コンピューターの中で人間の脳が動き回る
話題の文明書「サピエンス全史―文明の構造と人類の幸福」下巻を読み終えました。
たにしの爺、上巻については、暮れから正月にかけて読み終えて、
1月8日に「人類種として唯一生き延びたホモ・サピエンス」として記事にしています。
下巻の順番が来るのを待っていましたが、2月10日に連絡が入って返却日は25日でした。
しっかり読んでいきたいと思いつつ、図書館の本ということと、
順番待ちの人が4人もいるので、どうしても速読になってしまいました。
上下巻とも再度、借り出して読みたい本です。
どうでもいいことを長々しく書き出しましたが、
下巻について述べるには助走が必要でした。
<下巻>の構成は<上巻>第3部「人類の統一」の続きの章として、
・宗教による超人間的秩序
・歴史には必然性があるのか、と問う。それは「ノー」であるとする。
歴史は何らかの「謎めいた選択」の結果だとする。
*第4部は「科学革命」
・人類は過去500年間で前例のない驚くべき発展をした。
科学が「帝国主義」「資本主義」「産業革命の推進力」となって、
市場の拡大と限りない欲望のグローバル化をもたらした。
しかし、それら文明は人間を幸福にしたのか、と問う。
・「国家や権力の発展」は必ずしも、みんなの幸せにつながらない。
拡大や成長ばかりを追い求めることになってしまう。
狩猟採集民の方が、現代人より幸せだったのではないかという。
*最終の第20章「超ホモ・サピエンスの時代へ」
・バイオニック生命体から、ホモ・サピエンスの性能を高めて、
異なる種類の存在にしようとしている科学プロジェクト。
・それらのプロジェクトはもう、止められなくなっている。
・ギルガメッシュ・プロジェクトは科学の大黒柱なのだと。
そして、私たちが直面している真の疑問は、
「私たちは何になりたいのか?」ではなく、
「私たちは何を望みたいのか?」かもしれない。
と結論付けます。
「あとがき――神になった動物」の冒頭の部分と、最後の3行を引用します。
・7万年前、ホモ・サピエンスはまだ、
アフリカの片隅で生きていくのに精一杯の、取るに足りない動物だった。
ところがその後の年月に、全地球の主となり、生態系を脅かすに至った。
今日、ホモ・サピエンスは、神になる寸前で、
永遠の若さばかりか、創造と破壊の神聖な能力さえも手に入れかけている。
<中略>
・その結果、私たちは仲間の動物たちや周囲の生態系を悲惨な目に遭わせ、
自分自身の快適さや楽しみ以外はほとんど追い求めないが、それでもけっして満足できずにいる。
・自分が何を望んでいるかもわからない。不満で無責任な神々ほど危険なものがあるだろうか?
読み終えて、 たにしの爺的感懐は「ホモ・サピエンス」の歩みは、
弱肉強食、先進と停滞、支配と隷属の連鎖であって、この先、
私たちはすでに、生存の一部を委ねている「バイオニック生命体」の支配による、
「不死」の人間になる道が開け始めている。「死なない人類」の誕生である。
行き着く先は「ホモ・サピエンスの終焉」です。
このままでは、サピエンスは地球を荒廃させる最も危険な生物でしかない。
そう警告する著者は若いイスラエル人歴史学者・ユヴァル・ノア・ハラリである。
本書は老い先の短い「好奇高齢者(後期高齢者)」にとっても、
100年後の地球世界を知っておくために熟読に値する。
「私たちは幸せだったのか」とー―
NHK「クローズアップ現代」
2017年1月4日(水)放送のハイライトを参考に再度添付します。
――“幸福”を探して 人類250万年の旅 ~リーダーたちも注目!世界的ベストセラー~――