[2月11日11:40.天候:晴 東京都江東区森下 ワンスターホテル]
稲生とマリアは魔界への出入口があるワンスターホテルまで向かった。
藤谷:「ここでいいかい?」
稲生:「おー、ありがとうございます」
ここまで藤谷に送ってもらった。
藤谷:「色々忙しいと思うけど、たまにお寺に来いよ?春季総登山会とか彼岸会とかあるから」
稲生:「ええ、分かりました」
稲生とマリアは車を降りると、ホテルの中に入った。
オーナー:「おや、いらっしゃい」
稲生:「こんにちは。エレーナが入院中は大変ですね」
オーナー:「まあ、元々夫婦で切り盛りしていたわけですし、時々アルバイトが来てくれるので……」
稲生:「バイト雇ったんですか?」
オーナー:「ええ……」
オーナーはテナントで入居しているレストランの方を指さした。
ホテルの中から自由に行き来ができる。
マリア:「キャサリン師の使い魔のカラス達か……」
雌のカラスしかいない為、人外萌えを地で行く、美女に変化してやってくる。
背中に黒い翼が生えている以外は。
オーナー:「魔界に行かれるんですね?」
稲生:「ええ。うちの先生のお見舞いに……」
オーナー:「かしこまりました。それでは……」
オーナーが地下に行く為にエレベーターを起動させた。
オーナー:「どうぞ」
稲生:「ありがとうございます」
稲生とマリアはエレベーターに乗り込んだ。
マリア:「カラスなんか接客できるのか?」
稲生:「レストランの方では上手くできているらしいけどね」
地下1階でエレベーターを降り、その奥へ向かう。
途中にエレーナの部屋があるが当然誰もいないし、ドアにも鍵が掛かっている。
マリア:「……開かないな」
稲生:「そりゃそうだよ」
奥へ向かうと、魔法陣が描かれている部分があった。
マリア:「よし、行こう」
マリアは魔法陣の真ん中に自分の魔法の杖を刺した。
マリア:「パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ。嗚呼、神への復讐よ。嗚呼、何ということだ。……」
魔法陣が光り出すと、入口が開いた合図。
そこに入ると、光が2人を包む。
そして2人は人間界から消えた。
[魔界時間2月11日12:00.天候:曇 魔界王国アルカディア王都アルカディアシティ魔王城]
魔王城の中にダンテ一門専用魔法陣がある。
今回は魔王城に用は無い。
途中に警備兵などがいるが、彼らとエンカウントすることはない。
兵士A:「あいつら、いつでも出入り自由だから、いきなり現れるとびっくりするんだよな……」
兵士B:「ザル警備だな……」
今回は魔王城に用は無いので、そのまま外に出る。
マリア:「49番街まではどうやって行けって?」
アルカディアシティに自動車交通は無い。
あるのは高架鉄道、地下鉄道、併用軌道である。
それ以外の道路交通では辻馬車(馬車タクシー)がある。
稲生:「路面電車で行けるようです」
魔王城の近くには1番街駅があり、これが日本で言う東京駅になる。
そこは路面電車のターミナルもあり、そこから路面電車に乗ることができる。
稲生:「……あった!49番街経由!」
ターミナルの発車標を確認し、49番街へ向かう電車の乗り場に向かう。
その前に、ターミナルの案内所にて乗車券を購入する。
途中から乗る場合、乗務員に運賃を払うことになるが、このようにターミナルから乗る場合は案内所で乗車券の購入も可。
稲生:「あの電車かな?」
案内所で購入したキップを手に、目的の電車を探す。
するとその中に、『G49』と書かれた電車を発見した。
昭和時代の日本の路面電車の中古車といった感じ。
GとはGroundの略で、日本語訳すると『49番街循環』という意味である。
稲生:「49番街までお願いします」
運転士:「はい、毎度」
運転士は一見して人間のような姿をしていたが、浅く被った制帽の先からは一本角が見え隠れしていた。
運行会社であるアルカディアメトロは、路線によって全く雰囲気が違う。
軌道線にあっては乗務員は人間と魔族が半々、乗客の客層も半々である。
人魔一体となった王国ならではである。
一応、アルカディアメトロの運営会社、魔界高速電鉄は現王権には協力的で、ルーシー・ブラッドプール一世が即位した時、高架鉄道と地下鉄道は全ての電車に専用のヘッドマークを掲げてお祝いしたし、路面電車にあってはパレードに使用したくらいである。
係員:「4番乗り場からG49電車、発車しまーす!」
黒人の係員が大きく手を上げると、運転士はドアを閉めた。
そして、チンチーンと電鈴が鳴って発車する。
この軌道線、ワンマン電車とツーマン電車が混在している。
多くは1両単行がワンマン、2両以上でツーマンとしている場合が多い。
この電車は1両だけだった。
因みに路面電車はターミナル以外、決まった電停は無く、大抵は高架鉄道や地下鉄道の駅前、或いは交差点で止まった時に乗客が乗車または降車の意思表示をして乗降することが多い。
稲生:「馬が単独で走ってると思ったら、セントールだった」
マリア:「セントールは郵便配達をしていることが多い。馬車を引くことは無いな。それは『本当の馬車馬がやることだ』と思っているみたいだから」
騎馬や馬車が車道を走るので、セントールも車道を走ることは多い。
アルカディアシティにおいて、道路交通における優先度は路面電車が高めになっている。
さしものセントールも、後ろから路面電車が来たら道を譲らざるを得ないというわけだ。
プァンと運転士が軽く警笛を鳴らし、挙手をしながらセントールを追い抜いた。
こんな光景が見られるのはアルカディアシティだけである。
人間界で言うなら、郵便の自転車を路面電車が追い抜くシーンといったところか。
広島辺りで見られるかな?
稲生:「先生へのお土産、カステラでいいんですかね?」
マリア:「いいと思うよ。肝臓やられたんだから、まさかワインやウォッカを持って行くわけにはいかないだろう」
稲生:「それもそうですね」
稲生とマリアは魔界への出入口があるワンスターホテルまで向かった。
藤谷:「ここでいいかい?」
稲生:「おー、ありがとうございます」
ここまで藤谷に送ってもらった。
藤谷:「色々忙しいと思うけど、たまにお寺に来いよ?春季総登山会とか彼岸会とかあるから」
稲生:「ええ、分かりました」
稲生とマリアは車を降りると、ホテルの中に入った。
オーナー:「おや、いらっしゃい」
稲生:「こんにちは。エレーナが入院中は大変ですね」
オーナー:「まあ、元々夫婦で切り盛りしていたわけですし、時々アルバイトが来てくれるので……」
稲生:「バイト雇ったんですか?」
オーナー:「ええ……」
オーナーはテナントで入居しているレストランの方を指さした。
ホテルの中から自由に行き来ができる。
マリア:「キャサリン師の使い魔のカラス達か……」
雌のカラスしかいない為、人外萌えを地で行く、美女に変化してやってくる。
背中に黒い翼が生えている以外は。
オーナー:「魔界に行かれるんですね?」
稲生:「ええ。うちの先生のお見舞いに……」
オーナー:「かしこまりました。それでは……」
オーナーが地下に行く為にエレベーターを起動させた。
オーナー:「どうぞ」
稲生:「ありがとうございます」
稲生とマリアはエレベーターに乗り込んだ。
マリア:「カラスなんか接客できるのか?」
稲生:「レストランの方では上手くできているらしいけどね」
地下1階でエレベーターを降り、その奥へ向かう。
途中にエレーナの部屋があるが当然誰もいないし、ドアにも鍵が掛かっている。
マリア:「……開かないな」
稲生:「そりゃそうだよ」
奥へ向かうと、魔法陣が描かれている部分があった。
マリア:「よし、行こう」
マリアは魔法陣の真ん中に自分の魔法の杖を刺した。
マリア:「パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ。嗚呼、神への復讐よ。嗚呼、何ということだ。……」
魔法陣が光り出すと、入口が開いた合図。
そこに入ると、光が2人を包む。
そして2人は人間界から消えた。
[魔界時間2月11日12:00.天候:曇 魔界王国アルカディア王都アルカディアシティ魔王城]
魔王城の中にダンテ一門専用魔法陣がある。
今回は魔王城に用は無い。
途中に警備兵などがいるが、彼らとエンカウントすることはない。
兵士A:「あいつら、いつでも出入り自由だから、いきなり現れるとびっくりするんだよな……」
兵士B:「ザル警備だな……」
今回は魔王城に用は無いので、そのまま外に出る。
マリア:「49番街まではどうやって行けって?」
アルカディアシティに自動車交通は無い。
あるのは高架鉄道、地下鉄道、併用軌道である。
それ以外の道路交通では辻馬車(馬車タクシー)がある。
稲生:「路面電車で行けるようです」
魔王城の近くには1番街駅があり、これが日本で言う東京駅になる。
そこは路面電車のターミナルもあり、そこから路面電車に乗ることができる。
稲生:「……あった!49番街経由!」
ターミナルの発車標を確認し、49番街へ向かう電車の乗り場に向かう。
その前に、ターミナルの案内所にて乗車券を購入する。
途中から乗る場合、乗務員に運賃を払うことになるが、このようにターミナルから乗る場合は案内所で乗車券の購入も可。
稲生:「あの電車かな?」
案内所で購入したキップを手に、目的の電車を探す。
するとその中に、『G49』と書かれた電車を発見した。
昭和時代の日本の路面電車の中古車といった感じ。
GとはGroundの略で、日本語訳すると『49番街循環』という意味である。
稲生:「49番街までお願いします」
運転士:「はい、毎度」
運転士は一見して人間のような姿をしていたが、浅く被った制帽の先からは一本角が見え隠れしていた。
運行会社であるアルカディアメトロは、路線によって全く雰囲気が違う。
軌道線にあっては乗務員は人間と魔族が半々、乗客の客層も半々である。
人魔一体となった王国ならではである。
一応、アルカディアメトロの運営会社、魔界高速電鉄は現王権には協力的で、ルーシー・ブラッドプール一世が即位した時、高架鉄道と地下鉄道は全ての電車に専用のヘッドマークを掲げてお祝いしたし、路面電車にあってはパレードに使用したくらいである。
係員:「4番乗り場からG49電車、発車しまーす!」
黒人の係員が大きく手を上げると、運転士はドアを閉めた。
そして、チンチーンと電鈴が鳴って発車する。
この軌道線、ワンマン電車とツーマン電車が混在している。
多くは1両単行がワンマン、2両以上でツーマンとしている場合が多い。
この電車は1両だけだった。
因みに路面電車はターミナル以外、決まった電停は無く、大抵は高架鉄道や地下鉄道の駅前、或いは交差点で止まった時に乗客が乗車または降車の意思表示をして乗降することが多い。
稲生:「馬が単独で走ってると思ったら、セントールだった」
マリア:「セントールは郵便配達をしていることが多い。馬車を引くことは無いな。それは『本当の馬車馬がやることだ』と思っているみたいだから」
騎馬や馬車が車道を走るので、セントールも車道を走ることは多い。
アルカディアシティにおいて、道路交通における優先度は路面電車が高めになっている。
さしものセントールも、後ろから路面電車が来たら道を譲らざるを得ないというわけだ。
プァンと運転士が軽く警笛を鳴らし、挙手をしながらセントールを追い抜いた。
こんな光景が見られるのはアルカディアシティだけである。
人間界で言うなら、郵便の自転車を路面電車が追い抜くシーンといったところか。
広島辺りで見られるかな?
稲生:「先生へのお土産、カステラでいいんですかね?」
マリア:「いいと思うよ。肝臓やられたんだから、まさかワインやウォッカを持って行くわけにはいかないだろう」
稲生:「それもそうですね」