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【いくつになってもアン気分】

 大好きなアンのように瑞々しい感性を持ち、心豊かな毎日を送れたら・・。
そんな願いを込めて日々の暮らしを綴ります。

自分に寄り道 ~ 白い追憶

2013-04-18 19:22:52 | 路傍の花~道草





【カモミール】



アン は微かな溜息を噛み殺した。
ダイアナ を深く愛しており、
これまでもずっと仲良しだった。
けれども空想の世界にさまよい込む時には
自分一人で行かなくてはならない事を、
アンは大分以前に知ったのだった。
空想の世界へ行く魔法の小径こみちには、
最愛の者でさえ、
ついて来られないのだった。
                  【「アンの青春」 第2章】




   朝から快晴の天気になりました。それは一日中。
  気温もどんどん上がり、汗ばむ陽気に。

   ただ、今日はこのように初夏を思わせるような陽気ですが、
  明日は一気に気温が下がるとか。

   今日の気温からは俄かには信じられませんが、
  果たしてどうなのでしょう・・?








【綿毛の旅立ち】

 
【「烏野豌豆(カラスノエンドウ)」】



   さて、こんな空の下、
  今日も恒例の道草です。

   今日は、
  カモミールの咲く原っぱに。

   毎年、この季節になると
  無性に行ってみたくなります。

   ここでは自然にこぼれん
  ばかりに咲いていますのに、
  我家にはどうしても
  根付かない花ですから。

   しかも咲き乱れている
  ここは甘い林檎の香りで
  咽(むせ)るほど。

   ふと先日の映画、
  「アンナ・カレーニナ」 での
  終盤近くの一場面を思います。

   原っぱに咲く一面の白い花。
  あれは何の花だったのでしょう。

   映画では白い花に囲まれた広大なそこで、
  本を読んでいましたけれど。

   尤も、あれだけ広大な原っぱではありませんが、
  そこは、得意の 「想像の余地」 で補いましょう。

檸檬色の世界に遊ぶ時

2013-04-10 18:15:18 | 路傍の花~道草






 



「僕達明日サーカスをするの。
僕は駝鳥になるんだよ。
それから象も買うんだ」
「象の餌代は年に六百ドルも
かかるという事を知っているかい?」
と、ギルバート が真面目くさって聞いた。
「空想の象には一セントもかからないんだよ」
と、ジェム が腹も立てずに説明した。
アン は笑った。
「有り難い事には、あたしたちの
空想 には節約の必要がありませんわ」                      
                 【「炉辺荘のアン」 第16章】



   快晴の空の下、今日は朝一番で映画を観るために外出。
  それにしても久し振りの映画です。と言いますのも・・。

   古色蒼然(こしょくそうぜん)たる我町の映画館(ハリウッド映画以外を上映)
  が廃業してから何だかショックで行く気にならなくて。
  あの 『レ・ミゼラブル』 さえ、重い腰は上がらなかったのですから。

   でも、キーラ・ナイトレイ主演の、『アンナ・カレーニナ』
  には、さすがの私もその気になったという訳です。

   あまりにも華麗な世界と美しさにすっかり魅了されてしまった私。
  そんなこんなで。もう少し余韻に浸っていたいので、
  感想は後日・・という事に。







   今日の映画は朝一番
  でしたから、帰り途、
  たっぷり時間があります。 

   今日は菜の花、檸檬色の
  世界に遊んで来ました。

   プラス、映画の余韻と共に
  『想像の余地』、全開です。

   幸いな事に今日は
  お弁当があります。

   尤も、私の勘違いで
  作ってしまう羽目に
  なったのですが・・。

   今日は少々、
  風が冷たかったのですが、
  色々悩んだ末にこの場所で。

   大きな木の下がいいですね。
  野の花が咲き乱れ、
  ちょっとした小川があって。

   探せば見つかるものですね。
  『アンの世界』 に近い場所。
  菜の花の香りがプ~ン! 香料の生える場所でもあります。

   そう言えば今日の映画でも一面に白い花の咲き乱れる野原が・・。
  椅子を持ち出して本を読んでいましたっけ。

   ジェムではないけれど、私だって空想を。
  今日は、ハンカチを敷きましたけれど、
  倒れた木が椅子代わり・・というのもいいですね。

   そして木箱を机代わりにして本を読んだり手紙を書いたり、
  うっとりして周りを眺めたり。~なんて。

   それにしても良い所を見つけました。
  たまにはポットに珈琲を入れて、こんな仕事場に出掛けて行く・・
  いいかも知れませんね。

楊貴妃の涙~梨の花

2013-03-26 19:22:02 | 路傍の花~道草



【雪の女王~「梨」 の原木】


「あれ、美しいわね。
あの土手からはみ出している
真っ白なレースのような木 を見て、
小父さん、何を思って?」
少女は尋ねた。
(中略)
「あら、花嫁よ、無論 ――
何から何まで真っ白な着物を着て、
素晴らしい、霞のような
ヴェールを付けた花嫁だわ」
                 【「赤毛のアン」 第2章】



   太陽と共に迎えた朝。こんな朝は本当に気分が良いですね。
  ただ朝の気温は、今日も真冬並みです。

   そう言えば、昨夜は真丸のお月様が美しくて。
  丁度、明日が満月なのですね。

   ところで先日も記事にしたばかりですが、
  今年はやけに沈丁花の香りが鼻孔をくすぐります。
  それは窓の開閉時にも。

   “お向かいの沈丁花がこんな所にまで・・?”
  不思議に思っていましたら、何とお隣にも。

   それと言うのも、ちょっと前になりますが、
  長年の定位置を保って来た座る場所を
  僅か90度なのですが、移動したのです。

   植木の向こうには、これも大きな大きな沈丁花が。
  「たかが90度、されど90度」。
  でも、それだけで視界は全く変わりますね。

   ただこれまで安住していた場所を離れるのは、
  僅か90度とは言え、落ち着かない気分になります。
  その証拠に何かの拍子に錯覚を覚える事もありますから。








   さて、東京では桜は既に花吹雪のようですが、
  こちらは桜の満開にはもう少し。
  一番良く咲いている所でも二分咲き、三分咲き・・くらいでしょうか。

   そんな今日、リラ版 「雪の女王」、
  実際には 「梨の原木」 が、華麗に咲いていました。大木です。

   白い花ですから青空が似合うのですが、
  残念ながら今日は白い空。太陽は出ているのですが・・。
  もう一度機会があれば青空を背景に撮りたいのですが、どうなのでしょう。

   ただ、これまで撮る時間が悪くて、
  青空を背景に撮った事は一度もありません。

   午後になりますと、青空でも光に反射して白っぽくなってしまって。
  青空で午前中が良いのですが、なかなか・・です。

   そうそう、今日のタイトル。
  梨の花の事を 「楊貴妃の涙」 と言うのだそうですね。

   それにしてはこの梨の原木は、豪快な涙ですね。
  果物の梨の花は今は蕾。尤も、チラホラ咲いているのもありますけれど。
  その大木の下には姫踊り子草が咲いていました。





 
【「姫踊り子草(ヒメオドリコソウ)」】

王女の木

2012-12-20 19:19:27 | 路傍の花~道草

【金の蝋燭】





エミリーは・・・(中略)
そことその周辺に立っている
全ての美しい古木 ――
ことに、自分が熱愛している木々 ――
南の隅の野生の桜の一塊ひとかたまり
ロンバーディの3人の王女たち、
小川の道に立っている
1本の乙女のようなあんずの木、
庭の真ん中の杉の大木、
ずっと先へ行った所の銀色の楓と松の木、
もう一方の隅で、いつも賑やかな微風に
媚態びたいを見せている合歓ねむの木、
そして <のっぽのジョン> の
藪に並ぶ1列の頑丈な、
白ブナの木々を愛した。 
               【「エミリーはのぼる」 第1章】


   今日は、雲一つない快晴の空で明けました。
  そのせいなのでしょうね、放射冷却で、
  朝の気温は、より厳しくなりました。

   日中は、太陽がその光を出し惜しみしない分、
  暖かくなりました。日溜りは春のよう。

   ~なんて、このフレーズ、もう何度目でしょう。
  でも、日射しがあるって本当に有り難いですね。
  太陽の恩恵に感謝です。






   『アンの世界』 の王女の木、ロンバルディポプラではありませんが、
  秘かに 「王女の木」、「金の蝋燭」 とも呼んでいる、
  冒頭の写真の木 「メタセコイア」。
  ここは久し振りに訪れた 「アン気分に浸れる場所」。

   もう一つの王女の木、リラ版 【ポプラの木屋敷】 に立っていた、
  ポプラが切り倒されてしまいましたので、
  私の生活範囲の中では、王女の木は、たった1本になってしまいました。

   今年は、ちょっと遅かったようですが、
  かろうじてオレンジの葉っぱが残っていてくれて。
  従って 「金の蝋燭」。

   去年は 【8日前】 に訪れています。
  まだ葉っぱは、ふさふさですから、命名も 「金の松明(たいまつ)」 と。

   葡萄酒色の梨の葉っぱに心奪われたのは、
  ついこの前のような気がしますのに。

   今は、すっかり葉を落とし、冬枯れの様相です。
  春を待つ果樹園ですね。  

秋に寄り添うかそけき野の花

2012-10-31 20:53:05 | 路傍の花~道草





【「藜(アカザ)」 の花&葉】


【朽ちても 「薔薇」】


「ポール・・・何て大きくなったんでしょう!
この前来た時より、
又、頭半分、伸びていますよ」
「そうなの。
僕、夜のうちに伸びる 藜草あかざそう のように
大きくなるって、リンド夫人 が言うよ」
とポールはしんから嬉しそうに言った。
                  【「アンの青春」 第27章】


   薄紫色の優しい空で明けました。意外に寒さを感じません。
  やっと夏モードだった身体が秋に順応するようになったのでしょう。
  一時など室温が21、2度でも寒さを覚えて暖房を入れていましたから。

   さて、今日の写真。
  昨日の薔薇とは対極にある花を。
  それは、この季節、話題にすらならない、かそけき野の花です。



【「藜」 & 「水引草」】

 



   そもそものきっかけは
  鳥が運んで来たらしい? 
  藜(アカザ)。

   玄関先に置いていた、
  ペチュニアの鉢に1本だけ
  芽吹いた事から。

   その鉢を庭に持って来ましたら・・。
  あちこちに生える事、生えること!

   一時は大事に育て、
  食したりもしていたものですが・・。
  (と言っても僅か1、2度)

   結局、ガーデンテーブルを置いて
  いる所だけ残して後は抜く羽目に。

   1つには格好の目隠し効果と杖にも
  なるという丈夫な枝をこの目で
  見てみたくて伸ばしています。

   リンド夫人 も言う、
  一夜で大きくなるという藜に似合わず、
  この季節の藜の何とも “かそけき姿”。(花も葉も)

   特に緑の葉っぱから、ス~ッと色が抜けたような黄色。
  そして紅葉(もみじ)のように堂々とした赤ではなく、
  控え目で、どちらかと言えば遠慮して染まったような赤は、
  しみじみと心に迫るものがあります。

   写真は、その藜に水引草も添えて。  
  もの寂しげな野の花ですが、釣瓶(つるべ)落としの秋の夕暮れ、
  時に静かに過ごす空間に寄り添える花としては、
  ぴったりのような気がしてなりません。  

神様との架け橋

2012-10-29 23:21:51 | 路傍の花~道草






広々とした芝生には
巨大な樹木が立っており、
世界は偉大な親切な神が
黄金の腕で抱えているように見えた。
色付いた木の葉は
ゆっくり舞い落ちていたが、
騎士のような蜀葵たちあおい
今なお華やかに煉瓦塀を背に咲き、
ポプラは納屋への小道に沿って
白楊はこやなぎの魔法を織り成していた。
               【「炉辺荘のアン」 第34章】


   こんな空で明けた今朝。
  概ね晴れの天気になりました。
  それにしても暖かい!

   こちらでは、早くも
  「木枯し1号」 が吹いたそうですが、
  昨日同様の気温を保っています。

   昨日は雨の後も気温が
  下がらず、
  呆気に取られたものです。

   とは言え、寒いより暖かい
  方がいいですけれど。



【日本の秋】



【「溝蕎麦(ミゾソバ)」】



   さて、今日も駅からの
  帰り道、道草です。

   尤も、廻り道もしない、
  通り道ですので、あまり
  変わり映えしませんけれど。

   それでも土手の叢(くさむら)
  に咲いている野の花は、
  いつの間にか季節にふさわしい花に
  変わっているのですから驚きます。

   春の姫踊り子草や
  仏の座から夏の昼顔。

   そして野生化したコスモスや
  犬蓼(イヌタデ)とくれば、
  まさしく今の季節、秋。

   金平糖のような可愛い花、
  溝蕎麦(ミゾソバ)も今が盛りです。

   そうそう、『アンの世界』
  登場する 「ぶなの木屋敷」 ならぬ、
  リラ版 【ポプラの木屋敷】

   それは、古色蒼然たる何とも趣きのある典型的な日本家屋。
  何より真っ直ぐの木、ポプラがそびえているのが印象的でした。

   その 「ポプラの木屋敷」 が取り壊されているのに
  気付いたのは、今年の春もまだ浅い頃だったでしょうか・・。
  せめて、ポプラの木が切り倒されないようにと祈ったものです。

   今、そこには3階建てのアパート1棟と2軒の1戸建てが建っています。
  今日見ますと、新しい家には既に洗濯物が翻(ひるがえ)っていました。

   勿論、ポプラの木などどこにもありません。
  又1つ、昭和の素敵なお屋敷が消えました。

秋空にシルエット

2012-10-02 18:10:08 | 路傍の花~道草



【崇拝の花~「紫苑(シオン)」】


【私の中のきりん草~「背高泡立草(セイタカアワダチソウ)」】


「あれは何?」 とおびえたように、
百子が小廬山のふもとに群がっている、
濃い紅の糸屑のようなものを
指差して、言った。
それは癖の強い赤い染髪の抜け毛を
まとめたような、艶々した
曼珠沙華ひがんばなくさむらであった。
    【三島由紀夫作 「天人五衰」~『豊饒の海 Ⅳ』】
 


   1日遅れの台風一過の
  空となりました。
  気持ちの良い秋晴れです。

   萌葱色だったゴーヤの
  葉っぱも大分、黄色に
  染まって来ました。

   もうそろそろ
  終わりだと思うのですが、
  未だに収穫しています。

   今、最後の黄色い花を
  咲かせています。

   今年も、いつの間にか老いてしまって、はや10月に。
  このゴーヤの葉影の事は以前にも記しましたね。

   あれから日を重ねて来た分、影の領域を拡大して(部屋の奥深く)、
  時に踊る(揺れる)居ながらの自然のタペストリーと化して。
  私の心も踊ります。

   このように食用に緑のカーテンに、
  そして踊るタペストリーと大活躍のゴーヤ。

   来年は、もっと沢山植えてその範囲を拡大しようと、
  早くも心に決める始末です。オニも笑いますね。







【「彼岸花」】
  

   さて今日は自転車で下まで。
  今日の空は、青い空と白い雲が面白くて。

   刻々と変わる空に、思わず見とれてしまい、
  危ない、アブナイ・・。 

   一方、上から下に目を遣(や)れば・・。
  何と 「紫苑」 が咲き、(冒頭の写真)「秋のきりん草」 の代わりに、
   「背高泡立草(セイタカアワダチソウ)」 が。

   尤も、こちらでは 「秋のきりん草」 は、お目にかかれませんので、
  勝手にそのように呼んでいるだけなのですけれど。

   これらの花は春の 「さんざし」 と共に私の崇拝の花。
  勿論、『アンの世界』 でもお馴染みです。  

   そして少々、遅かったのですが、彼岸花も。
  この花、遠くからでもはっきりと分かり、
  めらめらと燃え盛る焔のような赤が独特ですね。

   1列に並んだそれは、
  まるで緋毛氈(ひもうせん)を敷き詰めたよう。

   「火事花」 とか 「火焔(かえん)花」 等の異称に納得です。
  そう言えば、今日の引用文もそうですが、
  「死人花(しびとばな)」 の有り難くない異称もありますね。

   なぜか墓地に多く咲いていますから、
  そのように言われているのでしょうか・・。
  私もどちらかと言えば、苦手な花です。

古人(いにしえびと)に思いを馳せて

2012-09-21 17:52:12 | 路傍の花~道草








「―― コスモス は、誰も親しめる、
まあ大衆的 ―― みたいな花ですわね。
(中略)
自由な気持ちで、小さい頃お庭で
おままごとなすった時のように、
コスモス の、その花と遊ぶ気分で、
その花に心を浸す気持ち、
活花する心には、それが必要ね。
北原白秋の詩にもあるでしょう ――
(花を活けつゝ)って題で、
―― 世の常の花にはあらず、この匂ひ、
びてこよなし、しかもなほ、夢にうつゝに、
未だ見ぬ花は多かる、われはむ、
壺のまろみの幽かなる ――
いよゝ眺めん、花ひとつ ――」

美しいその花の教師の講義の声は、
うわずらず、しっとりと、淡く艶な含みが
おっとりあって、いい感じだった。
生徒の少女達は、水平型の制服の胸に、
思わずコスモスの束を抱くように
うっとりとして、その声に聞き入るのだった。
                   【吉屋信子作 「花」】


   快晴の空となりました。
  動けば少々暑いけれど、もう秋晴れと言ってもいいですね。
  湿度もなく、爽やかです。

   こうして記している今も虫の声が盛んです。虫時雨(しぐれ)。
  日本の、とりわけ秋らしい風情ですね。

【万葉人(まんようびと)が髪に飾った花】





【山萩】


   さて、久し振りの道草です。
  道端には、そろそろとコスモスが咲かんとしています。

   微かな風にも左右に揺れるコスモスは、その葉姿から繊細で可憐。
  しかしながらその茎は、太くて強靭(きょうじん)。

   見かけは儚(はかな)げだけれど、本質は強靭。
  これこそ、女性の理想の姿のような気がしてなりません。

   そして 「萩(ハギ)」。
  山野に広く自生しているのは 「山萩(ヤマハギ)」 、
  観賞用は 「宮城野萩(ミヤギノハギ)」 が多いようですね。

   ところで、万葉人は男女共に髪に花を飾る風習があったとか。
  アンポアロ も真っ青ですね。

   「秋風は涼しくなりぬ馬並ねて
      いざ野に行かな芽子はぎが花見に」
~ 詠み人知らず
             【注 : 「芽子」 とは 「萩」 の事】

   こんな風に万葉人は、春の桜と同じように、
  秋には 「萩の花見」 をしていたようです。
  どこか素朴な萩の花。殊の外、万葉人の心を捉えたのでしょう。

   私の足は、いつの間にか 「アン気分に浸れる場所」 に。
  梨園では、たわわに梨が実っていました。
  ここの梨は後日、1個100円くらいで一般販売もされます。

【梨園】





吹き抜ける風の径

2012-07-23 18:12:52 | 路傍の花~道草

【藪萱草(ヤブカンゾウ)】


【昼顔】





・・・1人の幸福を味わっていた。
涼しいビロードのような丘の上に
好きなだけ座っていても、
それを妨げるものは何もない。
南西の風は大ドナルドの
クローバー畑の匂いを運んで来た。                        
             【「丘の家のジェーン」 20.】


   


   朝から太陽の 「晴れ」 という天気予報の割には曇り空。
  そのせいもあって今朝は涼しいので、それはそれでいいのですが、
  変わりやすい天気だった昨日までと同様の空模様が気になります。

   しかしながらお昼ちょっと前頃から、おずおずと太陽。
  今日の太陽は、かなり朝寝坊ですね。

   今朝は蝉の鳴き声に混じって鶯(うぐいす)の声も。
  この季節に蝉と鶯の二重唱(デュエット)なんて。初めての出来事です。
  




   そんな中、自転車で
  ちょっと街まで買い物に。

   家の中は涼しいと思っても、
  外は、やはり夏。

   うっかりしていましたが、
  昨日は24節季の1つ、
  「大暑」 でしたものね。

   いつもの道も、
  草いきれでプンプンです。

   このもやっとした
  熱気と独特の香りは、
  どこか懐かしい夏の匂い。

   ずっと昔に嗅いだ
  香りと一緒です。

   こちらは田圃(たんぼ)の
  土手に咲いていた、
  「藪萱草(ヤグカンゾウ)」 。

   別名 「萱草(わすれぐさ)」。
  花言葉は 「悲しみを忘れる」

   先日見た時はまだ蕾でしたが、今では少々、盛りを過ぎています。
  もうちょっと早く来れば良かったのですけれど。

   そしてすぐ横に咲いていた昼顔。二枚貝の中に立つビーナスのようです。
  朝顔と同じ仲間ですのに、こんなに可愛い花ですのに・・
  どうしてこちらは誰にも見向きもされないのでしょう。

   芽を出したかと思うと、急速に蔓(つる)を伸ばして辺りに絡み着く、
  そのあまりにも根強い生命力にあるのでしょうか・・。

   何だか理不尽なような気もしないではありませんが、
  世の中、そんなものなのかも知れませんね。

   そうそう、昼顔の花言葉は 「絆」
  写真は全くの偶然ですが、この2つの花は東日本大震災の “イメージ花” のようですね。

かそけきピンクの花姿

2012-07-09 17:10:37 | 路傍の花~道草


【「捩花(ネジバナ)」】










・・・既に曙の色を払い落した富士は、
3分の2を雪に包まれた鋭敏な美しさで、
青空をり抜いていた。
明晰めいせき過ぎるほど明晰に良く見えた。
雪の肌は微妙で敏感な起伏の緊張に満ち、
少しも脂肪のない筋肉の細かい
端正な配置を思わせた。
(中略)
1点の雲もなく、石を投げれば石の当たる
きわどい音が響いて来そうな 硬い青空 である。      
        【三島由紀夫作 「暁の海」 ~ 『豊饒の海』 第3巻】


   



   梅雨の晴れ間3日目は、快晴となりました。
  おまけに梅雨、しかも7月とは思えない程の爽やかな気候。
  気温は、かなり高いのですが湿度がありません。

   昨日も記しましたが、
  淡い水色の空は包み込むような優しさ。

   「青い陶器のような空」 と表現したのは吉屋信子ですが、
  期せずして三島由紀夫も今日の引用文の如く、
  同様の表現をしていますね。

   「硬い青空」 と言うと私などは
  咄嗟(とっさ)に冬日和の空を連想したものです。

   季節は様々で吉屋信子が夏、
  三島由紀夫は春。沈丁花の咲く季節です。
  これからは意識して空を眺める事に致しましょう。







【風を待つ花 「赤花夕化粧(アカバナユウゲショウ)」】


                                    【捩花】

   さて、薔薇が美しいのは
  誰もが認めるところですが、
  「かそけき花」 の
  イメージはありませんね。

   可憐なピンクの野の花には
  後塵(こうじん)を
  排する事でしょう。

   何せ薔薇は存在感、
  たっぷりですものね。

   尤もそこは花の女王。
  憂愁の薔薇もあるには
  ありますが。

   ところで今日の幸せ。
  今年初めて裏庭に「捩花」
  を発見。大好きな花です。

   この花は孤高のイメージ。
  決して群れないで一定の距離を
  保ち咲く事にあるのかも
  知れません。誇り高き野の花。

   そして 「赤花夕化粧」。
  もうかなり長い事咲いていますね。    

   風に揺れているその姿は、見るからに儚(はかな)げで。
  風の似合う花です。「風待草」 と命名しましょうか・・。