「モンタギューコーナー卿は、殺人の あった夜、晩餐会でレイディ・エッジウェアと 交わした会話に触れる。 こんなのを受け答えるのは造作ない。 しかし、その後で、 “応報天罰の女神”が、彼女に襲いかかる。 『パリスの審判』 という言葉が言われた時、 無知な彼女は、そのパリスを、 自分の知っている唯一のパリスと取り違える。 ―― ファッションと虚飾のパリと! 【A・クリスティー著 「エッジウェア卿殺人事件」】 |
予報通り昨晩遅くから降り出した雨。
朝には上がるとの事でしたが、
起床時には、まだ若干残っていました。
それでも午前8時頃には完全に上がったようです。
そう言えば昨夜、俄かに“暖かい・・”
と感じたのは、雨が降り出す頃からだったでしょうか・・。
これからは一雨、一雨・・春が近付くのは間違いないようです。
明日からは3月ですものね。今では青空も戻り、暖かくなりました。
さて、一昨日の今日ですが、A・クリスティー作、
「エッジウェア卿殺人事件」 読了。
この物語は、エッジウェア卿夫人でもあり、美しい女優でもある、
ジェーン・ウィルキンスンと、その彼女の物真似を得意とする、
カーロッタ・アダムスの公演をポアロが観劇する場面から始まります。
あろう事かその晩、物真似された当の本人、
ジェーン・ウィルキンスンから離婚に応じない夫を
説得してくれるよう依頼されたポアロ。
そのエッジウェア卿が殺害され、
当然妻のジェーン・ウィルキンスンに容疑がかかります。
しかし彼女には晩餐会に出席したという鉄壁のアリバイが・・。
しかもその出席者の人数は、13人。
13という数字は、キリスト教国では
忌み嫌われている数字ですものね。
(13という数字には 「裏切り者のユダ」(注:1)
の刻印が押されてしまったようです)
ここでも、その不吉な13人目の出席者は、
真っ先に退場して行きました。
ここから例の如く犯人らしい人物が現れては消え・・。
先日も記しましたが、ポアロの灰色の脳細胞も
珍しく湿りがちだったものです。
でも、今回ばかりは私は犯人をピタリと当てました。
ただ単なる勘で、ポアロのように筋道立てて
解明など出来ませんけれど。
クリスティー物は、登場人物の多さに翻弄(ほんろう)されます。
でも、ほんの少しですが、そのパターンが
分かって来たような気がします。
それにしても 『パリスの審判』。(注:2)
結局、これが運命の分かれ道でしたね。
彼女は、こんな風に答えてしまったのですから。
さて、ゴトゴト揺られていましたが・・
列車は漸(ようや)く目的地に着いたようです。
長時間の列車。さすがに疲れて来ました。
そろそろ網棚から荷物を下ろさなければなりません。
そうそう読書に使った、エリスの鼻眼鏡も、
忘れずにしまわなくては・・。
(勿論、私は使用しません。
この鼻眼鏡、事件のキーポイントにもなりました)
そう言えば、この丸い鼻眼鏡、
ジェムシーナ小母さん も、 ミス・マープル も似合いますこと!
注:1 キリストの最後の晩餐会の12人の使徒と、
師を裏切って敵方に売るために、1番先に席を
立って出て行ったのが、「イスカリオテのユダ」。
注:2 ギリシャ神話。
争いの女神が最上の美女に与えると言って
投げたリンゴを3女神が争い、その審判役を
トロイの王子パリスが務め、アフロディテに与え、
その報復にギリシャからヘレネを連れ帰る。
これがトロイ戦争の発端となる。