クイーンズウェイ近くのシェアハウスの窓から見えるお隣の景色。表通りに面した部分はきれいに補修されていても裏から見ると、19世紀の香り漂う古風さが漂う。19世紀のシャーロックホームズも、現代のBBCテレビでヒットした『シャーロック』も同じマンションで暮らしていてもなんも違和感もないのがロンドン。古さに比重を置きつつも補修でつなぐ文化がすばらしくもあるが、基本的なインフラ部分の更新が難しくなる面もあるようだ。
【問題を先送りした結果】
1989年サッチャー政権下での民営化後、若干の水質が改善したものの、老朽化していく水道管などへの投資がほぼ行われないまま、今にいたってしまった。250個分プールの漏水もテムズウオーター一社だけの話で民間会社は10社あるので、もっと多いことでしょう。日本もいずれ訪れる他人事とは思えないこわい現実です。
ならば老朽化した水道管の更新をすればよいと思うのですが、そのお金はない、といっていう水道会社。だのになぜか役員報酬だけは上がっているという歴然たる事実に市民の怒りは爆発気味。
このような水道環境の上に、ロンドンでは水道メーターがほとんど普及していないので、それぞれがどれぐらい使っているのかもわからない状況。当然、節水意識も芽生えにくくなります。
一方で水道メーターを取り付けると、はっきりと使用料がわかって水道代があがるのでは、と恐れる市民はメーターの取り付けに消極的ということもあるそうです。
こうして近代水道設備の最初期に普及したまま、放置され続けてしまっているのです。
水質水は安全とのことですが、ロンドン在住者の多くはミネラルウオーターを使用しています。
結局、水の中身は詳しくは追えなかったですが、実感としてわかるのは硬水なので、身体を洗うにしても石鹸はあまり泡立ちませんし、髪を洗うとなぜかゴワゴワしてしまいます。シェアハウスの方々も同意見だったので、これは割り切るしかなさそう。ロンドンでは敏感肌の方はくれぐれもご用心ください。
(この章おわり)