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暴れる象と芸象3 中国唯一の象使い養成校

2016-03-12 12:36:06 | Weblog

写真は西安の野生動物園にて日々催されるサーカス。動物園の敷地面積は1.3キロ平方メートル(東京ドーム約103個分。)で、とにかく広い。

※今回、長文です。よかったら2回にわけてお読みください。

【野生とはほど遠い光景】
金孔雀集団が経営する野象谷には中国で唯一の象使い養成校があります。
つまり、中国人の象使いの多くはこの学校の卒業生なのです。そして野象谷では、日々、体の大きな象が恐ろしいほど人間に従順な様子で集団曲芸をきまじめに行っていますが、それはここの学生によるものなのです。

観光客を象に乗せ、細い板の上を歩き、象が前足だけで立った上で象使いもポーズ、後ろ足と鼻でフラフープを回し、その芸当をしながら、さらにポーズ、小さな台に後ろ足を乗せ、立ち上がり、さらに一本足だけで立ち、象使いが鼻を持ってクルクル回し、次にめがねをかけ、ポーズをしたり、鼻で観客に肩たたきをしたり、ついにはサッカーまで。
 フィニッシュは雄大な青い空と緑の森を背景に象4頭を連なり立たせ、その象の頭に上に象使いが立って、旗を振る、サーカスのような、野生の象を期待した人にとっては、その真反対にある情景です。

 これを人々は売り子が売り歩くお菓子などを食べながら、気楽な姿で見学するのです。

 金孔雀集団は雲南に幅広く動物園などの施設やテーマパーク的観光地を作っていますが、そのほかの場所でも、この学校の卒業生が行う舞台は数多くあります。
 たとえば、シーサンパンナ原始森林公園。ここは10年前に訪れたときは象の舞台はありませんでしたが、「野生動物表演(公演)」という名で虎、猿、ライオン、熊、馬、犬が調教されて演じていました。毎日やっているためかだらけきって、緊張感がなく「これでよく事故が起こらないものだ」と感心したものです。

【動物園のサーカス】
 動物の公演というと思い出すのは陝西省西安の野生動物園。2004年9月時には新規にオープンしたばかりでした
(当時、日本のどのガイドブックにも書かれていなかった。私たちも知らずにホテル近くの市内の動物園のつもりでタクシーに乗って「動物園」と告げると30キロ先の終南山の麓まで連れて行かれ抗議すると「先日、移転してここになった」と言われてびっくり。娘のリクエストで偶然に行った)。
 だだっぴろいだけで、人はほとんどいない場所でした。

 ここの常設のテントでは、とくに別料金を払うこともなく、観客が少なかろうとおかまいなく動物がらみの本格的なサーカスを行っていました。きまじめに時間がくると、人によるアクロバットや輪くぐり、空中ブランコなどをピッチリとしたキラキラの衣装をまとった丸顔の若者が、きまじめに演じていました。動物もなにやら緊張感が漂います。最後に10元で虎とのツーショットを撮るコーナーがありました。雲南ではだらけた雰囲気によもやの事故を考えて断っていましたが、ここでは娘のたっての希望で写真をパシャリ。(私の危惧したとおり、昆明動物園で2007年の春節の賑わいの中で6歳の女の子が日常的によびこみ有料で行われていた虎とのツーショット撮影時に襲われて死亡する痛ましい事故があった)

 ステージが終わった後は客がはけようがはけまいがお構いなく、すぐに先ほどの演技の反省と反復練習を始める真面目さぶり。彼らの努力は、どこに向かって行くのだろう、と心配になったほどです。

 さて野象谷では2年の準備期間をへて1996年2月に象使い育成学校が創立されました。象7頭に象使いの卵数人。その技術はシーサンパンナ仕込みではなく、タイの象使い師を4名招いて学んだものです。シーサンパンナでは象使いの伝統は200年ほど前に断たれたとのこと。このことはまた、後ほど。

また象は一頭あたり一日に300キロのエサが必要なため、これ以上飼うことは経営上、難しく、その後も象は6,7頭前後となっているようです。
(つづく)
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