写真は宿泊ホテル前の海。矢印の海に突き出た小屋から右手にロープが張られた空間までがホテルの敷地内。矢印の小屋から左手の区切られた空間はとなりのホテルの敷地の海。このようにずーっと先までなんらかの資本のリゾートホテルのプライベートビーチが続く。当然、高級ホテルのビーチは広い。
写真手前のいかにもリゾート風の椰子の木が生え、水色の水が張られた空間はホテルのプール。プールのほうが海辺より広いことで海辺の大きさがわかるだろう。
【ぼーっと海を見たいのに・・】
私が住んでいたホテルから500メートルくらい離れたところに波止場がありました。そこは公的な空間なので漁師の出入りは自由でした。宿泊ホテルの眼前にひろがる海にもやってきては魚や貝を捕っています。
のどかだなあ。ホテル前の例の小さな砂浜から目を凝らすと、日焼けした男性が手に貝を掲げています。うれしそうに満面の笑みを浮かべて
「カイ、カイ」
と言いながら歩いてきました。
遠浅の海なので、干潮時には干潟になるのです。
貝という日本語がわかるのか、と軽く驚きつつ、さらによく見ようと目を細めているうちに、あっという間に近くまでやってきました。
「貝持つ?」
と英語でいうので手をホテルの敷地部分から外へと伸ばそうとすると、貝を手渡すよりも先に、またも英語で「ボートで周遊するよ。○○ペソ」としつこく絡み始めました。
学生で忙しいというと、半日、いや1時間。休みの日の予定は? とこちらがホテルの敷地内に逃げ込むまで続きます。
勉強の疲れをいやすため、海をぼーっと見たい。その素朴な願望は遠い夢となりました。5分でも海に近づくと勧誘の漁師たちがやってくるので、おちおち海も見てはいられないのです。リゾートライフはなかなか遠い・・・。
【難しい散歩】
ならば海沿いではなく、陸の方を散歩しよう。拳銃をぶら下げた警備員が出入りを監視する車通りに開けたホテルの入り口の方から外に出ると、今度はバイクタクシーのおじさんたちが同様に「何人? 日本人? 学生? セブ周遊、○ペソだよ」としつこく付いてきます。歩道の整備も当然ながらありません。
とにかく散歩が難しい。
日頃から運動といえば散歩しかしてこなかった私。ついにたどり着いたのが、ホテルの敷地内を速歩することと、ホテルの階段を最上階まで上がることでした。学生も従業員も使うのはエレベーターなので、階段で人に会うことはまずありません。見つかればちょっと風変わりに思われたかも知れませんが、幸い誰に会うこともなく、この散歩だけは続けることができました。
(つづく)