[魔界時間2月1日08:00.天候:晴 魔界某所 バァル城]
門番A:「止まれ。何の用だ?」
2足歩行で鎧を着ているものの、明らかに緑色の鱗を持った魔族の門番が止める。
エレーナ:「ちぃーっス!NHKの方から来ました!テレビあるんでしょ?契約してくださーい」
門番A:「あぁ?何言ってんだ?うちにはテレビは無ェよ。帰った帰った」
エレーナ:「そうっスか?そちらの大魔王様は、勧誘に負けて契約されたみたいですがねェ?」
門番B:「貴様!悪魔に対する悪質訪問勧誘で契約を持ち掛ける魔道士か!?」
エレーナ:「ヅァ・ルァ・キ!」
門番A:「うぎゃあああああっ!!」
門番B:「うぉぉぉぉぉっ!?」
稲生:「エレーナ、『ザラキ』できるの!?」
エレーナ:「私の方がマリアンナより魔力が強いんだからな?」
即死魔法を掛けられ、のたうち回る門番達。
Aは魔界から冥界へと旅立った。
そして、Bも……。
門番B:「そんなに入りたいなら……わしらの禁止に背いて……入るがいい……。だが……わしらは下っ端だ……。中にいる者達は……わしらなどより……もっと……恐ろしい……」
という警告の言葉を言って息絶えた。
稲生:「ていうか僕達、悪魔からは悪質契約で訴えられてるんだ?」
エレーナ:「これだから下級悪魔は……。私はちゃんと契約に沿って対価は払ってるぜ。なぁ、マモン?」
マモン:「え、ええ……」
何故かシルクハットを深く被り直しながら、曖昧に答えるエレーナの契約悪魔マモン。
稲生:「それより、城内が騒がしいよ?」
エレーナ:「どうやら私達に気付いたみたいだな。さっさと入ろうぜ」
稲生:「中は最強の悪魔がウジャウジャ……」
バンッとエントラスの大きなドアを勢い良く開けて飛び出してくる魔族達。
魔族A:「あれ、いない!?」
魔族B:「侵入者はどこだ!?」
魔族C:「上だ!」
エレーナは稲生を乗せてホウキで上昇した。
エレーナ:「バーカ。玄関から堂々と『お邪魔しまーす』なんて入るわけねーだろ!」
稲生:「でも、上は!」
ガーゴイルの群れが現れた。
稲生:「どうするんだ!?」
エレーナ:「任せろ」
エレーナはローブのポケットの中から銀貨をばら撒いた。
エレーナ:「オラ!入場料だ!受け取れ!」
ガーゴイル達が上空にばら撒かれた銀貨を取ろうと必死に飛び回る。
誰もエレーナ達を阻止しようとはしなくなった。
稲生:「そ、そりゃアルカディアシティの魔王城も、『ガーゴイルの口にコインを与えてドアを開けさせる』なんてギミックがあるけどさぁ……」
エレーナ:「その魔王城のドアマンをクビになった団体だぜ!哀れな連中だぜ!」
エレーナ、魔王城の屋上から城内に侵入した。
その後はもうムチャクチャ。
エレーナ:「火事だ!火事だ!火事だーっ!メラメラだぜ!」
稲生:「油撒きながら『メラ』唱えるな!」
魔族D:「いたぞ、放火魔!」
稲生:「す、すいません!今、火ィ消しますんで!」
稲生、手近にあった消火器を噴射する。
魔界に消火器なんて変だと思うかもしれないが、何故かあったのだ。
気にしないで頂きたい。
魔族D:「ば、バカッ!こっちに向かって……ゲホッ!ゲホッ!」
魔族E:「ま、前が見えん!」
魔族F:「落ち着け!同士討ちになる!」
エレーナ:「さすが稲生氏!いい煙幕だぜ!」
稲生:「いや、そんなつもりは……」
エレーナ:「ムェ・ルァ・ミ!」
消火器煙幕の中、ブブブと飛ぶ等身大のグロテスクな虫。
虫は火に弱い。
エレーナは火炎魔法で容易く倒した。
エレーナ:「さすがだぜ。今の虫モンスター、カメレオンみたいに擬態して隠れるんだぜ。で、知らずに近づくと即死攻撃されるんだ。危なかったぜ」
さしもの擬態妖虫も、煙幕の中では擬態できなかったらしい。
稲生:「け、結果オーライか……」
他の階層に行くと……。
稲生:「あれ?さっきの火事でスプリンクラーが作動して……ええっ?」
RPGではザコモンスターの代表格、スライムがここではそれなりに強いモンスターなのだが、スプリンクラーの水で全個体が排水溝に流されていた。
また別の場所に行くと……。
エレーナ:「防火シャッターが閉まったせいで、向こう側にいた魔族達がこっちにいる私達を襲えないっていうなw」
稲生:「この城、消防法しっかり守ってるんだねぇ……」
マリアが捕らわれている部屋のあるフロアに行くと、外から魔界に似つかわしくないヘリコプターや銃声の音がした。
窓から稲生が覗くと、やはり武装ヘリが何機も飛んでいた。
エレーナ:「ありゃアナスタシア組だぜ?今頃来たのかよ……」
稲生:「ファンタジーの世界がメチャクチャだ」
すると、アナスタシアが魔法で2人の頭にメッセージを送信して来る。
アナスタシア:「外から援護射撃するから、あなた達は早いとこマリアンナを見つけなさい!」
エレーナ:「へいへい!しっかしアナスタシア先生、御大層な乗り物をお持ちで!」
アナスタシア:「これが現代魔女が乗るホウキよ!」
エレーナ:「私のは時代遅れの古臭いホウキで申し訳無いっスねぇ……」
アナスタシア:「そうは言ってないでしょ!いいから早く探しなさい!さすがにバァルのお爺さんが黙ってないわよ!」
エレーナ:「おーっとと!そうだったぜ!稲生氏、アンタの『愛の勘』で当てるんだぜ!」
稲生:「ええっ!?えーっとぉ……。じゃあ、あのドアだ!」
稲生は奥から3番目のドアを指さした。
エレーナ:「各々方、討ち入りでござる!だぜ」
稲生:「何でやねん!」
そんなやり取りをしながらドアを開けると……。
ケルベロス:「ガウ?」
稲生:「……あ、サーセン、間違えました」
エレーナ:「チャス……」
何事も無かったかのようにドアを閉める稲生達。
だが……。
ケルベロス:「ガウウウウウッ!!」
当然ながら無かった事にできるわけが無く、ケルベロスがドアをブチ破って追い掛けて来た。
エレーナ:「何が『愛の勘』だぜ!?思いっきり違うじゃねーか!」
稲生:「そりゃいきなり当てられるわけないだろ!」
2人の魔道士は慌てて逃げ出した。
門番A:「止まれ。何の用だ?」
2足歩行で鎧を着ているものの、明らかに緑色の鱗を持った魔族の門番が止める。
エレーナ:「ちぃーっス!NHKの方から来ました!テレビあるんでしょ?契約してくださーい」
門番A:「あぁ?何言ってんだ?うちにはテレビは無ェよ。帰った帰った」
エレーナ:「そうっスか?そちらの大魔王様は、勧誘に負けて契約されたみたいですがねェ?」
門番B:「貴様!悪魔に対する悪質訪問勧誘で契約を持ち掛ける魔道士か!?」
エレーナ:「ヅァ・ルァ・キ!」
門番A:「うぎゃあああああっ!!」
門番B:「うぉぉぉぉぉっ!?」
稲生:「エレーナ、『ザラキ』できるの!?」
エレーナ:「私の方がマリアンナより魔力が強いんだからな?」
即死魔法を掛けられ、のたうち回る門番達。
Aは魔界から冥界へと旅立った。
そして、Bも……。
門番B:「そんなに入りたいなら……わしらの禁止に背いて……入るがいい……。だが……わしらは下っ端だ……。中にいる者達は……わしらなどより……もっと……恐ろしい……」
という警告の言葉を言って息絶えた。
稲生:「ていうか僕達、悪魔からは悪質契約で訴えられてるんだ?」
エレーナ:「これだから下級悪魔は……。私はちゃんと契約に沿って対価は払ってるぜ。なぁ、マモン?」
マモン:「え、ええ……」
何故かシルクハットを深く被り直しながら、曖昧に答えるエレーナの契約悪魔マモン。
稲生:「それより、城内が騒がしいよ?」
エレーナ:「どうやら私達に気付いたみたいだな。さっさと入ろうぜ」
稲生:「中は最強の悪魔がウジャウジャ……」
バンッとエントラスの大きなドアを勢い良く開けて飛び出してくる魔族達。
魔族A:「あれ、いない!?」
魔族B:「侵入者はどこだ!?」
魔族C:「上だ!」
エレーナは稲生を乗せてホウキで上昇した。
エレーナ:「バーカ。玄関から堂々と『お邪魔しまーす』なんて入るわけねーだろ!」
稲生:「でも、上は!」
ガーゴイルの群れが現れた。
稲生:「どうするんだ!?」
エレーナ:「任せろ」
エレーナはローブのポケットの中から銀貨をばら撒いた。
エレーナ:「オラ!入場料だ!受け取れ!」
ガーゴイル達が上空にばら撒かれた銀貨を取ろうと必死に飛び回る。
誰もエレーナ達を阻止しようとはしなくなった。
稲生:「そ、そりゃアルカディアシティの魔王城も、『ガーゴイルの口にコインを与えてドアを開けさせる』なんてギミックがあるけどさぁ……」
エレーナ:「その魔王城のドアマンをクビになった団体だぜ!哀れな連中だぜ!」
エレーナ、魔王城の屋上から城内に侵入した。
その後はもうムチャクチャ。
エレーナ:「火事だ!火事だ!火事だーっ!メラメラだぜ!」
稲生:「油撒きながら『メラ』唱えるな!」
魔族D:「いたぞ、放火魔!」
稲生:「す、すいません!今、火ィ消しますんで!」
稲生、手近にあった消火器を噴射する。
魔界に消火器なんて変だと思うかもしれないが、何故かあったのだ。
気にしないで頂きたい。
魔族D:「ば、バカッ!こっちに向かって……ゲホッ!ゲホッ!」
魔族E:「ま、前が見えん!」
魔族F:「落ち着け!同士討ちになる!」
エレーナ:「さすが稲生氏!いい煙幕だぜ!」
稲生:「いや、そんなつもりは……」
エレーナ:「ムェ・ルァ・ミ!」
消火器煙幕の中、ブブブと飛ぶ等身大のグロテスクな虫。
虫は火に弱い。
エレーナは火炎魔法で容易く倒した。
エレーナ:「さすがだぜ。今の虫モンスター、カメレオンみたいに擬態して隠れるんだぜ。で、知らずに近づくと即死攻撃されるんだ。危なかったぜ」
さしもの擬態妖虫も、煙幕の中では擬態できなかったらしい。
稲生:「け、結果オーライか……」
他の階層に行くと……。
稲生:「あれ?さっきの火事でスプリンクラーが作動して……ええっ?」
RPGではザコモンスターの代表格、スライムがここではそれなりに強いモンスターなのだが、スプリンクラーの水で全個体が排水溝に流されていた。
また別の場所に行くと……。
エレーナ:「防火シャッターが閉まったせいで、向こう側にいた魔族達がこっちにいる私達を襲えないっていうなw」
稲生:「この城、消防法しっかり守ってるんだねぇ……」
マリアが捕らわれている部屋のあるフロアに行くと、外から魔界に似つかわしくないヘリコプターや銃声の音がした。
窓から稲生が覗くと、やはり武装ヘリが何機も飛んでいた。
エレーナ:「ありゃアナスタシア組だぜ?今頃来たのかよ……」
稲生:「ファンタジーの世界がメチャクチャだ」
すると、アナスタシアが魔法で2人の頭にメッセージを送信して来る。
アナスタシア:「外から援護射撃するから、あなた達は早いとこマリアンナを見つけなさい!」
エレーナ:「へいへい!しっかしアナスタシア先生、御大層な乗り物をお持ちで!」
アナスタシア:「これが現代魔女が乗るホウキよ!」
エレーナ:「私のは時代遅れの古臭いホウキで申し訳無いっスねぇ……」
アナスタシア:「そうは言ってないでしょ!いいから早く探しなさい!さすがにバァルのお爺さんが黙ってないわよ!」
エレーナ:「おーっとと!そうだったぜ!稲生氏、アンタの『愛の勘』で当てるんだぜ!」
稲生:「ええっ!?えーっとぉ……。じゃあ、あのドアだ!」
稲生は奥から3番目のドアを指さした。
エレーナ:「各々方、討ち入りでござる!だぜ」
稲生:「何でやねん!」
そんなやり取りをしながらドアを開けると……。
ケルベロス:「ガウ?」
稲生:「……あ、サーセン、間違えました」
エレーナ:「チャス……」
何事も無かったかのようにドアを閉める稲生達。
だが……。
ケルベロス:「ガウウウウウッ!!」
当然ながら無かった事にできるわけが無く、ケルベロスがドアをブチ破って追い掛けて来た。
エレーナ:「何が『愛の勘』だぜ!?思いっきり違うじゃねーか!」
稲生:「そりゃいきなり当てられるわけないだろ!」
2人の魔道士は慌てて逃げ出した。