BPが恒例の「BP Statistical Review of World Energy 2019」を発表した。以下は同レポートの中から石油に関する埋蔵量、生産量、消費量等のデータを抜粋して解説したものである。
*BPホームページ:
http://www.bp.com/en/global/corporate/energy-economics/statistical-review-of-world-energy.html
3.世界の石油消費量(続き)
(石油を爆食する米国と中国、両国だけで世界の石油の3分の1を消費!)
(2) 国別消費量
(表http://bpdatabase.maeda1.jp/1-3-T01.pdf 参照)
国別に見ると世界最大の石油消費国は米国で、2018年の消費量は2,046万B/D、世界全体の21%を占めている。第二位は中国の1,353万B/D(シェア14%)である。米国と中国を合わせたシェアは34%であり両国だけで世界の3分の1の石油を爆食していることになる。
3位はインドで前年比6%増の516万B/Dであり、これに対して世界4位の日本の消費量は385万B/Dで前年より3%減少している。2015年にインドと日本の順位が入れ替わったが(BPエネルギー統計2016年版参照)、両国の差は年々広がっておりインドが米国、中国に次ぐ世界第3位の石油消費国に定着している。日本の消費量は米国の5分の1、中国の4分の1弱にとどまっている。
5位以下10位まではサウジアラビア(372万B/D)、ロシア(323万B/D)、ブラジル(308万B/D)、韓国(279万B/D)、カナダ(245万B/D)、ドイツ(232万B/D)と続いている。石油は米日などの先進国及びBRICsと呼ばれる中国、インド、ロシア、ブラジルの新興4カ国に大産油国でもあるサウジアラビアを加えた10カ国で世界の6割強を消費している。
上位10カ国の中で消費量が前年より減少した国は日本、サウジアラビア、韓国及びドイツの4か国であり、その他の6か国は前年より増加している。6カ国の中では中国及びインドは5%台の高い伸び率を示しており、また消費量トップの米国も2.5%増加している。米国は生産量ベースでは17%と言う非常に高い数値であったが(第5回参照)、消費量も日本及びドイツがマイナス成長であったことに比べ高い成長率である。米国は生産と消費の両輪が極めてスムーズな成長路線を描いていると言える。
国別消費量を前章の国別生産量と比較すると興味ある事実が浮かび上がる。米国と中国は消費量世界一位と二位であるが、生産量についても米国は世界1位、中国は世界8位である。両国は石油の消費大国であると同時に生産大国でもある。そしてサウジアラビア及びロシアは生産量で世界2位、3位であり、消費量では5位と6位でいずれもベストテンに入っている。その他消費量9位のカナダは生産量世界4位であり、消費量7位のブラジルも生産量世界10位である。
このように石油消費量上位10カ国のうち6カ国は石油の生産量も多い国々であるが、消費量ベストテンに入っていても生産量が皆無もしくは非常に少ない国は日本、インド、韓国及びドイツの4カ国である。このように石油を大量に消費する国といえどもその状況は各国によって大きく異なる。従って「消費国」と言うだけで結束して産油国(例えばOPECなど)に対峙することは容易ではないのである。
(続く)
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