(英語版)
(アラビア語版)
(目次)
第7章:「アラブの春」―はかない夢のひと時(3)
170 もう沢山!長期独裁に倦んだ大衆(3/4)
北アフリカ諸国では上記のリビア・カダフィのほか、エジプトのムバラク、チュニジアのベン・アリ、スーダンのバシールがそれぞれ長期独裁政権を保持した。ムバラクは空軍士官として4度の中東戦争を経てサダト政権下で副大統領に任命され、サダトが暗殺された1981年に大統領に就任した。そして2011年のアラブの春で失脚するまで30年間にわたり大統領を務めたのである。チュニジアのベン・アリは1987年に大統領に就任した後、「アラブの春」で最初のやり玉にあげられ2011年に失脚、サウジアラビアに亡命した(2019年没)。中東の独裁者として最後に登場するのがスーダンのバシールであるが、彼はカイロの士官学校を卒業後、軍隊組織で昇進を重ね1989年の軍事クーデタで権力を掌握、2019年に退任するまで30年間大統領の地位にいた。
これらの7人の人物は成り上がりで権力を手中にした者たちである。しかし中東にはもう一つ別なタイプの強権的独裁者の一族がいる。それはサウジアラビアなど湾岸君主制国家の支配一族である。サウジアラビアはサウド家が支配する専制君主国家であり、その他UAE、クウェイト、オマーンなどいわゆるGCC(湾岸協力機構)各国はいずれも世襲制の君主によってすでに数十年どころか百年を上回る専制支配体制が続いている。
(続く)
荒葉 一也
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