(注)HP「中東と石油」の「BP統計シリーズ」で2008年最新版をご覧いただけます。
(第3回)2004年の地域別および国別石油消費量
2004年の世界の石油消費量は一日平均8,076万B/Dであった。これを地域別に示したものが上図である。北米地域とアジア・大洋州地域及びヨーロッパ・中央アジア地域が世界における石油の三大消費地域であり、世界全体の消費に占める割合はそれぞれ30%、29%、25%である。これら3地域を合計すると世界全体の84%に達する。一方、中南米、中東及びアフリカの3地域はいずれも世界の消費量に占める割合は一桁台であり、3地域を合計しても世界全体の16%に過ぎない。石油の消費が世界の一部の地域に偏っていることがわかる。
次に国別の石油消費量をリストしたものが下の表である。これを見ると各地域の中でも一部の国が石油の大消費国であることがわかる。特に米国の石油消費量は2,050万B/Dであり、実に世界の石油の4分の1を消費している。米国に次ぐ石油消費国は中国(670万B/D)、日本(530万B/D)であるが、これに韓国(230万B/D)を加えた極東3カ国で世界全体の18%を消費していることも注目すべきであろう。また本表に掲げた石油消費量100万B/D以上の18カ国だけで世界のほぼ8割の消費を占めているのである。
(表) 千バレル/日 %
- 米国 20,517 25.4
- 中国 6,684 8.3
- 日本 5,288 6.5
- ドイツ 2,625 3.3
- ロシア 2,574 3.2
- インド 2,555 3.2
- 韓国 2,280 2.8
- カナダ 2,206 2.7
- フランス 1,975 2.4
- メキシコ 1,896 2.3
- イタリア 1,871 2.3
- ブラジル 1,830 2.3
- 英国 1,756 2.2
- サウジアラビア 1,728 2.1
- スペイン 1,593 2.0
- イラン 1,551 1.9
- インドネシア 1,150 1.4
- オランダ 1,003 1.2
ここ数年で石油価格が高騰し、しかも現在その価格が高止まりしていることを考慮すると、このように石油の消費が一部の国に偏っていることの問題が意味するところは大きいと言えよう。なぜなら高価格の石油に対して消費余力があるのは、米国、日本、ドイツなど一部の先進国及び中国、インド、韓国など石油価格を製品に転嫁できる輸出競争力のある国、或いは国内向けに石油価格を低くおさえているロシア、サウジアラビア、イランなどの産油国に限られているからである。その一方ではアフリカなどの貧しい国々は石油を輸入する経済力がなく、原油価格が上昇すればますます窮乏化するという悪循環に陥っているのである。