石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

IMF世界経済見通し(2024年4月):低成長続く先進国、高成長続くインド(1)

2024-04-20 | その他

IMF(国際通貨基金)が「世界経済見通し(World Economic Outlook、April 2024)」(以下、WEO)を発表した。 また付属資料として世界各国及び地域の主要な経済指標を示した「データベース(World Economic Outlook Database)」も同時に公表した。

 

本稿では世界、主要経済圏、主要国の今年(2024年)及び来年(2025年)の成長率を比較し、また前回1月の経済見通し(World Economic Outlook Update)に対してGDP成長率がどのように見直されたかを検討する。さらに主要5カ国及び世界平均の2021年以降の5か年の成長率の推移を比較する。また今年の名目GDP(at current price)及び一人当たりGDPについても併せて検証する。

 

*WEOレポート:

https://www.imf.org/en/Publications/WEO/Issues/2024/04/16/world-economic-outlook-april-2024

*同データベース

https://www.imf.org/en/Publications/WEO/weo-database/2024/April

 

(今年と来年の世界の成長率は3.2%、中国4.6%、前回1月とほぼ変わらず!)

1.2024/25年のGDP成長率(表http://menadabase.maeda1.jp/1-B-2-08.pdf参照) 

 今回4月見通しでは今年の世界の成長率は3.2%とされており、前回1月(3.1%)とほぼ変わらない。米国の今年の成長率は2.7%であり、1月見通し(2.1%)より成長が加速すると予測している。因みに来年の成長率は1.9%とされ、今年よりも低下する見込みである。日本の今年と来年の成長率はそれぞれ0.9%及び1.0%の低成長が続くと予測される。ヨーロッパの独は、昨年のマイナス成長(▲0.3%)から今年は0.2%のプラス成長に戻り、来年は日本を上回る1.3%成長の見込みである。しかし1月見通しよりも回復の足取りは重く、依然低成長のままである。

 

 中国のGDP成長率は今年4.6%、来年4.1%であり、来年は成長率が下がる。両年とも1月見通しから変わっていない。インドの成長率は今年6.8%、来年6.5%であり、共に世界平均を2倍以上上回る高度成長が見込まれている。ASEAN5カ国は今年4.5%、来年4.6%であり、中国とほぼ同じである。

 

 ロシアはウクライナ紛争の先行きが見えないものの石油・天然ガスの生産輸出は堅調である。このため同国の今年の成長率は3.2%である。但し来年は1.8%と大幅に下落すると見込まれ、ウクライナ紛争が影を落としている。

 

中東の主要国を見ると、今年の成長率はサウジアラビア2.6%、エジプト3.0%、トルコ3.1%、イラン3.3%でありほぼ世界平均の水準である。来年については4カ国はそれぞれ6.0%、4.4%、3.2%及び3.1%であり、今年と全く逆の序列である。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

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見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(144)

2024-04-20 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

第5章:二つのこよみ(西暦とヒジュラ暦)(30

 

144二つの予言:「歴史の終わり」と「文明の衝突」(4/5)

 フクシマの「歴史の終わり」は、ベルリンの壁が崩壊し(1987年)、ソ連が解体して(1991年)世界が米国一強時代になった時代、即ち社会主義・共産主義が駆逐され、自由主義・資本主義がデファクト・スタンダード(事実上の世界標準)になった時代の申し子として生まれた。一方、ハンチントンの「文明の衝突」はイラン革命(1979年)、ソ連のアフガニスタン侵攻と撤退(1990年~1989年)、さらには湾岸戦争(1991年)と続く中東の激変の歴史に強く影響を受けたことは間違いないであろう。

 

 劇的に変化する歴史のパラダイムシフトの中でこれら2冊の思想書が世に出たが、それらと並行して実践的なイデオロギーとして米国で頭角を現わしたのが「新保守主義(Neo Conservatism)」、いわゆる「ネオコン」である。ネオコンそのものの歴史は1930年代までに遡るが、第二次大戦後の米ソ冷戦時代にソ連との緊張緩和(デタント)に反対する勢力の理論的支柱として育っていった。そしてそのネオコンを支えたのは在米ユダヤ人たちイスラエル・ロビーである。

 

 1964年の共和党大統領候補バリー・ゴールドウォーターが行った演説は保守派の熱狂的な支持を集め共和党の主流となった。

 「自由を守るための急進主義は、いかなる意味においても悪徳ではない。そして、正義を追求しようとする際の穏健主義は、いかなる意味においても美徳ではない」

 

(続く)

 

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

 

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今週の各社プレスリリースから(4/14-4/20)

2024-04-20 | 今週のエネルギー関連新聞発表

4/16 出光興産

資本業務提携に関する合意書の締結及び出光興産による富士石油株式会社(証券コード:5017)株式の買集め行為に該当する株式取得について

https://ssl4.eir-parts.net/doc/5019/tdnet/2422295/00.pdf

 

4/16 bp

bp begins oil production from major new platform offshore Azerbaijan

https://www.bp.com/en/global/corporate/news-and-insights/press-releases/bp-begins-oil-production-from-major-new-platform-offshore-azerbaijan.html

 

4/17 石油連盟

木藤 石油連盟会長定例記者会見 発言要旨・配布資料

https://www.paj.gr.jp/news/931

 

4/19 経済産業省

吉田経済産業大臣政務官がアラブ首長国連邦に出張しました

https://www.meti.go.jp/press/2024/04/20240419006/20240419006.html

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