(英語版)
(アラビア語版)
2023年4月
Part III:キメラ(Chimera)
81. スタンピードの兆候(3)
若い兵士たちは子供のころから大人達がパレスチナ人を公然と卑下するのを聞かされてきた。
『パレスチナ人は無能で下等な人種である』
『彼らは人間ではない』。時にはそううそぶく者すらあった。
そのため彼らは蛮行に対する本能的なためらいがあった。しかし、仲間の中には大人達の言葉を逆手に取る者もいた。
『下等な人種なら、或いは人間ですらないなら、俺たちは何をやっても良いんだ。』
『相手を犬か猫と思えばいいのさ。』
テロに対する報復攻撃を行うためパレスチナ集落に攻め込んだ彼らは自らの主張を実践した。彼らは泣き叫び逃げ惑う相手を追いかけ、一時の快楽に身を任せたのであった。
ヒトは一度過ちを犯すと次からはマヒする。そして恐ろしい習慣が兵士たちの間ではびこり始めた。彼らは子猫の形をした小さなペンダントを腰にぶら下げ、仲間の間でその数を自慢しあうようになったのである。
スタンピード(集団暴走)が始まった。それはヒトが絶滅する前兆のように見えた。
(続く)
荒葉一也
(From an ordinary citizen in the cloud)
前節まで:http://ocininitiative.maeda1.jp/EastOfNakbaJapanese.html
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