8/30 伊藤忠商事 アルジェリア向けLPGプラント工事が完成 http://www.itochu.co.jp/ja/news/2010/100830.html
9/1 国際石油開発帝石 西オーストラリア州沖合 ラベンスワース油田の生産開始について http://www.inpex.co.jp/news/pdf/2010/20100901.pdf
9/1 住友商事 米国におけるマーセラス・シェールガス開発プロジェクトへの参画の件 http://www.sumitomocorp.co.jp/news/2010/20100901_110006.html *
9/3 BP Update on Gulf of Mexico Oil Spill http://www.bp.com/genericarticle.do?categoryId=2012968&contentId=7064849
*参考ブログ「シェールガス、カタールを走らす」
サウジアラビアの秘かな動き(1)
基地のモスクで金曜の夜明けの礼拝を済ませた司令官トルキ王子は近くの荒野で鷹狩を楽しんでいた。ハファル・アル・バテン基地はイラクとの国境近く、ネフド砂漠の北端に位置している。砂漠の荒野にも野兎や渡り鳥など鷹の獲物は多い。鷹狩はトルキ王子のようなサウド家の王族たちのたしなみでもある。
夏の盛りとは言え早朝の砂漠はひんやりと風も心地よい。2003年にイラクのフセイン大統領が失脚するまで、この空軍基地は北の守りとして緊張した日々の連続であった。しかし解放後にイラク国内の混乱が始まってからは、国境の守りはイスラムゲリラ、アル・カイダの侵入を防ぐことや、酒・麻薬などの密輸業者を摘発することであった。それは国境警備隊、地上パトロール隊の仕事であり、空軍の出番は全くない。そのためトルキ司令官は普段から暇を持て余しており、鷹狩りは暇つぶしと言う訳である。つい今し方までは------。
突然王子の白くゆったりした民族衣装の右のポケットからコーランの一節が流れ出した。携帯電話の呼び出し音だ。左のポケットにはもう一台普通の携帯電話があるが、今鳴り出したのは軍及び内務省幹部専用の携帯電話である。軍及び内務省幹部と言ってもここサウジアラビアでは大臣以下殆どがサウド家の王子で占められている。しかも彼らは一族の中でも特に血のつながりが濃い王子たちである。例えば国防大臣がトルキ司令官の父親であるように。
「ああ、父上、何かあったのですか?」王子は育ちの良さそのままの明るく屈託のない声で電話に答えた。電話の相手が国防大臣と知った部下達の顔に一瞬緊張が走る。国防大臣は初代国王の15番目の息子であり、また先代国王の実弟でもある。初代国王は多数の王妃を娶り30数人の息子をもうけたが、彼の死後はその息子達がほぼ年齢順に王位を継承している。国防大臣の母親はトルキ王子の父親を含め7人の息子を生んだが、彼ら7人兄弟は結束を固め他の異母兄弟と張り合ってきた。特に長兄が国王として長期政権を確立する過程で弟達を政府の要職に引き上げた結果、彼ら7人兄弟はサウド家の中で確固たる地位を築き上げたのである。
(続く)
(この物語は現実をデフォルメしたフィクションです。)