【いくつになってもアン気分】

 大好きなアンのように瑞々しい感性を持ち、心豊かな毎日を送れたら・・。
そんな願いを込めて日々の暮らしを綴ります。

映画 「マダム・フローレンス! 夢見るふたり」

2016-12-14 19:38:35 | 映画の香り














   今季一番の寒波がやって来ているようですね。
  室内にいると、それほどでもありませんが、
  外に出ると、風の冷たさにびっくりします。

   今年の冬は、これまでそれ程の寒さを感じずに来ましたが、
  週末に向けて真冬並みの寒さになるとか。

   尤も来週になれば、再び暖かくなるそうですが。
  暖かかったり寒かったり。体調管理には気を付けなければなりませんね。








 







   
   さて、昨日は本当に久し振り、映画を観て来ました。
  メリル・ストリープとヒュー・グラント主演のこの映画は、
  予告段階から絶対に観ようと決めていたものです。

   メリル・ストリープの映画は、これまで何度か観ましたが、
  今回も相変わらず素晴らしかったです。

   演技達者な彼女の役は、実在したソプラノ歌手、
  フローレンス・フォスター・ジェンキンス(1868~1944)。

   ソプラノ歌手となっていますが、
  その実態は? と言いますと・・実は、稀に見る音痴なのです。

   とは言え、人一倍、音楽に対する情熱があり、
  音楽の持つ力を心から信じている・・。

   音楽があったからこそ、重い病気があるのに(梅毒)、
  ここまで生きて来られたとも。
  (医師もここまで生きているのが信じられないと言っていました)

   そして、夫を演じるヒュー・グラントもコミカルで紳士的、
  陰になり日向になり妻を支える献身的な役が、ピッタリでした。
  尤も、(それなりに)訳アリではあったのですが・・

   伴奏担当のサイモン・ベルハークも、コミカルで
  重要な役どころを担っていて、憎めないキャラ。
  ピアノの腕前も素晴らしかったです。

   前述のソプラノ歌手の話に戻りましょう。
  彼女の十八番は、モーツァルトの 「魔笛」、第2章のアリア。
  超絶難曲と言われているものです。

   その曲を彼女は必ず歌う訳ですが、
  音程の外れた高音が、キンキンと響き渡ります。
  観客は、最初ビックリし、やがて笑い、頬を膨らませる・・。

   しかしながら彼女自身は、大真面目に取り組んでいましたから、
  そんな反応さえも、音楽を楽しんでいるのだと心から信じて疑いません。
  同時に彼女は、観客達の笑顔が大好きだったのです。

   尤も、不思議な事に、いつの間にか観客も
  彼女の魅力に、どんどん引き込まれて行くのですが・・。
  勿論、私自身も。

   そうそう、音楽の殿堂、カーネギーホールで行われた、
  リサイタルの観客動員は、未だに破られていないそうですね。

   それにしてもリサイタルの行なわれた1944年と言えば、
  第二次大戦の末期。当時の日本と比べ、アメリカの豊かさと言ったら・・。

   各所で流されるBGM 。
  クラシックな映像と衣装やセットと相まって、
  たっぷり雰囲気を味わわせて頂きました。

   どこかしら切なくて・・それでいて楽しくて。
  素晴らしい映画でした。

映画 「グレース・オブ・モナコ」 ~ 公妃の切り札

2014-11-05 19:47:18 | 映画の香り







   昨日よりは少々、雲が多いものの、
  概ね晴れの天気になりました。
  それにしても朝方は随分、冷えました。

   ただ、意外にも家の中より外の方が暖かです。
  着込んで外出しましたので、余計にそんな風に思ったのかも知れません。

   と言いますのも、今日は映画を観て来ました。
  その映画とは、『グレース・オブ・モナコ ~ 公妃の切り札』 です。







 

 












   私は、とりわけこのような王室物語の類(たぐい)の映画が大好き。
  となれば・・見逃さない手はありません。

   オスカー女優、グレース・ケリーがモナコ公妃となった物語。
  実話に基づいた映画という訳です。

   私にとって本当に久し振りの映画となりましたが、
  ただただ、この公妃、グレース・ケリー役の
  二コール・キッドマンの美しさに、あらゆる面で釘付け。

   彼女は美人女優とは思っていましたが、これほどとは・・。
  全編、うっとり。

   何より、グレースと見間違うほどに公妃に成り切っていて、
  女優魂というものを感じずにはいられません。

   その中でも特別目を引いた薔薇柄のドレスと帽子、
  赤と黒のファッション & サングラス。
  素敵過ぎて溜息です。私自身、大好きなファッションですから。

   ところで、あろう事かパンフレットが売り切れ。
  脳裏に焼き付いている映像をパンフレットを見ながら、
  珈琲片手に余韻に浸ろうと思っていましたのに。
  折角の思いが台無しです。

   私はすぐ引き下がったのですが、
  すぐ後に買いに来られた方は色々、質問を。

   「今、注文しているが、いつ入荷するか分からない」
  「予約しても駄目。入荷した時点で売れたらお終い」 等など。

   聞くともなしに聞いていましたが、
  売店の方の、にべもない言葉に唖然とされた様子。

   それにしても話題の映画、数あれど、
  これまで上映期間中にパンフレットがない・・
  というのは初めての経験です。前代未聞。

   しかも 「良くあること・・」
  ~なんて悪びれもせず言っていましたから。

   ひょっとしたら、入荷待ちというのも嘘かも知れません。
  こんな事は考えたくはありませんが。
  兎にも角にも残念です。 

映画 「サウンドオブミュージック」

2014-09-12 20:05:58 | 映画の香り






 







   今日も、カラッとした秋晴れになりました。
  今年は秋の訪れが早いですね。

   そんな中、映画 「サウンドオブミュージック」
  を観て来ました。1964年(昭和39年)の古い映画です。
  そもそも私自身、本当に久し振りの映画観賞となりました。

   実は、わが町の映画館で丁度今、
  「新・午前十時の映画祭デジタルで蘇る永遠の名作
  と題して、古今東西の名作を各々、二週間ずつ上映しているのです。
  今日の映画は、まさしくその中の一作という訳です。

   この映画は随分、昔にテレビで見た事があります。
  その時、感動した事は心に強く残っています。

   その映画が上映されるとあっては、観ない訳には参りません。
  最近、とみに重くなった腰も上がるというものです。

   それにしても人間の記憶力のいい加減さ。
  覚えているのは、「ドレミの歌」 を初めとする一連の音楽だけ。

   物語の筋なんて、ほとんど忘れています。
  初めて観るのと同じです。

   それでも、やはり名作中の名作です。
  今日、改めて感動して帰って参りました。
  私の中でも、ベスト3に入る名作と言えるでしょう。

   映画の舞台は、第二次世界大戦中。
  まさにドイツに併合されんとしているオーストリアです。

   又、この映画はドイツ軍に抵抗し、亡命せざるを得なくなった、
  トラップ一家の実話をベースにしているそうですね。

   とは言え、戦争を前面に押し出してはいませんから、
  暗い映画ではありません。

   どちらかと言えば、テンポがあり、
  軽快で明るい映画でしょう。

   天真爛漫な修道女マリアが、
  トラップ大佐の7人の子供達の家庭教師として派遣され、
  妻を失った事から傷付き、依怙地になった父親(大佐)と、
  その父親から愛情を受けたいばかりに悪戯を繰り返す子供達。

   その子供達を歌を歌う事によって救い、
  家族の絆を取り戻す・・というものです。
  勿論、最初に教えたのは、あの 「ドレミの歌」。

   この映画は、改めて歌(音楽)の素晴らしさを教えてくれました。
  同時にハモる喜びも。心が幸せでないと歌は歌えませんものね。

   そうそう、草原を駆け抜け大空の下で歌うマリアに、
  やはり私は、アン を重ねていました。

   アンは歌こそ歌いませんが、詩を作りますものね。
  でも、(アンと同様のロマンティックな詩を)
  マリアは美しい声で歌うのです。

   大佐も音楽を封印していたようです。
  「エーデルワイス」 を歌う姿は、なかなか魅力的です。

   それでも映画の中には戦争の悲惨さも垣間見えます。
  でもマリアと大佐は結婚し、亡命は悲劇ですが、ものは考えよう。
  成功するのですから、ハッピーエンドと言えますね。

映画 「アンナ・カレーニナ」 ~ 運命の愛

2013-04-11 17:45:57 | 映画の香り



   今日も概ね晴れの天気になりました。
  それにしても今朝の寒かったこと!

   どうやら寒の戻りのようで、
  朝だけではなく、日中もあまり気温が上がりません。
  今年は本当に気候が不安定ですね。

   さて、昨日の映画。
  私にとっては本当に久し振りの映画となりました。

   その映画とは勿論、イギリス映画 『アンナ・カレーニナ』。
  今を時めく凛とした美貌の女優、キーラ・ナイトレイ主演です。

   昨日も記しましたが、贔屓(ひいき)にしていた地元の映画館が
  なくなった事で、映画熱がプツンと切れたと言いますか・・。

   これでも昔は、手当たり次第に観ていたものです。
  今の私は、好みがかなりはっきりしていますので。

   その意味ではイギリス、フランス、イタリア映画等など・・
  厳選して封切っていましたから重宝していたという訳です。

   それに何より近くというのが一番ですものね。
  ~なんて。いい加減に諦めなければいけません。












   前置きが長くなりました。
  申すまでもなく、「アンナ・カレーニナ」 と言えば、
  ロシアの文豪、トルストイ作。これまで何度も映画化されていますね。

   残念ながら私は観ていないのですが、
  1997年にはソフィー・マルソーの主演でも。(米映画)
  そう言えば、カトリーヌ・ドヌーヴも、この役をやりたかったそうですね。

   「運命の愛」 なんてロマンティックに記しましたが、
  一言で言えば、不倫愛。尤も、一言で記す事ではないかも知れませんが。

   とは言え、帝政ロシア末期(1870年代)のロシア貴族の暮らし振りや、
  豪華絢爛な衣裳や宝石、きらびやかな社交界、華麗なダンス等など・・
  次から次へと繰り広げられるそれは、まるで舞台。

   おまけに、アンナ・カレーニナ役の
  キーラ・ナイトレイの洗練された美しさと言いましたら・・。
  彼女が社交界の華である事は言うまでもありません。

   そうそう、この映画はアカデミー賞衣裳デザイン賞を
  受賞したそうですね。(実際は、シャネルの衣裳とか)
  久々に観ているだけで、うっとりの映画でした。

   ところで一番下の写真の衣裳。
  ここでは普段着? のようですが(勿論、スカートは針金入りで膨らんでいます)
  色、デザイン共に私の好み。画面上でも思わず引き付けられ・・。

   立ち襟で短めの丈のブラウス。素材は絹でしょうか。
  スカートは長めのフレアー、もしくは A ラインにすれば、
  今でも十分、着れますね。  

映画 「木洩れ日の家で」

2011-09-18 20:32:32 | 映画の香り




   気温は、それ程下がった
  訳ではないのですが、今日は
  爽やかな朝を迎えました。

   これまでがこれまで
  でしたものね。

   余計にそんな風に
  感じたのかも知れません。

   下の写真は
  早朝の朝焼けの空。
  東と南の空です。  

   さて今日は予(かね)てから
  観ようと決めていた、
  ポーランド映画、
  『木洩れ日の家で』
  を観て来ました。

   9月末で閉館が決まっている映画館。
  今会員は、ほとんどの映画が1000円で観る事が
  出来るようになっています。

   今日は閉館が間近という事や、
  日曜日という事もあったのでしょうね、
  かなりの人出。

   尤も、普段に比べれば・・ですが。
  それでも、いつも今日くらいの人出があれば、
  閉じる事もありませんでしたのに。

   ~なんて、つい思ってしまいます。
  得てしてこんなものなのでしょうけれど。

   ~話が逸れました。
  『木洩れ日の家で』 というタイトルにまず惹かれた私。
  それにしても、モノクロームの映画がこんなに美しいなんて。

   見慣れたカラーではありませんのに、
  違和感など全くなく、見事に溶け込んでいたものです。
  観終わるまでモノクロームという意識すらありませんでしたから。

   映画の舞台は、ポーランド、ワルシャワ郊外の森の中。
  そこにひっそり佇む、古色蒼然たる屋敷。

   木洩れ日に一面の硝子窓がキラキラ輝きます。
  私などは、もうそれだけで、ワクワク。

   屋敷の住人は91歳のアニェラ(ダヌタ・シャフラルスカ)と
  愛犬フィラデルフィア(フィラ)。

   両親の残してくれた家に住み続け、夫はとうに他界。
  息子は結婚と同時にこの家を出て行き・・。

   若かりし頃の甘美な思い出と、
  去来する少年時代の愛らしい息子の姿。

   しかしながら、その息子からは同居を断られ、
  家の相続を巡るいさかい。

   そして彼女の思い切った決断。
  とは言え、最近では良くあるパターンでもありますね。

   映画は、ほとんど二人? の対話劇です。
  淡々と静かに進んで行きます。

   この犬が実に良いのです。名演技。
  目で会話出来る・・その目の表情も最高でした。

   ただ、主人公の年齢が91歳ですものね。
  度々の顔のアップには、いくら何でもちょっぴり閉口。
  姿勢や歩き方などは、年齢を感じさせないものでしたが・・。

   ところでこの屋敷、古いとは言っても確か
  2千?平米でしたから600坪余り。庭にはブランコがあり・・。

   そう言えば子供の頃、
  ブランコが無性に欲しかった事を思い出しました。
  今は、ハンモックですが・・。

   そして、ベランダでお茶・・
  ~なんていうシーンもあったのですが、
  今で言うサンルームみたいになっています。
  そこにはテーブルと椅子。

   インテリアだって結構、素敵。それこそ、レースがあって。
  方眼編みの薔薇模様のカーテンもありましたっけ。

   そうそう、極めつけは彼女のレースの肩掛け。
  それは四角だったり、三角だったり。とっかえひっかえ。
  そんな所は大層優雅です。

     


















【東の空】


【南の空】
 

ショパン~愛と哀しみの旋律

2011-08-23 18:50:38 | 映画の香り




   今日は、昨日より天気は不安定・・
  という事でしたのに、意外にも晴れ間。

   となれば映画を観に行くのに
  躊躇(ちゅうちょ)はありません。
  早速、自転車で出掛けました。

   僅か10分もあれば着きます。
  でも、こんな風に気軽に足を運ぶ
  事が出来るのも後、1ヶ月ちょっと。
  気持ちは複雑です。(詳細は 【こちら】 を)

   その映画とは、以前から観ようと決めていた、
  ポーランド映画 『ショパン ~愛と哀しみの旋律』。

   「ピアノの詩人」 として称えられ、数々の名曲を世に残しているショパンの生涯を描いたもの。
  全編が素晴らしい彼の音楽に包まれ、それだけでも観た甲斐があったというものです。

   そのショパン、キューリー夫人と共にポーランド人である事は有名ですね。
  当時ロシアの占領下にあった祖国を離れ、フランスに亡命したという事位は
  知っていても、曲以上にその生い立ちまで知ろうとした事はありません。

   その意味でも、この映画には興味がありました。
  この映画は、ショパン生誕200年を記念して作られたとか。

   先日の映画、『ナンネル・モーツァルト』 より遅れる事、
  100年弱(正確には7、80年後)の世界ですね。
  相も変わらない、煌びやかで華麗なサロンコンサートには目を奪われます。

   リストの計らいで、成功裡にサロンデビューを果たした、
  フレデリック・ショパン(ビョートル・アダムチク)は栄光の階段を上ると共に、
  稀大の人気作家、ジョルジュ・サンド(ダスタ・ステンカ)と運命的な出会いを果たします。
  (尤も、それより前に偶然の出会いもあったのですが)

   パリ社交界の寵児であり、年上の魅力的な女性との出会いは、
  パトロン的な意味合いもあって、芸術家のお決まりコース? なのかも知れません。
  ふと、ココ・シャネルとストラヴィンスキーを思い出してしまいました。

   ただ今回は、ジョルジュ・サンドの子供達2人も一緒。
  当然、母子家庭にハンサムな男性が居候する訳ですから、様々な葛藤があります。

   ジョルジュ・サンドのショパンのみならず、思春期の子供達への愛の葛藤。
  又、子供達のショパンに対する複雑な心の葛藤等など・・。
  いずれにしても平穏に治まる訳はありませんね。

   療養のために訪れた、スペイン、マヨルカ島では・・。
  鳥を数える2人。1、2・・7羽。
  「7は自分にとっては不吉な数字・・」~と言うショパン。

   結核という病気を抱えての創作活動は10年にも及んだのですね。
  結局、39歳で亡くなった訳ですが、その日は17日(10月17日)。
  何かの因縁か偶然か・・どちらなのでしょう。

   そうそう、やはり今回の映画でもこの時代の女性達のレースの使い方に私は釘付け。
  先日と同様に肩マントは勿論、髪に巻いたり、首に巻いたり。
  すっかり目の保養をさせて頂きました。

ナンネル・モーツァルト~哀しみの旅路

2011-08-03 22:25:15 | 映画の香り




   久し振りに朝からカンカン照りの
  空となりました。

   こんな日は蝉の啼く声もいつにも
  増して元気が良いような・・。

   そうそう昨夜は初めて
  虫の声を聞きました。

   もうそんな季節になったのですね。
  いつの間にか老いつつある? 
  季節に感慨を覚えます。

   そんな中、今日は又々、
  フランス映画 『ナンネル・モーツァルト
  ~哀しみの旅路』 を観て来ました。

   ヴォルフガング・アマデウス・
  モーツァルト(ダヴィッド・モロー)より
  4歳年上の姉、ナンネル・モーツァルト
  (マリー・フェレ)に、
  スポットを当てて描かれた物語。
  
   実はナンネル・モーツァルトは愛称のようです。
  正式にはマリア・アンナ・モーツァルト。

   映画は父レオポルト(マルク・バルベ)
  に音楽の薫陶を受け、その才能を開花
  させた14歳のナンネルと、既に
  「神童」 と呼ばれている11歳の弟、
  ヴォルフガングが家族と共にヨーロッパ
  を巡る演奏旅行から始まります。

   時代は18世紀半ば。
  女性がプロの道を究める事など
  考えられない時代。
  
   その上、天才を弟に持つという
  宿命を背負ったナンネル。

   そんな時代背景もあり、
  女のナンネルより弟ヴォルフガングを
  父レオポルトは溺愛。
  
   ナンネルには、ヴァイオリンに
  触れることさえ禁じるのです。

   ただ、この映画ではレオポルトの
  ナンネルに寄せる愛が
  実にさり気なく描かれています。

   そして母親(デルフィーヌ・シュイヨー)の
  深い愛も至る所で。

   「頭の中に音が聴こえるの」
  と言うナンネル。とは言え、当時は女性が作曲をする事は許されない時代。

   しかしながらナンネルは、ヴォルフガングのヴァイオリン演奏で伴奏を務め、
  聴衆を魅了して行きます。

   やがてモーツァルト一家は、ヴェルサイユ宮殿での演奏の機会を得、
  ナンネルはフランス王太子であるルイ・フェルディナン(クロヴィス・フワン)
  と出会い、恋に落ちるのです。

   ナンネルの音楽の才能に気付いた王太子は、彼女に作曲を勧め、
  ナンネルは創作の歓びに目覚めて行くのですが・・。
  
   「もしも男として生まれていたら、私達の運命は違っていた筈。
  世を支配したかも、あなたは音楽で、私は政治で」


   ~とは、心からナンネルを慕う、ルイ15世の末娘ルイーザ。
  この言葉に尽きるでしょうね。生まれた時代がもう少し遅ければ・・。
  
   (ルイーザは、枢機卿によって村の女子修道院に軟禁され、
  やがて自らの意志によってサン・ドニ修道院の請願者となる)

   この当時の音楽家の地位は低く、
  このモーツァルト一家も生活は苦しかったようです。

   それでも私は当時のファッションや部屋の家具などに目を奪われ・・。
  宮殿や貴族の家の家具は素敵です。暖炉は勿論、薔薇柄のソファーと。

   それにナンネルのファッション。
  わけても目を惹かれたのは、レースの素敵な使い方。
  
   襟ぐりの大きく開いたドレスなのですが、まるで暖簾? 
  のようなレースを替え襟のような感じで首の所で結んでいるのです。

   でも、暖簾は大袈裟かも知れませんね。
  細~い繊細なレースである事を付け加えて置きます。

映画 「しあわせの雨傘」~そうよ、人生は美しい

2011-07-06 17:40:27 | 映画の香り

【朝のジョギングが日課のブルジョア妻、スザンヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)】


【格子窓から見渡せるピンクの薔薇の花】

   起床時には太陽ギラギラ。
  昨夜の天気予報では “曇りから雨・・” ではなかったかしら・・?

   降りそうにもない空ですが、改めて予報を見てみれば、
  今日は15時から雨になっています。

   それなら大丈夫。映画を観に行く事にしましょう。
  その映画とは今の季節にぴったりですね、
  フランス映画 『しあわせの雨傘』 です。カトリーヌ・ドヌーヴ主演。

   ドヌーヴの映画は、『8人の女たち』(’02)以来。
  ドヌーヴと言えば、『シェルブールの雨傘』(’64)に代表されるように絶世の美女。
  
   (そう言えば、今日の映画にも色とりどりの傘が登場して、
  その 『シェルブールの雨傘』 を彷彿したものです。)

   ところで 『8人の女たち』 の時は、
  プロボーションを維持していて、さすがだと思ったものです。
  
   さすがに今回は、幾分丸くなったドヌーヴがそこにいましたけれど。
  とは言え、ドヌーヴはドヌーヴ。彼女の放つオーラには独特なものがありますね。

   映画は、真っ赤なジャージーに身を包み、(冒頭の写真)
  髪にカーラーを巻いたスザンヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)が、
  美しい森をジョギングする事から始まります。時代背景は1977年。

      「いつものリスが
        今朝は枝から ――
             私にウィンク」

  
   時に、ジョギングの合間に立ち止まって、詩を手帖に書き留めるスザンヌ。
  雨傘工場の社長であり、結婚30年になる夫のロベール(ファブリス・ルキーニ)は、
  典型的な亭主関白。
  
   「君は私に従えばいい。時間のムダだ。
  詩を作るだけで満足しておけ」
 
  娘からは 「飾り壺」 ~なんて言われる始末。

   そんな主婦が、工場のストライキのショックで心臓発作で倒れた夫の代わりに
  雨傘工場を経営する事になり、新しい自分を発見して行くのです。
  
   いいえ、眠っていた本能が目覚めたのかも知れません。
  彼女は、オーナーの娘ですから。
  
   工場は業績を回復し、自分の人生を歩き始めたスザンヌ。
  そこへ退院した夫が帰って来た・・。

   「もう玩具おもちゃをしまって本来の家庭の仕事に戻りなさい」
  この後のスザンヌの心の在(あ)りようは容易に想像出来ますね。   

   そんな中にも女性の繊細さとしたたかさが余す所なく描かれています。
  夫と言い争いになった妻が 「先に復讐しておいてよかった」 と。
  意味深な発言。思わず喝采。

   色とりどりの雨傘に心奪われ、そしてドヌーヴの披露する歌にも。
  兎にも角にも楽しくて素敵な映画です。
  会話自体が音楽のフランス映画にうっとり。

   最後に。国会議員になった妻へ父と娘の会話。
  飾り壺 ではなかったのね」 ~娘
  「いや、飾り壺だよ。けれど から ではない」 ~父

映画 「トスカーナの贋作」

2011-06-03 18:13:58 | 映画の香り


   今日は梅雨の中休みとなりました。
  真珠色の空ながら時折、太陽も。
  
   昨日までは、どちらかと言えば
  肌寒い位でしたが、今日はそんな事は
  ありません。湿度も少々、高め。

   そんな中、本当に久し振り
  映画に行って来ました。
  
   フランス、イタリア合作映画
  「トスカーナの贋作」 です。
  トスカーナと言えば・・。
  
   空に向かって真っ直ぐ伸びる糸杉、
  花の咲き乱れる美しい田園。
  
   大きな向日葵。
  抜けるような青空とキラキラ輝く海。
  
   ~こんな光景が浮かびますね。
  実は、この映画、その 「トスカーナ」
  そのものに惹かれて観に行ったと言っても過言ではありません。

   美しい風景を背景にしたラブストーリー・・。
  私の事ですから、勝手に想像を膨らませて。
   
   物語は、イタリア、南トスカーナ地方の小さな村で(「本物と贋作」について)
  講演を終えたばかりのイギリスの作家(ウィリアム・シメル)が、
  ギャラリーを経営しているフランス人女性(ジュリエット・ビノシュ)と
  出会う事から始まります。

   余談ですが、ジェームズ役のウィリアム・シメルは、
  イギリスのオペラ界を代表するバリトン歌手なんだそうですね。

   ジェームズの、「9時までに戻るなら」 という条件付きで、
  2人は車で出掛けます。芸術論を闘わす2人。

   立ち寄ったカフェで夫婦と間違われたことをきっかけに、
  2人は、まるでゲームのように、長年連れ添った夫婦を演じ始めるのです。

   初めは順調に進んで行きますが、当然の事ながら微妙なずれが・・。
  ある時は言い争いつつ、又ある時は仲良く・・。
  
   ただ、そんな状態が淡々と続くばかりで退屈も。
  私としては、「トスカーナ」 にすっかり騙された心境です。
  
   ちょっと・・いいえ、大いに期待外れです。
  せめて美しい景色を・・と思いましたが、あまり登場しません。



   そうそう、↑ こんな街を2人は散策するのですが、
  家の前に椅子を出して座っている人々が、こぞってレース編み等、
  編物をしているのです。さすが、レース発祥の地、イタリアだけの事はありますね。

映画 「セラフィーヌの庭」~描くことが生きること

2011-02-25 18:02:38 | 映画の香り
   今日も又々、昨日の暖かさを更新。
  起床時の気温も何と17度近く。

   こうして前日の気温を
  上回る事、4日連続。
  動けば汗ばむような陽気です。

   しかも今日、2月25日はわが町は、
  昔から寒い日の特異日でしたのに。
  
   そんな中、向かったのは
  これも地元の映画館。
  
   今月19日(土)からフランス映画、
  「セラフィーヌの庭」 がかかって
  いますから。(2年前の映画なのですね)

   この映画館、昭和の趣きたっぷりで、
  館独自の企画も豊富。
  
   企業努力している映画館です。
  こんな映画館には何とか
  協力したいですものね。

   今日は、ポイントが溜まりましたので、
  無料で観させて頂いたのですが、館内には、たった2人きり。

   “こんな事で大丈夫かしら・・?” と、ついつい余計な心配も。
  長く存続して貰いたいだけに気になります。

   フランス映画は、音楽のような言葉を聞いているだけで優雅な気分になりますね。
  1番はイギリス映画ですが、フランス映画も大好き。と言っても随分、久し振りですが・・。
  


   さて、今日の映画。
  フランスに実在した女流画家(1864-1942)、セラフィーヌ・ルイの伝記物です。

   彼女は大きな屋敷の掃除や洗濯(川で)などをしながら、
  僅かな賃金で、食べる事も儘ならない、
  ひっそりと孤独な、その日暮らしの生活をしています。
  
   尤も彼女には、「自然」 という友達がいますから、
  そんな風には思っていなかったかも知れませんね。

   悲しい時には植物と話し、草原の大きな木に登って
  風に吹かれながら遠くを眺める・・。
  又ある時は、たった1人水の中に入り、無心になって水と戯れる・・。

   ここまで記せば・・そう、アンを連想してしまいますね。
  実際は、似ても似つきませんが・・。

   こんな事を言いましたら、世界が絶賛した名演技の
  セラフィーヌ役の女優、ヨランド・モローに申し訳ないですね。
  愚鈍なまでのセラフィーヌ役を見事に演じていましたから。

   そんな彼女の唯一の楽しみは絵を描く事。讃美歌を歌いながら。
  その絵は不思議な魅力を持ち、絵の具の調合も彼女自身の手による特殊なもの。
  (それは肉屋の豚の血であったり、教会の蝋燭だったり)

   その彼女をいち早く見出したのは、ルソーを発見し、
  天才ピカソをいち早く評価したドイツ人画商、ヴィルヘルム・ウーデ。
  彼女の生活も少しずつ変わり、やがて時代の荒波に。それにしても・・。

   「悲しい時は木を撫でるといいわ。
  植物や動物と話すと悲しみが消えるのよ。これは間違いないわ」


   悲しんでいるウーデに、こんな風に説いたセラフィーヌ。
  純粋無垢な心の持ち主には間違いないでしょう。   

   しかし、絵が多少売れてくると、
  そんな彼女にも物欲が出て来てしまうのですね。

   いつの間にか、パリで個展を開くことが夢になっていたセラフィーヌ。
  これまで栄誉などというものにはまるで縁の無かった人間が、束の間見せられた淡い夢。
  
   しかしながら大敵は、荒れる時代の波(第一次世界大戦、大恐慌)と、
  彼女自身の純粋過ぎる精神にあったとは、皮肉です。