II. 天然ガス
1.世界の消費量
(世界の天然ガスの22%を消費する米国!)
(1)2023年の国別消費量 (表http://bpdatabase.maeda1.jp/3-T01b.pdf参照)
2023年の世界の天然ガス消費量は4兆102億立法メートル(㎥)であり前年(2022年)比では横ばいである。
天然ガスの最大の消費国は米国であり、消費量は8,865億㎥、世界全体の22%を占める。同国は石油消費量も世界1位でありエネルギー消費大国である。2位はロシアの4,534億㎥、3位は中国の4,048億㎥である。これら3か国の世界シェア合計は44%に達する。4位はイラン、5位はカナダであり、6位サウジアラビア、7位メキシコに続いて8位を日本が占めている。9位、10位はドイツ及びUAEであり、上位10カ国が世界全体の消費量に占める割合は64%に達する。
これら上位10カ国の顔触れを石油の消費国順位と比較すると、米国、ロシア、中国、カナダ、サウジアラビア及び日本の6カ国は両方に顔を出しているが、イラン、カナダ、メキシコ及びドイツは石油消費の上位10傑に入っていない。
(1970年以降の半世紀で消費量4倍に急成長!)
(2) 1970~2023年の消費量の推移(図http://bpdatabase.maeda1.jp/3-G02b.pdf参照)
1970年に9,600億㎥であった天然ガスの消費量はその後1992年に2兆㎥、2008年には3兆㎥の大台を超え、2021年に4兆㎥を超え2023年の消費量は4兆102億㎥に達している。1970年から2023年までの間で消費量が前年度を下回ったのは1997年、2009年、2020年及び2022年の4回であり、53年間の増加率は4倍を超えている。
石油の場合は第二次オイルショック後の1980年から数年間にわたり急激に消費量が減った例に見られるように、価格が高騰すると需要が減退すると言う市場商品としての現象が見られる。天然ガスの場合は輸送方式がパイプラインであれば生産国と消費国が直結しており、またLNGの場合もこれまでのところ長期契約の直売方式が主流である。そして天然ガスは一旦流通網が整備されると長期かつ安定的に需要が伸びる傾向がある。これに加え最近では地球環境問題の観点からCO2排出量の少ない天然ガスの需要が増加している。この結果天然ガス消費量は石油の2倍のスピードで増加している。
(4千億㎥を超えた中国、1千億㎥を割った日本!)
(3) 米国、中国、日本、インド4カ国の過去10年間の消費量推移
(図http://bpdatabase.maeda1.jp/3-G03b.pdf参照)
米国(2023年の天然ガス消費量世界1位)、中国(同3位)、日本(同8位)及びインド(同12位)の2014年から2023年までの消費量の推移を見ると、2014年は米国が7,223億立方メートル(㎥)、次いで中国が1,884億㎥、日本1,248億㎥、インド485億㎥であり、米国とその他3カ国の格差は4倍以上であった。その後中国の消費量は急ピッチで増加、2016年には2千億㎥、2019年には3千億㎥を突破、2023年の消費量は4,048億㎥を記録し、米国との格差は2倍程度まで縮まっている。
一方、日本の消費量は2014年の1,248億㎥が過去10年間の最高であり、その後は年々減少、2023年には924億㎥と1千億㎥を切り、中国の4分の1以下、米国の10分の1程度に縮小している。インドは2014年の消費量485億㎥に対し2023年は626億㎥であり過去10年間に1.3倍増加している。
(続く)
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