Part I:「イスラエル、イラン核施設を空爆す」(26)
第九章 ナタンズ爆撃(4) イラン領空外へ(1/2)
「作戦成功!」。「エリート」は小さくしかし興奮に震えた声で本部基地に伝えた。基地で司令官以下の幹部が快哉を叫ぶ姿が目に見えるようであった。<親父もきっと喜んでいるに違いない>中東戦争の勇士と称えられ、はるか遠くにあった父親の背中が少し近くなったような気がした。これで無事に帰還すれば正真正銘の「エリート」になれると彼は確信した。
ナタンズ爆撃作戦は結局バンカーバスター5発を撃ち込んで終了した。「アブダラー」機にはまだ左翼にバンカーバスター1発、そして胴体下部に小型核ミサイル1発を残していた。しかし異変に気付いたイラン空軍の戦闘機がイスファハンを緊急発進していることは間違いなく、現場に長くはとどまっていられない。2発のミサイルを抱いた「アブダラー」機を含む3機は急上昇しイラン領空外へと向かった。レーダーはイスファハンの空軍基地を発進したイラン機がすぐ後ろに迫っていることを示していた。
(続く)
荒葉一也
(From an ordinary citizen in the cloud)
第九章 ナタンズ爆撃(4) イラン領空外へ(1/2)
「作戦成功!」。「エリート」は小さくしかし興奮に震えた声で本部基地に伝えた。基地で司令官以下の幹部が快哉を叫ぶ姿が目に見えるようであった。<親父もきっと喜んでいるに違いない>中東戦争の勇士と称えられ、はるか遠くにあった父親の背中が少し近くなったような気がした。これで無事に帰還すれば正真正銘の「エリート」になれると彼は確信した。
ナタンズ爆撃作戦は結局バンカーバスター5発を撃ち込んで終了した。「アブダラー」機にはまだ左翼にバンカーバスター1発、そして胴体下部に小型核ミサイル1発を残していた。しかし異変に気付いたイラン空軍の戦闘機がイスファハンを緊急発進していることは間違いなく、現場に長くはとどまっていられない。2発のミサイルを抱いた「アブダラー」機を含む3機は急上昇しイラン領空外へと向かった。レーダーはイスファハンの空軍基地を発進したイラン機がすぐ後ろに迫っていることを示していた。
(続く)
荒葉一也
(From an ordinary citizen in the cloud)