石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(177)

2024-07-06 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

第7章:「アラブの春」―はかない夢のひと時(10

 

177 短かった春の宴(2/5)

しかし「アラブの春」を現状なりに評価することも意味のないことではなかろう。筆者の持論である中東の三つのアイデンティティ、即ち「血(民族)」、「心(信仰)」及び「智(イデオロギー)」をベースに「アラブの春」を経験した国、経験しなかった国を含め、アラブ圏各国について眺めてみるといろいろなことが見えて来る。

 

エジプトの場合、チュニジアで「ジャスミン革命」が成就したとほぼ同時の2011年1月、カイロのタハリール(革命)広場で学生を中心とするデモが発生した。SNSでデモ参加を呼びかける若者たちの声に応じてデモは規模を拡大しタハリール広場を埋め尽くすようになった。彼らは旗を振りムバラク大統領の退陣を求めるシュプレヒコール「ファキーア(もう沢山だ)!」と叫んだ。ムバラク大統領の出身母体である軍の治安部隊は最初のうち動かず、現場の警察官もデモ隊にむしろ友好的な雰囲気ですらあった。実のところ彼らも大統領に「ファキーア」だったのである。

 

(続く)

 

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

 


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