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雲南の牛⑦ 本場の乳餅と乳扇にかかせない川牛

2015-11-22 11:56:34 | Weblog

写真は昆明の繁華街で大理料理を出す店で食べた「乳餅炒め」。お皿の下に敷かれた藍染めの布も大理特産の藍染め絞りだ。味は日本のサイゼリアのモッツアレラチーズのようなさっぱりとした味わいだった。
当たり前のことだが乳餅は使う乳の風味が味を大きく左右するので産地や店によって味が少しずつ違う。
一方、大理では人々がもともとチーズを作っていたので食べ慣れているせいもあり、省外から入っているナチュラルチーズを使った窯焼きピザ屋が多く、もっぱらそちらばっかり食べてしまい、大理の乳餅の写真は撮らずじまいとなってしまった。

【雲南6大銘牛4・川牛】
 川は、標高2067メートルの高原・大理水上観光で知られるジ(氵+耳)海の北にあります。

川牛は茶色い一般的な飼育牛(中国語の黄牛)で、中国の黄牛では唯一の乳牛です。またささやかな特徴として目や舌が黒いことが挙げられます。

 すくなくとも600年前(明代)から飼育されていて、1959年には2万8200頭(http://baike.baidu.com/view/1363767.htm)現在は1万2600頭のうち搾乳中なのが2380頭とのこと。

このお乳を使った有名な大理の白族料理に、乳餅(※1)と乳扇(※2)があります。あたためた牛や山羊、あるいはヤクの乳に発酵させた乳やほおずきや木瓜水(※3)などの酸味のある液体を混ぜて、固まりにしたもので、さっぱりとしたフレッシュチーズの味わいです。

使う乳のせいか、独特のくさみがあるものがあり、そのクセがたまらない風味と感じる人も。

この大理の街角でよく見かける乳餅と乳扇を作っているのが川です。昆明周辺の元彝族エリアでも乳餅は作られていますが、「川」乳餅が入荷したときは、お店は誇らしげに文字を書き記して売っていました。売れ行きが違うのでしょう。

ただ、飼育者が加工用乳で収入を上げることは難しいらしく、近年では肉牛としても売り出そうと産品開発区も設けているようですが、いまのところ収入は低下するばかり。
(参考http://m.feizui.com/ztc/7263.html)

また1959年より乳牛として有名な黒白ブチが特徴のホルスタインを導入して川牛を母とした交雑が進み、さらに肉牛として育てようと1997年から茶と白のブチのジンメンタール種の導入を進めた結果、純血な川牛は2006年で母牛が500頭台程度と存亡の危機に立たされているとのこと。

伝統食の危機はこういうところからも起こるのです。人ごととは思えません。

※1 拙ブログの2011年12月25日参照
※2 拙ブログの2007年8月15日参照
(※3中国語辞書で「木瓜」と引くとパパイヤと出てきますが、雲南や漢方薬などで使われる「木瓜」はある薔薇科の植物の果実を指します。日本では「木瓜」でボケの木を指しますが、日本のボケの花よりやや大きめの赤い花が咲きます。さっぱりします。以前、ご紹介したことがありますが雲南特産のゼリー風は夏場の大人気おやつです。)
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