写真上は雲南北部のシャングリラのチベット教寺院・松讃林寺にお参りにきたおばあさん方。髪は三つ編みにしたり、後ろに編み込んだりしている。
写真下は雲南南部のシーサンパンナで見かけた女性の髪を後ろから撮影。見事に結い上げ、いかにも量産されたプラスチックの櫛と、プラスチックの造花を指している。シーサンパンナの女性は服装も鮮やかな衣装が多く、おしゃれだが、髪飾りはプラスチックに見えれば見えるほど美しく感じるようだった(2004年冬撮影)。
【黒髪、三千丈】
雲南北部のシャングリラでは、独特な髪型に結ったお婆さんをよく見かけました。顔には深い皺が刻まれていますが、髪はツヤツヤ。
標高4000メートルを越える上、夏でも涼風が吹き抜ける土地柄。シャワーを使いたくても、ホテルですら冷水が混じり込むほど不安定です。おそらくお婆さんたちは髪をほとんど洗っていないはず。やはり作家の五木寛之のいうとおり、髪は洗わない方がきれいなのかもしれません。(五木寛之氏は実践中とのこと。私は日本でする勇気はありません)。
雲南南部のシーサンパンナでは、メコン川の上流の瀾滄江で、朝早く、女性が一人で髪を洗っていました。洗い終わった髪は絞って、風にある程度晒すと、くるりと後ろで一度、しばってカモジを作り、そこに何かの角を細く削った棒を一本、差し入れて団子状にしていました。
さて、シーサンパンナの中心地の景洪から4㎞ほど離れた瀾滄江と流砂河が交差する中洲に「シーサンパンナ勐泐文化園」といううら寂れた公園があります。
タイ族の王国のあった故地に観光活性化のためにつくられました(1999年の開園当初は「サル山」、2003年に「文化園」に改称。)見所は1987年にシーサンパンナ仏教教会によって再建された千年以上前のタイ風仏塔と、ホテル(閉鎖中だった)、吊り橋、珍しい南方のサルや孔雀など。中洲にあるのでロープウェーで行くのが、大きな目玉です。ただ、出来たばかりのはずなのに2005年には、閑古鳥。南方系のサルたちの「クルルルルッ」「ホーウ」という声や鳥の鳴き声だけが響いていました。(注1)
そこにひときわ華やいだ雰囲気のグループがうれしそうに歩いてきました。ピンクや金色のタイ族の服装の仲良しグループのお婆さんがピクニックにきたようです。頭には、髪留めの代わりにプラスチックのお箸と櫛が刺さっていました。お揃いできめたのかもしれません。
華やいだ雰囲気とプラスチックのお箸の髪飾りのアンバランスさが、ちょっとおかしくて、かわいらしかったです。 (この編、おわり)
注1 2012年6月に、仏塔を手入れし、博物館を増設して、「文化」の方向を歴史方面に転換した「文化園」として再リニューアルされた。つぶれてはいない。