シーサンパンナ景洪付近の牛。牛の後ろに見えるのはタイ族独特の高床式の家。中国でいうところの黄色、日本的には茶色、と黒色が混じっている。背に若干、こぶのように盛り上がって見える。インド系牛の血が混じっているのか?
文山州の硯山の苗族の暮らす村の牛。目がくりくりしてとにかくかわいい。ひたすらおとなしくカボチャを一個、モシャモシャと食べていた。背筋にたてがみのように見えて馬のようにも見えるが、小さな角があるので牛である。
【普通の牛に2種類ある】
雲南では色も大きさも毛が長い短い、額が広い狭いなど顔立ちも様々な牛に出会うのですが、それが中国でも雲南で顕著な特徴を示していることを示唆する本に出会いました。
在来家畜研究会著『アジアの在来家畜-家畜の起源と系統史』(名古屋大学出版会、2009年)です。
この本は1961年からおもに関西圏の学者たちがアジアの在来家畜の起源と系統をフィールドワークと近年ではDNAミトコンドリア解析をもとに解き明かそうとしたものです。
それによると家畜牛は背中にコブのあるインド系牛と背中にコブのない北方系牛(牛乳を出すホルスタイン、日本の見島牛などの在来牛など)、その中間型と分けることができるそうです。
分布図をながめると、ユーラシア大陸のほとんどと日本は北方系牛、メソポタミア文明のあったチグリス川からインドがインド系牛、東南アジアは中間型、アフリカ大陸はその3つが複雑に入り組んでいました。そして世界でも珍しいことに雲南あたりが北方型とインド型と中間型のちょうど境界となっているのです。