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2023年4月
エピローグ(2)
83. ネオ・ギャラクシーの使命
キメラがネオ・ギャラクシーとなって地球に再上陸するまでそれほど長い時間ではなかった。
ネオ・ギャラクシーとキメラの生き残りを賭けた壮絶な戦いが始まった。創造主が創り出し、宇宙飛行士モシェの体を通じて地球に送り込まれたネオ・ギャラクシーはキメラより強力であり、次第にキメラに取って代わっていった。発熱症状等が軽いネオ・ギャラクシーは静かにそして着実にヒトの体内に棲みついていったのであった。
パンデミックの終息宣言が出された。ヒトは元の平穏な日常生活を取り戻した。しかしヒトの気づかないところでネオ・ギャラクシーの影響は出ていた。それはヒトのむやみな繫殖を抑制するという創造主がネオ・ギャラクシーに与えた新しい機能であった。
創造主はヒトの生殖組織を食い尽くすキメラを絶やす一方、ヒトの繁殖力を適切に維持する役割をネオ・ギャラクシーに付与したのである。これによってヒトの無計画な増殖は止まり、ヒトは他の生物と将来にわたって共存することになった。同時にそれはネオ・ギャラクシーの生存が保証されることでもあった。ヒトと他の生物とネオ・ギャラクシーの三者に平和な均衡が生まれようとしていた。
すでに西欧先進国で下がっていた出生率が中東、アフリカ、南米など開発途上国でも同じ傾向を示し始めた。社会学者たちはその現象はヒトが豊かな生活を維持しようとして必然的に選んだ道だと解説した。
それも一理はあったが、本当はネオ・ギャラクシーがヒトに棲みつき、その生殖機能をコントロールし始めたことこそが最大の理由だったのである。ヒトの思考と行動は到底創造主の思慮に及ばないのであった。
(続く)
荒葉一也
(From an ordinary citizen in the cloud)
前節まで:http://ocininitiative.maeda1.jp/EastOfNakbaJapanese.html
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