿は、殺人の
あった夜、晩餐会でレイディ・エッジウェアと
交わした会話に触れる。
こんなのを受け答えるのは造作ない。
しかし、その後で、
応報天罰の女神ネメシース”が、彼女に襲いかかる。
『パリスの審判』 という言葉が言われた時、
無知な彼女は、そのパリスを、
自分の知っている唯一のパリスと取り違える。
―― ファッションと虚飾のパリと!
        【A・クリスティー著 「エッジウェア卿殺人事件」】


   




   予報通り昨晩遅くから降り出した雨。
  朝には上がるとの事でしたが、
  起床時には、まだ若干残っていました。
  それでも午前8時頃には完全に上がったようです。

   そう言えば昨夜、俄かに“暖かい・・”
  と感じたのは、雨が降り出す頃からだったでしょうか・・。

   これからは一雨、一雨・・春が近付くのは間違いないようです。
  明日からは3月ですものね。今では青空も戻り、暖かくなりました。 









   



   さて、一昨日の今日ですが、A・クリスティー作、
  「エッジウェア卿殺人事件」 読了。
  
   この物語は、エッジウェア卿夫人でもあり、美しい女優でもある、
  ジェーン・ウィルキンスンと、その彼女の物真似を得意とする、
  カーロッタ・アダムスの公演をポアロが観劇する場面から始まります。

   あろう事かその晩、物真似された当の本人、
  ジェーン・ウィルキンスンから離婚に応じない夫を
  説得してくれるよう依頼されたポアロ。

   そのエッジウェア卿が殺害され、
  当然妻のジェーン・ウィルキンスンに容疑がかかります。

   しかし彼女には晩餐会に出席したという鉄壁のアリバイが・・。
  しかもその出席者の人数は、13人。

   13という数字は、キリスト教国では
  忌み嫌われている数字ですものね。

   (13という数字には 「裏切り者のユダ」(注:1)
  の刻印が押されてしまったようです)

   ここでも、その不吉な13人目の出席者は、
  真っ先に退場して行きました。
  
   ここから例の如く犯人らしい人物が現れては消え・・。
  先日も記しましたが、ポアロの灰色の脳細胞も
  珍しく湿りがちだったものです。

   でも、今回ばかりは私は犯人をピタリと当てました。
  ただ単なる勘で、ポアロのように筋道立てて
  解明など出来ませんけれど。

   クリスティー物は、登場人物の多さに翻弄(ほんろう)されます。
  でも、ほんの少しですが、そのパターンが
  分かって来たような気がします。

   それにしても 『パリスの審判』。(注:2)
  結局、これが運命の分かれ道でしたね。
  彼女は、こんな風に答えてしまったのですから。








   



   さて、ゴトゴト揺られていましたが・・
  列車は漸(ようや)く目的地に着いたようです。

   長時間の列車。さすがに疲れて来ました。
  そろそろ網棚から荷物を下ろさなければなりません。 
  
   そうそう読書に使った、エリスの鼻眼鏡も、
  忘れずにしまわなくては・・。

   (勿論、私は使用しません。
  この鼻眼鏡、事件のキーポイントにもなりました)

   そう言えば、この丸い鼻眼鏡、
  ジェムシーナ小母さん も、 ミス・マープル も似合いますこと!


 
 

   注:1  キリストの最後の晩餐会の12人の使徒と、
       師を裏切って敵方に売るために、1番先に席を
       立って出て行ったのが、「イスカリオテのユダ」。

   注:2  ギリシャ神話。
       争いの女神が最上の美女に与えると言って
       投げたリンゴを3女神が争い、その審判役を
       トロイの王子パリスが務め、アフロディテに与え、
       その報復にギリシャからヘレネを連れ帰る。
       これがトロイ戦争の発端となる。

胸元に赤いキラッ☆

2012-02-28 16:07:26 | 煌きの硝子(ランプ含む)







レスリーは安っぽいクリーム色の綿ボイルの
質素な服に例の 真紅 の帯を締めていた。
レスリーが 真紅 の色を
付けていない事は1度もなかった。
例え1輪の花にしろ、身の周りのどこかに
が光っていないと気が済まないのだと
アンに語った事があった。
アンにとってそれはかの燃える色の外、
あらゆる表現を拒まれているレスリーの
強烈な閉じ込められた個性を
象徴しているようにいつも思われた。
                 【「アンの夢の家」 第23章】


   こちらは1点の雲もない冬日和となりました。
  ただ、起き抜けの気温は昨日より2度ばかり低く・・。

   従って庭の如露の水は、今年何度目かの凍結を見ました。
  それでも日射しがありますので随分、救われます。

   レース越しに入る日光が、東側の窓辺に吊るしている、
  ローズゼラニウムの葉っぱの陰影をテーブルに映し込み、
  それは、さながらロマンティックなテーブルクロスのよう。

   ただし時間限定。
  そして、今日のように晴れた日に限るのですけれど。




   さて、外はまだまだ冷たく寒いけれど、
  ひたひたと迫る春の足音を感じる、今日この頃。

   おまけに今日のようにお天気が良いと何となく気分が華やいで・・。
  ちょっと気分転換。そんな事、ありませんか・・?

   そんな時、今着ている黒いセーターの上に赤いキラッ☆ を纏(まと)いたくなりました。
  今日のレスリーではないけれど、私も黒い服に “赤” は大好きです。後、濃紺などにも。

   ところで、ビーズのネックレスは大好きなのですが、
  どんなに気を付けていても引っ掛けたらお終い。

   最近の物は糸が切れるという事はありませんが、
  昔の物は糸が布製の物もあり、いつか外出先で糸が切れて往生した事も。

   でもある意味、そんな儚さがビーズに惹かれる理由かも知れません。
  その儚さは一瞬の命の煌きのよう。それは硝子にもありますものね。

   つい先程まで晴れていた空も、いつの間にか真珠色に。
  深夜辺りから再び、お天気崩れるようです。

時空列車に揺られて

2012-02-27 15:45:15 | A・クリスティーの館



【アンティークな銅のポット】
 


空には一点の雲もなく、
石を投げれば石の当たる、
際どい音が響いて来そうな硬い青空である。
       【三島由紀夫著 「暁の寺」~「豊饒の海」 第3巻】


   一旦、日の出を見たものの、
  今日は時折、風花の舞う
  寒い朝となりました。

   ただ如露の水の凍結も
  ありませんし、一時の
  あの寒さではありません。
  そんな時・・。
  
   南側の窓から見る空は、
  今日も真珠色・・
  
   うんざりしたものですが、
  ふと明り取りの窓から見た空は真っ青。
  
   慌てて庭に出てみましたら・・。
  西と北の空は雲が抜けて一面の青空。そう、その青空。

   吉屋信子が “陶器の青み” なら、今日の三島由紀夫は、
  “石の当たる際どい音が響いて・・” とあります。
  期せずして2人の著名な作家が青空は、硬質なものだと。
  
   季節にもよるかと思いますが、冷たく凛とした冬の青空は、
  鋭くて、私も同様な事を感じたものです。作家の感性を思います。

   真珠色だった南の空も、お昼過ぎには青空に。
  あの雲は一体、どこに行ったのでしょう。




   さて、今日は革のトランクを
  取り出しました。
  いつか映画で観たワンシーンを真似て。

   今日のトランクは、新しい物ですが、
  年代物の古いトランクも大好きなのです。

   ポーターに2、3個重ねたトランクを
  列車に運び込ませ、私は後からゆっくり
  長いスカートの裾をつまみ上げ、
  優雅に客車に乗り込みます。
  ~なんて。

   でも、A・クリスティーの世界なら、
  きっとこんな世界。

   それと言うのも今、読んでいる
  「エッジウェア卿殺人事件」。

   あら・・「オリエント急行殺人事件」
  の方が良かったですね。

   後もう少しで終わるのですが、
  今回ばかりはポアロの
  「灰色の脳細胞」 も珍しく湿りがち。

   いつもの事ながら・・犯人らしい人物は現れては消え・・。   
  勿論、今目を付けている人物はいます。でも単なる憶測では駄目ですね。
  きちんと解明出来ませんと。さて、さて・・?

“焼物” の不思議空間 ~ その2

2012-02-26 16:35:18 | 趣味の器(壺)~その他




   雨は降っていないものの、重い空で明けました。
  寒さは、意外にありません。昨日とほぼ同じくらい。
  あの一時の寒さに比べれば、寧ろ暖かいと言っていいでしょう。

   南の窓のカーテン越しに射し込む、光の一筋、二筋。
  重かった空も、少しずつ少しずつ・・回復しているようです。



                                 【横から】
   さて、今日も昨日の続きです。
  冒頭の写真は、もうお馴染みの
  茶系、土物の壺です。

   丸いのが信楽焼で他は備前焼。
  2枚目以降は私にしては珍しい、
  ブルー系の洋風の壺です。

   写真では、ちょっと暗くて
  分かりにくいのですが、
  2枚目に至っては、濃紺地にブルーの
  花柄模様で実はイタリア製。

   イタリアと言えば、
  それこそ色鮮やかで、
  トロピカルな壺を想像しますが、
  こんな色合いの物もあるのですね。

   どこか日本的で気に入っています。
  一方、こちらの壺。 

   実は、コバルトブルーなのです。
  紺色に見えますが・・。

   この色こそ、イタリアの海のよう
  ですからこちらも・・? 
  と思いがちですが日本製。面白いですね。

   ところで、焼物の産地の苦境は既に記しましたが、
  連日お伝えしている焼物研究家のロバート・イエリン。
  氏は言います。

   「窯元を訪ねて作品を見せて貰ったけれど、とっくり ばかり。
  それはいい物であるが、売れる物を作らないと
  作家も生活出来なくなっている」
~と。そして・・。

   「今の日本人は、あまりにも 簡単、便利 を求めている」 とも。
  そして氏は次のように訴えています。ここでも 当たり前

   当たり前がいかに貴重なものか・・。
  つい最近、私達は身に沁みて分かった筈ですのに。
  何事も失ってからでは遅いですものね。何だか耳が痛いです。



“焼物” の不思議空間

2012-02-25 16:28:26 | 趣味の器(壺)~その他







狭いチョコレート色の棚には造花を一杯挿した
花瓶が載っていたが、その造花は20年も
前から造花として存在していたものである。
世の中にこれほど醜悪な、感じの悪いものが
あろうとは信じられないほどだった。
「この部屋はよそよそしい ――
私にいて貰いたくないのだ ――
ここでは決して私は くつろげないわ
                【「エミリーはのぼる」 第六章】


   またもや雨となりました。
  とは言え、起床時は冷たい雨ではありません。

   今の処、それ程の寒さは感じませんが、
  この雨は寒気を伴ってやって来たといいますから、
  今晩辺りからぐっと冷え込むのでしょうね。

   紛れもなく春は、迫っていますが、
  なかなか一気に・・とは行かないようですね。
  これからも紆余曲折があるのでしょう。




   さて、陶芸産業の衰退を記したのは、
  つい昨日の事ですが、漆工芸も
  同様の現象なのだそうですね。

   という事は、日本の伝統工芸の
  危機ではありませんか。

   所謂、陶器の器は
  日本料理ならではのものですものね。

   機能性だけを重視すれば、
  大皿1枚で足りる訳ですから。

   「焼物は、
  目に見えるポエム」

  ~とはアメリカ人のロバート・イエリン。

   日本の焼物に魅せられた、
  焼物研究家ですが、
  その外国の方が日本の伝統産業の
  行く末を憂えていらっしゃいます。

   そう言えば近くの病院。
  今は知りませんが、その病院は、
  病院食の器が全て有田焼でした。

   何でも院長先生の奥様が有田焼に凝っていらして、
  その奥様のアイデア・・と耳にした事があります。素晴らしいですね。

   ふと、学校給食に使えば・・  
  ~無機質な食器より余程いいと思ったのですが・・。
  焼物の産地や、その特性を教えたりもして。

   尤も、取り扱い方、コスト、等など・・
  様々な反対意見は、必至(ひっし)でしょうけれど。

   ところで、既に何度か記していますが、器と並んで大好きなのが壺。
  そこにあるだけで心、和みます。
  丸い物、四角い物、細長い物、大小様々な物。

   人の手になる温もりと、その質感。不思議に落ち着くのです。
  上記の引用文ではありませんが、何より寛げる事が1番ですものね。

   その壺、大きな物は傘立てやテーブルに。
  中小の物も花瓶にするだけでなく結構、普段使いを。
  そうそう右斜め上の壺には、無造作にスーパーの袋などを入れています。

先取りした春

2012-02-24 16:51:57 | 趣味の器(壺)~その他









それは綺麗に艶出ししたマホガニーの
丸テーブルで、真ん中には花瓶に入れた薔薇が
飾ってあり、真っ白なレースの花瓶敷きが
ピカピカしたテーブルの表面に
しっとりとした感じで載っている。
果物が1皿出ているが、
デザート皿は3枚とも手つかずだ。
飲み残しの 珈琲カップ が3つ ――
          【「A・クリスティー著 「イタリア貴族殺人事件」】








   起床時こそ、
  重い空でしたが、
  午前8時半頃には
  青空が戻って来ました。

   今日も暖かさは継続中です。
  そのせいか、堅く閉ざして
  いた、お隣の梅も、やっと1輪、
  2輪・・の開花を見ました。

   それでも去年よりは
  2週間ばかり遅れているでしょうか・・。
  それだけ今年の冬が寒いという事なのでしょうね。












   さて、今日のように
  日射しが和らぎ、いかにも
  春らしくなって来ますと、
  テーブルコーナーも又、春の
  装いをしたくなりました。

   ここは大好きなレースで。
  でも1ヶ所だけにして
  置きましょう。

   あの屋根裏部屋雰囲気の
  セピア色の部屋は、
  もう暫く今のままで。

   以前は、やたらに
  明るい部屋が好きで、
  窓に拘ったものです。

   しかしながら年齢と共に
  好みは変わるものですね。

   ましてや、
  穴蔵が好きになるなんて。

   折角春色に模様替えしたのですから、
  今日は、ここでお茶を頂く事に
  致しましょう。

   昨日の今日ですのに、
  こんな事でいいのかしら。

   でも、折角丸福のプリンが
  手に入ったものですから。

   ~なんて。早くも言い訳三昧です。
  プリンの入っている、桜の花びらのような器は、「たち吉」 製。

   同じく(たち吉製ではありませんが)
  桜の花びらをイメージした珈琲カップがありますので、
  (桜の季節まで待とうとも思ったのですが)
  思い立ったが吉日とばかりに。(もう1客は若草色のペアカップ)

   ところで最近、陶器が売れないとの新聞記事を目にしました。
  このままでは、伝統ある日本の陶芸産業が
  衰退の一途を辿るばかりとか。

   その1番の原因は、
  家庭で料理を作らなくなった事だと言います。

   コンビニ弁当などの普及で、
  わざわざ器に盛らなくても良くなったのだとか。

   器1つで料理も活きると思うのですが。
  少なくとも紙皿よりは・・。

   一方、去年の震災や、「断舎離」 などの普及もあって、
  最低限の物だけで生活する、メリットのようなものも叫ばれています。
  さしずめ、なかなか物が捨てられない私などは、常に迷う処です。      

律する美意識

2012-02-23 17:12:27 | ハーブと香り雑学










間食 は全く、身体に悪いと思いますよ。
それだからこそ、山彦荘では始終、
間食をするのです。
シャーロッタ四世も私も、
食養生など一切無視して、
特別に消化の悪いものばかり、
夜でも昼でも、食べるので、
こんなに月桂樹のように私達丈夫なのよ。
別に死にもしないしね。・・・
                【「アンの青春」 第27章】


   





   今日は雨となりました。
  それ程、強い雨ではありません。暖かい雨。
  それは昨日以上の暖かさになっています。

   点けていたストーブも消してしまいました。
  これからは一雨ごとに暖かくなって行くのでしょうね。









【「備前焼」 の湯呑 &「 創作陶器艶五郎」 の1輪挿し 】



   




   さて、今日の写真。
  いつものお茶風景ですが、
  今日のお茶は 「牛蒡(ごぼう)茶」 です。

   それと言いますのも・・最近、何かと話題の南雲吉則医師。
  実年齢は56歳なのに、見た目は20歳近くも若く見えるとか。

   それも然(さ)る事ながら血管年齢26歳、骨年齢28歳、
  脳年齢38歳・・というのも驚きと同時に魅力です。

   “では一体、どうして・・?” 
  と私ならず、誰しも興味津々ですね。

   とどのつまりは1日1食。それも腹六分目。
  それは、すなわち 「一汁一菜 & 6割お茶碗ダイエット」 という訳です。
  珈琲、紅茶、甘い物、肉も駄目。お茶は手作りの 「牛蒡茶」 と言います。

   鑑(かんが)みて私は・・と言いますと・・。
  1日1食・・? お腹が空きますね。考えた事もありません。

   珈琲、紅茶は・・。
  それを毎日頂く事を無上の喜びとしています。

   甘い物は、元々好きではありませんが、そんな事を言いながら、
  ついそこら辺にあるものをつまんでしまう事が日課に。
  お肉は頂かなくても大丈夫ですけれど。

   こんな自分に甘い私が手っ取り早く出来る事は、
  取り敢えず 「牛蒡茶」 を頂く事だけ・・という有様です。

   それにしても折角の牛蒡茶ですのに、
  大福がお茶請けとは何をやっているのだか。

   今日、生協から届いたのですもの。
  北海道は 「源助さんの熊笹きな粉餅」。

   そうそう、肝心の牛蒡茶。当然の事ですが、牛蒡の味。
  意外にまろやか。美味しいです。

   若返り、アンチ・エイジング、
  ダイエット効果抜群なのだそうですね。

   その他にも便秘解消、大腸癌予防、風邪予防、高血圧等など・・。
  当分は、牛蒡茶だけでも続けて行く事に致しましょう。

早春の雅(みやび)な香り

2012-02-22 15:16:57 | 路傍の花~道草
















まだ蕾の 沈丁花 がテラスを取り囲み、
テラスの一角の餌場は、
本館と同じ赤瓦の屋根を付けていた。
そこに群がっていた小雀こがらたちは、
針で突ついたような啼音なきねを立てて、
近付く本多と慶子の姿を見るなりった。
        【三島由紀夫著 「暁の寺」~豊饒の海第3巻】




   日の出前の空は、
  薄紫色のこんな優しい空に。

   この空と同様、随分、
  寒気の緩んだ朝となりました。
  何でも3月中旬の気候とか。

   そんな春の兆しを感じた
  今朝、「匂い菫」 がいよいよ
  首をもたげて 来ました。
  【注 : 茎立(くくたち)】

   一方、本当に長い事独り旅を
  続けていた菫は、安心したように、ひっそりとその役目を終え・・。

   長い事、お疲れ様!
  ここにも菫たちのドラマがあるようですね。












   さて、今日の写真。
  昨日の公園のものです。

   私の住んでいる山側は、
  まだまだ開花していませんが、
  こちら平野部の公園では
  1輪、2輪と・・綻びつつ
  あるようです。

   今日などは暖かいですから、
  一気に花開くかも知れませんね。

   そうそう、そこでは沈丁花も
  沢山の花芽を付け・・。

   丁度、上記の引用文
  そのままの光景が
  繰り広げられていたものです。

   それにしても小さな雀の事を
  「小雀(こがら)」~なんて。

   この年になって又、
  1つ言葉を覚えました。

   そんなこんなで・・。
  一昨日に引き続き、今日も梅の事を。

   昔の人が、いかに梅を愛していたかという事は、
  先日の 【梅に鶯】 でも十分、感じ取れます。

   もう1つ、学問の神様、菅原道真の 「飛梅伝説」 も、
  あまりにも有名ですね。

   前回の村上天皇と同様、道真も又、
  梅をこよなく愛したと言います。

   それは、大宰府に左遷される時、大切にしていた庭の梅の木に、
  次のような別れの歌を贈った事でも分かりますね。

       東風こち吹かば匂ひおこせよ梅の花
                  あるじなしとて春を忘るな」


   その梅が道真を慕って、遥か大宰府まで飛んで
  行ったというのが、この伝説のいわれです。
  何と言う壮大なロマンでしょう。

   四季があるからこそ培われた
  日本人の繊細な感性、素晴らしいですね。

   季節は移ろい、厳寒の冬も必ず去って行きます。
  先人は、他の花に先駆けて咲くこの梅の花に、
  勇気と希望を貰った事でしょう。

   今年は桜の花も、
  例年とは違った目で眺める事が出来そうです。

迷い込んだセピア色の空間

2012-02-21 18:58:38 | レトロ(素敵)な空間~散策

【蔵のある家】


【「クロマツ」 が屋根に】












公園には海岸防備の円形砲塔ほうとうが立っており・・・
(中略)
他にも好事家こうずかの目に留まる 史蹟 があるが、
町の中心を占めるオールド・セント・ジョン墓地
ほど野趣に富んだ、気持ちの良い場所はない。
静かな町の両側に 旧式な家 が立ち並び、
他の方面は人通りの激しい活気に溢れた
近代的な街路になっている。
                    【「アンの愛情」 第4章】


   





   3日連続の快晴の朝を迎えました。
  ただ昨日までと違うのは、淡い水色の空。
  それは春を思わせる優しい色の空です。

   起き抜けの気温も、今朝は昨日より2度ばかり高くなりました。
  しかしながら昨日と違って日中は、真珠色の空に。
  お日様の恩恵がない分、気温以上に薄ら寒く感じたものです。
  








 
【後ろは中学校】




   さて、今日は用事があって
  下の街まで。

   そして、恒例の
  “帰り途の道草” ではなく、
  駅から南側を辿る事に。

   南側は、生活圏では
  ありませんので、普段は
  ほとんど訪れる事はありません。

   そう言えば、この町にも昔、
  お城があったようで、
  跡地は公園に。

   その周辺の町は、
  「城○町」 というように、
  いくつかの城の付いた
  名前になっています。

   又、上記以外の、
  お城に所縁(ゆかり)のある
  地名も当時を偲ばせます。
  例えば○丸町のように。

   と言っても辺りは、
  すっかり様変わりしていますから、
  石碑などでしか確認出来ませんけれど。

   それでも今日の引用文の如く・・
  こんな兵舎跡地も。(明治から先の終戦まで)
  今の今まで全く知りませんでした。

   そして同じく、旧式な家も。(冒頭の写真)
  いつの間にか、セピア色の、
  こんな一角に入り込んでいました。

   蔵のある木造の古風な家並みは、
  今日のタイトルでもある、セピア色の空間。

   中でも 「クロマツ」 のお宅は圧巻。
  家も松も、確か重要文化財ではなかったかしら・・?
  左上の黄色いタオルが邪魔ですが、それもご愛嬌という事で。 








 
 



     黄色いタオルが、やはり気になりますので
   写真、差し替えさせて頂きました。

白梅慕情

2012-02-20 15:58:18 | 四季のスケッチ


【青い空を背景に出番を待つ 「梅」】











墻角数枝梅
凌寒独自開
遥知不是雪
為有暗香来
            【北宋・王安石(1021~1086) 「梅花」】

墻角しょうかく数枝すうしの梅
寒さをしのぎて独自ひとり開く
遥かに是れ雪にあらざるを知るは
暗香あんこうの来るが為なり










   






   昨日とほぼ同じ快晴の空で明けました。気温も同じ。
  ただ日中は凍てつく寒さに震えた昨日に比べ、随分暖かく感じます。

   そう言えば・・。
  この寒さのせいなのでしょうね、梅の開花が遅れています。

   借景とさせて頂いている、お隣の梅も、
  一昨年は1週間も前に、既に上の写真のように開花しています。
  (生憎、昨年は写真を撮っていません)

   これまで私は、梅に関しては桜に比べ、
  ほとんど無関心でしたが、今年ばかりは、どうやら例外のようです。

   百花に先駆け、いち早く厳寒の季節に咲く梅。
  それゆえに、昔から不屈の精神の象徴ともされて来た梅。

   今年が、稀にみる厳寒の冬ですから、昔の人々の梅の開花を待ち侘びた、
  その気持ちが余計に分かる気がするのかも知れません。

   それにしても先日の 【鶯に託した想い】 と言い・・
  気品溢れる梅の花びらと、その香気。

   今日の引用文もそうですが、床しさと高潔さを併せ持つ梅だからこそ、
  遥か1000年も前から人々を魅了して来たのでしょう。

   その引用文、早春の淡雪の中に、清らかな香りを放ちながら、
  咲き誇る梅の情景が目に浮かぶようです。
  今年は、どこか梅の名所に出掛けたくなりました。










   




   寒さに負けない・・と言えば、
  こちらのパンジー(三色菫)も双璧ですね。

   朝などは、カチカチに凍っているように見えましたのに、
  お日様が当たると、首をシャキッともたげて来ます。

   パンジーの語源は、フランス語の “パンセ”(思う、考える)が語源ですが、
  その由来の通り、物思いに耽る人の顔を連想させますものね。
  ちょっと、はにかんだような笑顔のパンジー、大好きです。