石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

石油と中東のニュース(1月18日)

2021-01-18 | 今日のニュース

(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil

(石油関連ニュース)

・アジアのLNGスポット市場急騰。MMBTU当たり$7.55が$29に

(中東関連ニュース)

・PLOアッバス議長、議会・大統領選挙日程を発表。選挙は15年ぶり

・バハレーンとUAEは安全保障の有力パートナー:米ホワイトハウスが異例の声明。 *

・米戦略爆撃機B-52、中東上空を警戒飛行。イランに示威

・エジプト、カイロ近郊で古代遺跡発掘。古代王朝の歴史書き換える大発見

・サウジ中央銀行、フィンテックのサンドボックス規制申請受付開始

・日産インフィニティ、中東地域の販売急伸。QX50は年間32%増

 

*レポート「地に堕ちたサウジ外交Part1:無条件和解したGCCサミット」参照。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

地に堕ちたサウジ外交Part1:無条件和解したGCCサミット

2021-01-17 | 中東諸国の動向
1.カタール首長が出席してGCCサミット開催

 年明け早々の1月5日、サウジアラビア西北部のAlUlaでGCC定例サミット(首脳会議)が開催された。AlUlaはサウジアラビアで最初にユネスコ遺産に指定された古代ナバテア人の遺跡があり、ムハンマド皇太子(通称MbS)がVision2030で力を入れている観光産業の目玉でもある。

 定例サミットは通常毎年12月に開催されるが、今回は1月に延期された。今回の会議が従来と異なる点は二つある。一つは首脳が一堂に会したことである。昨年初めから全世界に流行し今も猛威を振るう新型インフルエンザ禍(COVID-19)のため、G-7をはじめ国際的な会議はいずれもTV会議方式で行われている。サウジアラビアがホスト国となったG20も同様であり、また同国が中核となっているOPECあるいはOPEC+の会議もリモート方式で行われている。今回GCC首脳が一堂に会したことは異例のことと言える。

二つ目はカタールのタミーム首長が3年ぶりに出席したことである。2017年6月、サウジアラビアは突然カタールに国交断絶を通告した。同じGCC加盟国のUAE、バハレーンもサウジに追随し、エジプトも同調した(カタール・ボイコット)。以来タミーム首長はサミットを欠席し続けた。しかし今回の会議でカタール・ボイコットを解消するAlUla宣言が採択されサウジとカタール両国首脳の仲直りが演出されたのである 。

2.カタール・ボイコットの原因とその後の経過
 サウジアラビアなど4か国はカタールがシーア派のイランと気脈を通じ、またスンニ派テロ組織と見なすイスラム同胞団を支援しているとしてカタールと断交したのが事の始まりであった。4か国の中で特に強硬なUAEが主導し、カタールにイラン、ムスリム同胞団との関係を断つこと、アルジャジーラTVを閉鎖することなど13項目の要求を突き付けた 。カタールは当然それらの要求を拒否したのであった。

孤立したカタールはトルコに助けを求めて軍隊の駐留を仰ぎ、同国から食料品など生活必需品を輸入した。またカタール航空がサウジ上空の通過を妨げられた代替策としてイランに領空利用を求めた。経済不振のトルコあるいは孤立するシーア派のイランにすれば豊かなスンニ派国家カタールからの要請はまさに「漁夫の利」であったろう。カタールがすぐに屈服すると見込んだサウジとUAEの思惑は外れた。GCCの内紛が加盟国にとって何の利益もないことは明らかであり、クウェイトが懸命に仲介を試みたがカタール・ボイコットは数年にわたり膠着状態を続けた。

昨年後半に事態が動いた。米国トランプ大統領はイスラエルとUAE及びバハレーンの国交正常化と言う大きな成果を得ると、続いて娘婿クシュナーをGCCに派遣し結束の回復を訴えた 。米国が乗り出したのはGCCがイランを抑え込む重要な前線基地だからである。米国はカタールにウデイド空軍基地を、またバハレーンには海軍第五艦隊の基地を有し、カタールには1万人の米兵が駐留している 。UAEとバハレーンがイスラエルと和平条約を締結、イスラエルの脅威は今やイランのみとなり、米国は対イラン防御網としてGCCが欠かせないのである。

3.サウジアラビア外交の敗北と愛想づかしをしたUAE
サウジアラビア自身もカタール・ボイコット終結のタイミングを狙っていた。イエメン内戦の泥沼の中でサウジはアデン正統政府と南部独立派の内紛に悩まされた上に、自国内への反政府フーシ派のロケット攻撃におびえている。さらにカショギ事件でMbSの評判は地に堕ち外交面で失地回復の手を打つ必要に駆られていた。サウジアラビアは13条件を棚上げしてカタールとの関係回復に踏み切ったのであった。

仲介に奔走したクウェイト首長がサミット直前に亡くなったこともサルマン国王の決断を促した。皇太子MbSもサミットに出席したカタール首長を空港に出迎えて抱擁、首長と個別会談を行うなどのパフォーマンスを繰り広げ自身のイメージ回復を図った。このようにサウジアラビ側が大きく譲歩したのに対してカタール側の譲歩はサウジあるいはUAEに対する国際機関への提訴を取り下げる約束にとどまっている。サウジ外交の一方的な敗北と言っても過言ではないであろう。

しかしUAEには大きな不満が残った。UAEにとってカタールからイラン及びムスリム同胞団の影を抹殺することがボイコットの最大の眼目だった。実際サミット直前、UAEのオタイバ外相はカタール問題がすぐに片付かないであろうとの見方を示し安易な妥協にくぎを刺していた。ところがGCC盟主の座を守りたい一心のサウジアラビアは形だけでもGCC結束を世界に示そうと十分な見返りもなしにカタールの復帰を急いだのである。

米国のクシュナーがわざわざGCCサミットに参加したのは、AlUla宣言の共同調印式に立ち会う自己の姿を世界のメディアに宣伝するためだったはずである。イスラエルとUAEの和平ではトランプ大統領が両国トップをワシントンに招き、ホワイトハウスの庭で大々的な調印式を行っている。それと同じ構図でMbS、UAE及びバハレーン政府トップ、エジプト政府代表、カタール首長等と並んでAlUla宣言署名式にクシュナー米大統領顧問が立会人として並ぶ写真が予定されていたことは間違いない。

UAEはサウジアラビアに愛想が尽きたのであろう。今回のサミット最大の成果であったはずのAlUla宣言署名式は行われず、クシュナーとエジプト代表の参加は無駄足になった。

サウジアラビア外交の罪は重い。

本件に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
荒葉一也
Arehakazuya1@gmail.com
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

石油と中東のニュース(1月16日)

2021-01-16 | 今日のニュース
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(石油関連ニュース)
・コロナワクチン接種と中国感染再発で原油価格もみあい。Bretnt $56.69, WTI $53.69
(中東関連ニュース)
・米国防省、イスラエルを欧州軍管轄から中央軍管轄に変更。敵はアラブからイランに
・米、イラン船会社と取引のイラン/中国企業7社を制裁対象に指定
・アブダビ政府系ファンドADIO、ニューヨーク、ロンドン、北京、ソウルなど8か所に事務所開設
・エジプト、独シーメンス社と紅海-アラメイン東西縦貫高速鉄道建設のMoU締結
・中国華為、サウジに海外最大の旗艦店開設
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今週の各社プレスリリースから(1/10-1/16)

2021-01-16 | 今週のエネルギー関連新聞発表
1/14 経済産業省
梶山経済産業大臣は、ジャーベル・アブダビ国営石油会社(ADNOC)CEO兼産業・先端技術大臣との間でTV会談を行いました
https://www.meti.go.jp/press/2020/01/20210114002/20210114002.html

1/14 ENEOS
根岸製油所における一部装置の廃止について
https://www.eneos.co.jp/newsrelease/20210114_01_1080071.pdf

1/14 Total
TOTAL AND 174 POWER GLOBAL TO JOINTLY DEVELOP 1.6 GW OF SOLAR AND ENERGY STORAGE PROJECTS IN THE U.S.
https://www.total.com/media/news/press-releases/Solar-Projects-of-the-Total-Hanwha-174PG-JV-in-the-USA

1/14 Chevron
chevron invests in carbon capture and utilization startup
https://www.chevron.com/stories/chevron-invests-in-carbon-capture-and-utilization-startup

1/15 コスモ石油
ADNOC及びIFADとの覚書締結の件
https://coc.cosmo-oil.co.jp/press/p_210115/index.html

1/15 ExxonMobil
ExxonMobil issues statement on Wall Street Journal report
https://corporate.exxonmobil.com/News/Newsroom/News-releases/2021/0115_ExxonMobil-issues-statement-on-Wall-Street-Journal-report

1/15 Total
TOTAL WITHDRAWS FROM THE AMERICAN PETROLEUM INSTITUTE
https://www.total.com/media/news/press-releases/total-withdraws-from-the-american-petroleum-institute
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

石油と中東のニュース(1月14日)

2021-01-14 | 今日のニュース
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(石油関連ニュース)
・サウジの自主減産好感しBrent原油昨年2月来の高値$56に。WTIも$53/バレル
(中東関連ニュース)
・オマーン皇太子に国王長男。勅令で男系長子相続制を明文化
・クウェイト、内閣総辞職
・東地中海問題でトルコとギリシャが1/25日に協議。成果は未知数。 *
・イスラエル、シリア北東部を空爆、過去3年で最多の犠牲者57人

・オマーン、地場銀行から20億ドル借入、国際大手行はソブリン格付けの低下で警戒。 **
・ネタニヤフイスラエル首相、ツイッターからトランプ大統領のバナー写真を抹消
・カタール航空、カイロ便を再開

*レポート「天然ガスに国際政治が絡み大荒れの東地中海 」(2020年2月)参照。
**「世界主要国のソブリン格付け(2021 年 1 月現在) 」参照。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

首の皮一枚でつながったOPEC+(プラス)体制

2021-01-13 | OPECの動向
1.2020/21年の協調減産と原油価格
 昨年1月のBrent原油の月間平均価格は64ドル/バレルであり、ロシアは1,200万B/D台の生産を継続していた。年初から本格的に流行し始めた新型コロナ(COVID-19)により世界経済は暗転し石油需要を直撃した。しかしロシアが減産を拒否し、これに反発したサウジアラビアの増産により価格は急落、4月には3分の1近い23ドルまで下落した。米国のスポット市場では指標原油WTIが一時マイナス価格になる異常事態すら生まれた。

 事態の深刻さに背中を押され、OPECと非OPEC、いわゆるOPEC+(プラス)は4月12日、OPEC+閣僚会合(Opec Non Opec Ministerial Meeting、通称ONOMM)で協調減産を決定した。減産量は5-6月970万B/D、7-12月770万B/Dとし、2021年以降も22年4月まで580万B/Dとされた。これにより市場は安定を取り戻し、7月及び12月のBrent月間平均価格はそれぞれ40ドル及び50ドルまで回復した。

2.ロシアとサウジアラビアの対立と妥協
 価格の上昇によりロシアなどOPEC+(プラス)各国から減産緩和の声があがるのは自然の成り行きであった。しかしCOVID-19の猛威は衰えることがなく、サウジアラビアは慎重論を唱え、2021年1月以降の生産方針をめぐってロシアとサウジアラビアは再び対立する事態となった。

 OPEC+の多くの産油国は歳入不足に苦しみ、減産緩和の急先鋒は非OPEC産油国のロシアとカザフスタンであった。これに対してサウジアラビアはOPEC加盟国を引き締めて減産体制の維持を図った。しかし増産による歳入増加を望むOPEC加盟国も少なくなく、減産枠を守らない国あるいは盟主サウジアラビアに反抗する国などOPEC体制にも亀裂が生じた。

 政治経済的には大国と言い難いサウジアラビアが大きな発言力を保てるのはOPECのリーダーだからこそと言える。従ってサウジアラビアとしてはOPEC及びOPEC+の結束を乱すわけにはいかない。そこで同国は12月のONOMMで1月の減産量を50万B/D緩和し720万B/Dとするとともに、1月以降毎月ONOMMを開いて見直すことでOPEC+の破綻を何とか回避したのであった。

 1月5日に開かれた第13回ONOMMでは減産幅720万B/Dに基づく国別生産レベルが示された。それによればサウジアラビアとロシアの生産量は共に911.9万B/Dとされ、その他の主な国はイラク385.7万B/D、UAE262.6万B/D、クウェイト232.9万B/D、メキシコ175.3万B/D、ナイジェリア151.6万B/D、カザフスタン141.7万B/Dなどである。続く2,3月の割当量も示されたが、目を引くのはロシアとカザフスタンの2カ国だけが減産量を緩和されており、OPEC10カ国(注、イラン、リビア、ベネズエラは対象外)及び非OPEC8カ国の生産レベルは変更されなかったことである。減産量は大きくないもののロシアとカザフスタンが優遇されたことはサウジアラビアとロシアの対立と妥協を如実に表している。

 さらに世界を驚かせたのは、ONOMM会議後にサウジアラビアのアブドルアジズ石油相から同国が2,3月の2カ月間、自主的に100万B/D追加減産すると発表したことである。サウジアラビアの大判振る舞いにより世界の石油需給が引き締まることは間違いなく、現在Brent石油価格は55ドル/バレルに上昇している。

3.今後の見通し
 当面の問題はCOVID-19の終息による石油需要回復の見通しであろう。COVID-19はワクチン接種が始まり感染者が減ると見込まれているが、第三波の流行が広まり、また変種ウィルス発生が確認されるなど終息の時期は見通せない。中国の景気回復が石油需要増にどの程度反映されるかも未知数である。

 またこれまで景気回復は石油エネルギーの需要増加に直結していたが、長期的なエネルギーバランスとしては石油から再生エネルギーへの転換が時代の趨勢となっている。事実、BPなど石油メジャー各社は石油からの脱却を掲げており、石油の将来は必ずしも明るくない。

 またOPEC+に目を転じても、すでに述べた通り短期的に見る限りサウジアラビアとロシアの蜜月関係は破綻したと言えよう。その破綻を取り繕うためにサウジアラビアは2,3月に100万B/Dの自主減産を公表した訳であるが、同国の財政状況は悪化の一途をたどっており大幅な減産を長期間行う体力はない。

 OPEC+はエネルギー市場を支配するカルテルから単なる石油生産国クラブに変質し、王者サウジアラビアの黄金時代は過ぎ去ろうとしている。

以上



本件に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
荒葉一也
Arehakazuya1@gmail.com
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

石油と中東のニュース(1月12日)

2021-01-12 | 今日のニュース
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(コロナ関連ニュース)
・レバノン、国家非常事態宣言。14-25日まで夜間外出禁止
(石油関連ニュース)
・イラン-韓国、外交レベルの船舶拿捕問題解決進展せず
(中東関連ニュース)
・オマーン、憲政史上初の皇太子職新設。具体的人名は未詳。 *
・バハレーン、カタールに領空開放
・米、イエメンフーシ派をテロ組織に指定
・エジプト、昨年のインフレ8.5%、12月消費者物価指数は前月比0.5%低下
・カタールDiar社、エジプト新カイロ市のシティゲートプロジェクトを4年ぶりに再開
・ドバイDPワールド、イスラエルの物流企業Allaloufグループと提携


*「オマーン・ブサイード家々系図
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

石油と中東のニュース(1月10日)

2021-01-10 | 今日のニュース
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(石油関連ニュース)
(中東関連ニュース)
・レバノンHariri首相、予告なしにトルコ訪問。エルドガン大統領と2時間会談

・イラン・ハメネイ最高指導者:米の核合意復帰は急がない。米英からのコロナワクチン輸入禁止
・サウジ航空、1/11日からリヤド-カタール・ドーハ便再開
・カタール航空、サウジ3都市向け航空便を順次再開

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

上位国は変わらず:世界主要国のソブリン格付け(2021年1月現在) (下)

2021-01-09 | その他
3.2018年1月以降の格付け推移
ここでは2018年1月以降現在までの世界の主要国及びGCC6か国のソブリン格付けの推移を検証する。

(先進国は格付け不変、新興経済国との格差拡大!)
(1) 世界主要国の格付け推移
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-G-3-01.pdf参照)
先進国の中ではドイツが過去3年間常に最高のトリプルAの格付けを維持している。米国はドイツより1ランク低いAA+を、また英国は米国よりさらに1ランク低い格付けAAを過去3年間続けている。中国と日本の格付けは3年間同じA+で推移している。

新興経済国のメキシコ、インド、南アフリカ及びブラジルの2018年1月の格付けは、メキシコが投資適格のBBB+であり、インドは投資適格で最も低いBBB-であった。メキシコは2020年上期にBBBに格下げされている。これに対しインドは今年1月現在もBBB-である。因みにS&PはBBBを「債務を履行する能力は適切であるが、事業環境や経済状況の悪化によって債務履行能力が低下する可能性がより高い」と定義付けている。

南アフリカとブラジルの2018年1月の格付けはそれぞれBB+及びBBであり共に投資不適格であった。両国の格付けは同年上期に共に1ランク低下し南アフリカはBB、ブラジルはBB-となっている。その後2019年下期まで格付け変化は無かったが、2020年上期に南アフリカがBB-に下がりブラジルと並び現在に至っている。格付けBBの定義は「より低い格付けの発行体ほど脆弱ではないが、事業環境、財務状況、または経済状況の悪化に対して大きな不確実性、脆弱性を有しており、状況によっては債務を期日通りに履行する能力が不十分となる可能性がある。」とされている。

3年間を通して見ると、先進国間の格付けは変わらない一方、新興経済国は格付けが下がる傾向が見られ、先進国との格差が広がっている。

(上位のアブダビ、カタール、クウェイト、大きく離れるオマーンとバハレーン!)
(2)GCC6カ国の格付け推移
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-G-3-02.pdf参照)
 GCC6か国(UAE、クウェイト、カタール、サウジアラビア、オマーン及びバハレーン)の過去3カ年のソブリン格付けの推移を見ると、まず2018年1月時点ではUAE(アブダビ)及びクウェイトの格付けが最も高いAAであり、これに続きカタールがAA-に格付けされていた。サウジアラビアはこれら3カ国より低いA-であり、オマーンは投資不適格のBB+であった。有力な産油(ガス)国が多いGCCの中で石油生産量がわずかなバハレーンのソブリン格付けはB+にとどまっていた。

 経済力の弱いバハレーンは現在もB+にとどまったままである。オマーンは格付けの下落が激しく2018年上期にBBに格下げされ、さらに昨年には上期・下期と2期連続で格下げされた結果、今年1月現在ではバハレーンと同じB+なっている。格付けBの定義は「現時点では債務を履行する能力を有しているが、「BB」に格付けされた発行体よりも脆弱である。事業環境、財務状況、または経済状況が悪化した場合には債務を履行する能力や意思が損なわれ易い。」とされており、オマーンとバハレーンの経済には不安感がある。

以上

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今週の各社プレスリリースから(1/3-1/9)

2021-01-09 | 今週のエネルギー関連新聞発表
1/4 ENEOSホールディングス
新年にあたっての社長メッセージ(要旨)について
https://www.hd.eneos.co.jp/newsrelease/20210104_01_1080071.pdf

1/4 出光興産
当社社長 木藤俊一 年頭の挨拶
https://www.idss.co.jp/news/2020/210104.html

1/4 コスモエネルギーホールディングス
2021年 桐山社長 年頭挨拶について
https://ceh.cosmo-oil.co.jp/press/p_210104/index.html

1/4 石油連盟
杉森務石油連盟会長 年頭所感(2021年1月5日)※1月7日修正版
https://www.paj.gr.jp/paj_info/press/2021/01/05-001909.html

1/4 Total
TOTAL ENTERS A NEW OPERATED EXPLORATION PERMIT IN EGYPT
https://www.total.com/media/news/press-releases/total-enters-new-operated-exploration-permit-egypt

1/5 OPEC
13th OPEC and non-OPEC Ministerial Meeting concludes
https://www.opec.org/opec_web/en/press_room/6310.htm
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする