(第2回) 2004年の地域別及び国別の生産量と消費量
下表は2004年の地域別の生産量と消費量を示したものである。
(表)単位:10億立方米、billion cubic meters、以下bcmと略す
生産量 % 消費量 %
北米 763 28% 784 29%
中南米 129 5% 118 4%
欧州・中央アジア 1,052 39% 1,109 41%
中東 280 10% 242 9%
アフリカ 145 5% 69 3%
アジア・大洋州 323 12% 368 14%
全世界 2,692 100% 2,689 100%
2004年の全世界の天然ガス生産量は2,692bcmであった。地域別で最も多いのは欧州・中央アジアの1,052bcmであり、全体の4割弱を占めている。次に生産量の多いのが北米の763bcm(同28%)である。この二つの地域を合わせると世界全体の3分の2に達する。
前項で述べた埋蔵量ベースでは一位が中東(41%)、二位欧州(36%)であり、北米地域は4%に過ぎない。このことからわかるとおり北米地区では天然ガスの開発と生産がハイレベルに行われているのに対して、中東地域は未開発な状況であり将来に対すポテンシャルが高いと言えよう。これは天然ガスの性質上、これまで輸送手段がパイプラインに限られ、そのため消費地が生産国の国内或いは隣接国や同一地域諸国に限定されていたからである。
このことは表2の生産量と消費量それぞれの全世界に占める地域別シェアがほとんど同じであることからもわかる。即ち2004年の世界の天然ガス消費量2,689bcmのうち、欧州・中央アジアが41%、北米が29%であり、生産量のシェアとほぼ同じである。両地域とも生産量よりも消費量がわずかに多いが、これは後に述べるように北米についてはトリニダード・トバゴ(中南米)から米国(北米)向けにLNGが輸出されており、一方欧州・中央アジアについてはアルジェリア(アフリカ)から地中海海底パイプライン或いはLNGの形でイタリア、スペイン、仏(欧州)へ輸出されているためである。またアジア・大洋州は生産シェア12%、消費シェア14%であるが、これもカタール、オマーンなど中東地域からLNGを輸入しているためである。
ごく大雑把に言うならば、天然ガスは生産国の国内或いは同一地域内で大半が消費されるが、その一部については、南米→北米、アフリカ→欧州および中東→アジアへそれぞれ輸出されている、ということになる。
次に生産と消費を国別に示す。
(表)2004年の国別生産量(上位10カ国)
bcm(10億立方米) %
ロシア 589 22%
米国 543 20%
カナダ 183 7%
英国 96 4%
イラン 86 3%
アルジェリア 82 3%
ノルウェー 79 3%
インドネシア 73 3%
オランダ 69 3%
サウジアラビア 64 2%
(全世界) 2,692 100%
(表)2004年の国別消費量(上位10カ国)
bcm(10億立方米) %
米国 647 24%
ロシア 402 15%
英国 98 4%
カナダ 90 3%
イラン 87 3%
ドイツ 86 3%
イタリア 73 3%
日本 72 3%
ウクライナ 71 3%
サウジアラビア 64 2%
(全世界) 2,689 100%
天然ガスの生産量が最も多い国はロシアで、同国の2004年の生産量は589bcm、全世界の生産量の22%である。これに次ぐ第2位は米国の543bcm(同20%)である。この二カ国の生産量は突出しており世界全体の4割強を占めている。以下はカナダ(183bcm、7%)、英国、イラン、アルジェリア、ノルウェー、インドネシア、オランダ、サウジアラビアと続いている。
一方消費量のトップは米国の647bcmで世界の消費量の約4分の1を占めている。石油についても同国は同様に世界の4分の1を消費しており(石油篇第3項参照)、世界最大のエネルギー消費国である。但し同国の場合、天然ガスと石油の自給率が大きく異なる。即ち天然ガスは消費量647bcmに対し生産量が589bcmであり自給率が91%であるのに対し、石油は消費量2,050万B/D、生産量724万B/D、自給率35%と大きく異なるのである。
米国についで消費量が多いのはロシアの402bcmである。ロシアは国内に多くの巨大ガス田を有しており国内の需要を補って余りある生産能力があり、パイプラインで他国へ輸出している(輸出に関しては次項参照)。生産と同様、米国とロシアの消費量がとび抜けて多く、世界全体の消費量の4割弱を占めている。これに続くのが英国、カナダ、イラン、ドイツ、イタリア、日本、ウクライナ、サウジアラビアの各国である。
生産国、消費国それぞれの上位10カ国の中で両方に共通しているのは、米国、ロシア、英国、カナダ、イラン、サウジアラビアの6カ国である。
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