II. 天然ガス
1.世界の生産量
(シェールガス開発で伸びる米国、欧米の経済制裁で激減するロシア!)
(1) 2023年の国別生産量 (表http://bpdatabase.maeda1.jp/2-T01b.pdf参照)
2023年の世界の天然ガス生産量は年産4兆592億立法メートル(㎥)であり、前年(2022年)を若干上回っている。最大の生産国は米国であり、年産量は1兆353億㎥、世界全体の4分の1を占めている。同国は石油生産量も世界1位であり(I.1.(1)参照)、エネルギー生産大国である。2位はロシアの5,864億㎥で、米露2か国だけで世界シェアは4割に達する。ロシアの生産量は前年を5.2%下回っているが、これはウクライナ戦争をめぐる欧米の経済制裁によりヨーロッパ向けのパイプラインによる輸出がストップしているためである。
3位はイラン、4位中国で5位カナダ、6位はLNG輸出大国カタールである。7位から10位までの生産国を列挙すると、オーストラリア、ノルウェー、サウジアラビア及びアルジェリアの各国である。
これら上位10カ国の顔触れを石油と比較すると、米国、ロシア、イラン、中国、カナダ、サウジアラビアの6カ国は両方に顔を出しているが、カタール、オーストラリア、ノルウェー及びアルジェリアの4カ国は石油生産上位10カ国に入っていない(同様に石油生産上位10カ国のうちイラク、UAE、ブラジル及びクウェイトの4カ国は天然ガス生産上位10カ国に入っていない)。これは各国に存在する油田あるいはガス田の地質構造上の違いによるもので、ごく大まかにいえばカタール、オーストラリア、アルジェリアなどはガス単体のいわゆるドライガス田が多く、一方、イラク、UAE、クウェイトなどはガスと原油が一緒に生産されるウェットガス田であり、天然ガスが原油の生産に左右されるためである。
(50年間で4倍になった天然ガス生産!)
(2) 1970~2023年の生産量の推移 (図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-G02b.pdf参照)
1970年の世界の天然ガス生産量は9,800億㎥であった。その後半世紀の間生産量は毎年大きく増加し、2023年には1970年の4.1倍の4兆600億㎥に達している。この間、前年比でマイナスになったのは1997年、2009年及び2020年の3回だけである。
年間生産量が1兆㎥を超えたのは1971年であるが、その後は5~7%の成長を続け20年後の1992年に2兆㎥に達した。その後、増加のスピードは加速し、年産3兆㎥を達成したのは16年後の2008年であった。そして2021年には4兆㎥を超えている。
(続く)
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