石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

五大国際石油企業2016年度業績速報シリーズ(1)  

2017-02-13 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してごらんいただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0401OilMajor2016.pdf

 

 国際石油企業(International Oil Companies, IOCs)の2016年第4四半期(10-12月)及び年間(1-12月)の決算が発表された。本稿ではExxonMobil、Shell, BP(英), Total(仏)及びChevron(米)の主要5社を取り上げ、各社の売上高、利益、石油・ガス生産量、投資額等を概観し、さらに5社の業績比較を行う。

 

I. 各社の業績概要

(表:http://menadabase.maeda1.jp/1-D-4-20.pdf 参照)

 

1.ExxonMobilの2016年第4四半期(10-12月)及び通年(1-12月)の業績

*同社ホームページ:

http://news.exxonmobil.com/press-release/exxonmobil-earns-78-billion-2016-17-billion-during-fourth-quarter

(1)売上高

 ExxonMobilの2016年10-12月の売上高は610億ドルであり、また通年売上高は2,261億ドルであった。前年同期比ではそれぞれ+2%の増収及び -16%の減収である。

 

(2)利益

 10-12月期及び通年の利益はそれぞれ17億ドル及び78億ドルであり、前年同期と比較すると10-12月期は-40%、通年では-52%であり、いずれも前年比1/2前後の大幅な減益であった。通年利益のうち上流部門の利益は2015年の71億ドルに対して2016年はわずか2億ドルにとどまっている。一方下流部門は2015年の66億ドルに対して2016年は42億ドルで減少幅は-36%であった。(注、最終損益額には石油化学部門その他の損益が合算されているため、部門別の上流・下流部門の損益合計額とは一致しない。)

 

ExxonMobilではかつて上流部門の利益が大きな割合を占めてきたが、最近では下流部門が会社の利益を支える状況にある。原油価格の急落が上流部門の利益を圧迫し、逆に安価な原油価格に支えられて下流部門の利益が急増する状況にあった。但し2016年は原油価格の下落が製品価格にも波及し利益は減少傾向にある。この傾向は他の4社でも同様もしくはそれ以上の厳しい結果になっている。

 

(3)売上高利益率

 通年ベースの売上高利益率は3.5%であり、前年の6.0%に比べてかなり見劣りする。

 

(4)設備・探鉱投資

 2016年の年間の設備・探鉱投資額は193億ドルであり、これは2015年比で37.8%の減少であった。

 

(5)石油・ガス生産量

 昨年のExxonMobilの石油生産量は日量平均2,365千バレル(以下B/D)であり、前年(2015年)の横ばいであった。天然ガスは日量平均10,127百万立法フィート(以下mmcfd)であり、これは前年比3.7%減である。石油と天然ガスの合計生産量は石油換算で4,053千B/Dとなり、2015年比では1.1%減である。

 

(続く)

 

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        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail;maedat@r6.dion.ne.jp

 

 

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