石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

石油と中東のニュース(7月24日)

2019-07-24 | 今日のニュース

(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil

(石油関連ニュース)

・原油価格:Brent $62.95, WTI $55.99

・イラン海軍総督警告:米及び敵性国船舶は全て監視。英国は運航安全同盟結成目指す

(中東関連ニュース)

・アブダビ皇太子、習近平中国主席と会談。両国間で16のMoU締結

・オマーン、カブース国王即位49周年を迎える

 

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米国の原油生産、二年連続で世界一:BPエネルギー統計2019年版解説シリーズ石油篇(16)

2019-07-24 | BP統計

(注)本シリーズ(1~18回)は「マイ・ライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0474BpOil2019.pdf

 

BPが恒例の「BP Statistical Review of World Energy 2019」を発表した。以下は同レポートの中から石油に関する埋蔵量、生産量、消費量等のデータを抜粋して解説したものである。

 *BPホームページ:

http://www.bp.com/en/global/corporate/energy-economics/statistical-review-of-world-energy.html

 

5.世界の石油精製能力(続き)

(縮む欧州、ふくらむアジア・大洋州!)

(3)1970年~2018年の地域別石油精製能力の推移

(図http://bpdatabase.maeda1.jp/1-5-G02.pdf 参照)

 1970年の全世界の石油精製能力は5,170万B/Dであったが、5年後の1975年には7,091万B/Dと7千万B/D台に増え、さらに1980年には7,898万B/Dになった。その後1980年代は横ばいであったが、1999年には8,000万B/D台に乗せ、さらに2008年には9千万B/Dを突破し2018年の世界の石油精製能力は1億B/Dの大台を突破した。過去半世紀近くの間に全世界の精製能力は2倍近くに増えているのである。

 

これを地域別にみると、1970年には北米及び欧州地域の精製能力はそれぞれ1,482万B/D、1,586万B/Dとこの2つの地域だけで世界の6割を占めていた。その他の地域はアジア・大洋州が13%、ロシア・中央アジアが12%、南米9%で、中東、アフリカはそれぞれわずか5%と2%に過ぎなかった。しかしその後、アジア・大洋州の伸びが著しく、1975年には1千万B/Dを突破、さらに1990年代後半に2千万B/D、また2010年には3千万B/Dを超え、2018年末の精製能力は3,475万B/Dに達している。1970年に比べ精製能力は5倍に拡大しており、この間に北米、欧州を追い抜き世界最大の石油精製地域となっている。

 

欧州は1970年に1,586万B/Dと北米をしのぐ世界一の精製能力を有し、第一次オイルショック後の1970年代後半は2,200万B/Dの能力を維持していた。しかし1980年以降は精製能力が年々減少、1990年代には北米及びアジア・大洋州を下回る状況になっている。2018年の精製能力は1,568万B/Dであり、2000年に比べ10%強減少している。その結果世界全体に占める割合も1970年の31%から2018年には16%まで低下している。

 

北米地域については1970年の1,482万B/Dから1980年には2,200万B/Dまで伸びたが、その後需要の停滞とともに精製能力は削減され2000年までのほぼ20年間は1,900万B/D前後にとどまっていた。2000年代に入り再び2千万B/Dを突破し、2018年の精製能力は2,233万B/Dである。

 

中東、アフリカ地域は世界に占める割合は小さいものの、精製能力拡大のペースはアジア地域に決して引けを取らない。中東地域の場合1970年の247万B/Dが2018年には970万B/Dと約4倍に膨張している。またアフリカ地域は1970年にわずか102万B/Dにすぎなかった精製能力が2018年には3.4倍の343万B/Dに増加している。2010年から2018年の過去8年間だけで比較すると北米、中東、アフリカ及びアジア・大洋州地域は増加しているが、欧州は0.9倍と設備能力が減少している。

 

アジア、中東、アフリカの新興地域ほどではないにしろ、北米も2000年以降毎年増加しているのは注目に値する。シェールオイルの開発などにより石油の上流部門が過当競争に陥り利益が出ない体質になったのに対して、逆に原油価格が下がったことにより下流部門の石油精製が利益の稼ぎ頭となったことが、北米の精製能力拡大に結び付いているようである。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

 

 

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