
【香港でみつけた雲南米線】
香港映画では怪しい人物が多く住む不法地帯的魅力を放っていた香港の中心部ともいえる九龍城(マンション)は、今や可憐なバラなどが咲き誇る市民の憩いの場所九龍公園となっています。英国から中国政府に返還されたときに真っ先に解体したビルだったのだそうです。
その公園南の飲食店街で「雲南・桂林過橋米線」(亜土厘道21号)を見つけました。見つけたときは開店前だったので、海のものとも山のものとも分からず、ともかく昼時に出直すと、驚いたことに、他よりもは長い列ができていました。身なりのいいビジネスマンから、店の売り子さんのような人まで様々です。店には日本語メニューもあって「過橋米線」の日本語訳は「橋をわたる米の線」と書かれていました。なんのこっちゃ?

注文し、目の前に出てきたのは、とくに橋を渡ることもなく、どんぶりに静かに収まった煮込み米線。醤油で煮込んだ牛のサーロイン肉、回りが赤いハム、青菜を塩漬けし、乳酸発酵させた酸菜、さっとゆがいたモヤシ、ゆば、ニラ、ネギなどの刻んだものが渾然一体となって、酸菜や黒酢などがもたらすほどよい酸っぱさがクセになりそう。
米線もモチモチとした歯触りに、さわやかな味でいつまでも食べていたくなります。店の人があまりに急がしそうで聞けませんでしたが、おそらく、一日、米線を発酵させた生の酸米線ではないでしょうか。
自家製ワンタンも黒酢と菜肉あんをくるんだ自家製ワンタンからくるやさしい酸っぱさがクセになる味。雲南で私にとっては一押し絶品の白馬地区の店のスープをより洗練させた味で、さすが食の都・香港、もう一杯、食べたくなりました。 (つづく)
