(米国、サウジ、ロシア3か国が鎬を削る時代に突入!)
(4)主要産油国の生産量の推移(1990年、 2000年、2015年)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/1-2-G03.pdf 参照)
産油国の中には長期的に見て生産量が増加している国がある一方、年々減少している国もある。ここでは米国、サウジアラビア、ロシア、中国、イラン、イラク、UAE、ベネズエラ及びブラジルの9カ国について生産量の推移を見てみる。
米国は1980年代半ばまで1千万B/Dの生産量を維持していたが、その後は年を追う毎に減り1990年には891万B/D、さらに2000年には773万B/Dに減少している。そして2008年にはついに678万B/Dまで落ち込んだが、同年以降石油生産は上向きに転じ2015年には1,270万B/Dとサウジアラビア、ロシアを抑えて世界一の産油国になっている。米国の2015年の生産量は2000年の1.6倍である。
サウジアラビアの生産量は1990年の711万B/Dが2000年には947万B/Dに増加、2015年は1,201万B/Dに達している。これは1990年比1.7倍という顕著な増加である。ロシアの石油生産は1990年に1千万B/Dを超えていたが、ソ連崩壊の影響で90年代は急減、2000年の生産量は658万B/Dに落ち込んだ。しかし同国はその後再び生産能力を回復し2015年は革命前を超える1,098万B/Dを記録している。
中国、イラン及びUAE各国の1990年、2000年、2015年の生産量を比べると1990年から2000年の間は3カ国とも同じような増産傾向を示している。即ちイランの場合は327万B/D(1990年)→385万B/D(2000年)で、中国は278万B/D→326万B/D、UAEは228万B/D→266万B/Dであった。しかし2015年の生産量は中国が431万B/D、UAEが390万B/Dで共に2000年を超えているにもかかわらず、イランは392万B/Dにとどまり、中国及びUAEに追い抜かれている。これは欧米諸国による石油禁輸政策の影響である。
イラクは1979年には350万B/Dの生産量を誇っていたが、1980年代はイラン・イラク戦争のため生産が減少、1990年の生産量は215万B/Dに落ち込んだ。更に1991年の生産量は湾岸戦争のため134万B/Dになり、経済制裁の影響で100万B/D以下に激減した年もあった。2000年には261万B/Dまで回復したものの、2003年のイラク戦争により再び低迷した。近年漸く生産は上向き2015年の生産量は403万B/Dと往時の生産量を超えている。
ベネズエラは1990年の224万B/Dから2000年には1.4倍の310万B/Dに増加した後、2015年には逆に263万B/Dに落ち込んでいる。これと対照的に1990年以降の20年間で生産量を急激に伸ばしたのがブラジルである。同国の1990年の生産量は65万B/Dでベネズエラの3割程度に過ぎなかったが、2000年には1990年の2倍の127万B/D、さらに2015年には253万B/Dに急増、1990年の4倍に達している。
(石油篇生産量完)
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