3/15-16の両日モスクワで主要8カ国(G8)エネルギー相会合が開かれ、資源への投資拡大などを合意内容とする議長声明が発表された。その概要は以下の通りである。(声明全文はこちらを参照)
(議長声明概要)
- 21世紀は開発途上国を中心に世界的にエネルギー消費がかなり増加することは確実であり、少なくとも21世紀前半は化石燃料がベースであり続ける。
- 世界的なエネルギー安全保障のためには、供給の増加と需要の抑制に向け、市場を重視した取り組みが必要である。
- エネルギーの生産者、消費国間で中長期のエネルギー開発計画を含めた情報の共有による対話が重要である。
- 世界のエネルギーの安定を図るためには、生産、輸送等の分野の投資拡大が必要である。
- 再生可能もしくは代替エネルギーの幅広い活用を目指したG8と他の国との共同の努力が問題解決に資する。
(コメント)
来る6/15-17にロシアのペテルブルグで開催されるG8サミットに向けて、2/10-11に蔵相会合が、そして今回エネルギー相会合が相次いでモスクワで開かれた。ロシアは先進国首脳会議の8番目の参加国(G8)となって初めて自国が開催国となったこともあり力が入っている。
時あたかも石油価格が急騰しエネルギー問題が重要関心事項となっている。ロシアは石油では埋蔵量世界7位、生産量同2位、天然ガスでは埋蔵量、生産量とも世界1位のエネルギー大国である。このため同国はエネルギーを今年のサミットの主要テーマとし、蔵相会合及びエネルギー相会合でそのレールを敷こうとしている。
しかし両会合の議長声明の内容に目新しいものはなく、産消対話、投資拡大などこれまでの一般論の域を出ない。今年1月のウクライナへの天然ガス供給停止がパイプラインでガスの供給を受ける西欧諸国に対ロシア不信感を植え付けている。
ロシアが参加する前のG7はエネルギー消費国であり技術先進国の集まりという性格であった。しかしロシアはエネルギー生産国である。と同時に同国の産業技術水準はさほど高いとは言えず、G8の中では異質な存在である。極端な言い方ではあるが、ロシアはエネルギー大国ではあるが経済大国とはおこがましいような感がするのである。
6月の本会議でロシアと他のG8メンバー国とがどのような共同行動を宣言できるのか、ロシアが主催国としてある程度譲歩するのかを含めてその結果は興味のあるところである。
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