報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「斉藤家に到着」

2021-05-07 19:42:18 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月10日15:45.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区 斉藤家]

 私達は斉藤家の最寄りのバス停でバスを降りた。
 そこからは徒歩で斉藤家に向かう。
 道順については、勝手知ったる何とやらだ。

 愛原:「……なあ、高橋。さっきから気になっているんだが……」

 私は前を歩くリサを指さした。

 高橋:「やっぱり先生もそう思われますか」

 高橋も頷いた。
 どうやら、気のせいではなかったようだ。

 高橋:「俺から言ってやりましょうか?」
 愛原:「じゃあお願いしようかな。くれぐれも泣かせないようにな?」
 高橋:「了解です!……おい、リサ」
 リサ:「な、なに?」
 高橋:「おめェ、臭ェんだよ。離れて歩けや、コラ」
 愛原:「こらぁーっ!!」

 いくら何でもそんな言い方は無い!
 高橋に言わせた私がバカだった!

 愛原:「オマエは、もっとソフトに言えんのか!?」
 高橋:「いや、ですが、ストレートにハッキリ言ってやった方が、後々面倒な事は……」
 愛原:「リサ、高橋の言う事は気にしなくていいぞ!」
 リサ:「うう……。やっぱり臭うんだ……」

 リサはガックリと頭(こうべ)を垂れた。
 リサからは体臭がした。

 愛原:「一体、何なんだ?」
 リサ:「さっき変化を我慢した時、変な汗いっぱいかいたから……」
 愛原:「それか!」
 高橋:「どうします?リサだけ帰しますか?てか、その方がいいっスよ」
 リサ:「えーっ!?ヤダーッ!」
 高橋:「オマエ、そんな臭ぇ体で……」
 愛原:「いい!いい!斉藤社長には俺から説明する!とにかく、急がないと約束の時間だ」

 私は先頭に立って斉藤家に向かった。
 そして到着すると、すぐに門扉のインターホンを押す。

 愛原:「あ、私、愛原と申します」

 すると、カチッと門扉のロックが外れる音がした。

〔「どうぞ、お入りください」〕

 若い女性の声がした。
 恐らくメイドさんの誰かだろう。
 門扉は電子ロック式になっていて、普段はロックされている。
 そして、家の中から遠隔で開錠することができるのだ。

 愛原:「失礼します」

 私はそう言って、門扉を開けた。
 そして玄関に向かうと、私が開けるまでもなく、中から開けられる。

 斉藤絵恋:「よーこそ、よーこそ!リサさぁーん……と、愛原先生とバイセクシャルのお兄さん」
 高橋:「あぁ!?」
 愛原:「まあまあ。お邪魔します」
 リサ:「サイトー……こんにちは」
 絵恋:「リサさぁーん、待ってたわよぉ~!」

 強い体臭を放つリサに抱き付く絵恋さん。
 すぐに臭いに気づいて逃げ出すか?

 絵恋:「凄い……!ワイルドな匂い……!」
 リサ:「ご、ゴメン。ちょっと、色々あって……。で、できれば、ちょっとシャワー借りたい……」
 絵恋:「ス・テ・キ……
 リサ:「え?」
 高橋:「この変態ビアンガキめ」
 絵恋:「あーら、高橋さん。先生のワイルドな汗の匂いは御嫌いなの?」
 高橋:「てめ、コラ!先生の高貴な汗の匂いと、BOWの獣臭を一緒にするんじゃねぇ!」
 愛原:「取りあえず、LGBTのお2人さんは少し黙っておこうか」
 リサ:「うん、ちょっと黙ってて」
 メイド(サファイヤ):「御嬢様、玄関先で騒がれますと、後で旦那様に叱られますよ?」
 高橋:「ええ!?先生はLGBTに理解のある偉大な御方だと思ってましたのに……!」
 愛原:「それとこれとは別だ」
 リサ:「うん、別。とにかく、私もこの臭いは嫌だからシャワー浴びたい」
 絵恋:「御心配無く。こんなこともあろうかと、お風呂自体を用意していますのよ。一緒に洗いっこしましょ?」(;゚∀゚)=3ハァハァ
 サファイヤ:「ついでにリサ様のお召し物も、急いで洗濯致しましょうか?」
 愛原:「あー、すいません。お手数おかけします」
 高橋:「さすがパールの知り合いだな。……ん?」

 高橋は何を思ったか、絵恋さんに耳打ちした。

 高橋:「おい。因みに、因みにだぞ?オマエ達の後で風呂に入れたりするのか?」
 絵恋:「私とリサさんの後でしたらどうぞ」
 高橋:「先生!不肖この高橋が、先生のお背中を……!」(*´Д`)ハァハァ

 何か、遥か後方で高橋が何か言ってる。

 メイド(ダイヤモンド):「旦那様は奥の応接室でお待ちですので、ご案内させて頂きます」
 愛原:「よろしくお願いします。……おい、高橋!なに悶絶しかかってんだ?早く行くぞ!」
 高橋:「ま、待ってください!」(´;ω;`)

 私と高橋は応接室へ向かい、リサと絵恋さんは浴室に向かった。

 ダイヤモンド:「失礼します。愛原様と高橋様がお見えになりました」
 斉藤秀樹:「やあ、愛原さん、都内から御足労ありがとうございます」
 愛原:「失礼致します。御依頼の件につきまして、報告書をお持ち致しました」
 秀樹:「どうぞ、お掛けください。キミ、お茶を」
 ダイヤモンド:「かしこまりました」

 私と高橋は隣り合ってソファに腰かけた。

 愛原:「こちらが報告書になります」
 秀樹:「ご苦労様です。テレビで観ましたが、実際はガス爆発ではないのでしょう?」
 愛原:「BOWですよ。それも、恐らくリサ・トレヴァーの亜種ではないかと思われます」
 秀樹:「そうでしたか」
 愛原:「社長の予想、当たりましたね。ただあいにくと、その後の調査権をBSAAやデイライトさんに取られてしまいましたが……」
 秀樹:「こちらとしては、バイオハザード事件を予防するか、或いは発生してもそれを最小限に抑えられれば良いと考えています。何も、その全てを愛原さんにしてもらう気はありませんよ。私とて、薬屋の端くれ。それを悪用する者を撲滅したい気持ちは同じです」
 愛原:「お役に立てれば幸いです」

 斉藤社長は私の報告書に目を通した。
 ただ、経費については……。

 愛原:「すいません。ちょっと交通費とか、宿泊費とか掛かってしまいましたかね……」
 秀樹:「いえ、構いませんよ。帰りも飛行機で良かったですのに……。これらの諸経費も併せて報酬はお支払い致します」
 愛原:「ありがとうございます」

 複雑な気持ちだが、斉藤社長は『陰ながらバイオハザード事件を解決に導いている』と、業界紙で大きく紹介されたことがある。
 実際にその仕事をしたのは私達なのだが、如何に探偵業は日陰の仕事であるかということだ。

 ダイヤモンド:「失礼致します」

 メイドのダイヤモンドが紅茶を運んで来る。
 ここのメイドさんは本名では呼び合わず、コードネームのようなもので呼び合っている。
 まあ、メイド喫茶のメイドさん達もそうか。
 あれは源氏名か?

 愛原:「『おいしくなーれ』のおまじないは無いですよね?」
 ダイヤモンド:「ご希望とあらば、そのように致しますが?」

 しかし冷たい目を向けて来る。
 ここのメイドさん達は、全員が前科アリなのだ。
 斉藤社長は刑務所出所者支援の活動もやっていて、ここのメイドさん達は全員が出所者なのである。
 目つきが悪かったり、冷たかったりするのは御愛嬌だ。
 尚、お抱え運転手の新庄氏も交通刑務所の出所者である。

 愛原:「い、いえ、結構です」
 高橋:「……さすがは傷害致死だぜ」

 高橋がボソッと言った。
 メイドさん達の犯罪歴については、同僚のパール(霧崎真珠)から聞いているという。

 高橋:「ま、俺も他人(ひと)の事は言えねぇ……」
 ダイヤモンド:「リサ様のお洋服ですが、ブレザーとスカートは洗濯が間に合わなくなるので、消臭剤で対応させて頂いております。ブラウスや下着などにあっては、夕食会までに間に合わせますので……」
 愛原:「どうも、お手数お掛けします」
 秀樹:「何かあったのですか?」
 愛原:「はあ……実は……」

 私はリサの体臭のこと、その原因となった大宮駅でのことについて話した。
コメント (1)
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