たかたかのトレッキング

駆け足登山は卒業、これからは一日で登れる山を二日かけ自然と語らいながら自由気ままに登りたい。

思い出に残る山(11)日光白根山&

2017年07月03日 | 心に残る思い出の山
平成4年9月

あの頃、日光白根山は丸沼からのロープウエイは無く

菅沼からが主流でした


広い林道が途切れた辺りから針葉樹林帯の急登を強いられましたが

そんな苦しい中で初めて見たのがシラネアオイの花でした

今でしたら絶対カメラに収めたものを、この時は花に興味が無かった様で

アルバムには一枚の花も残っておりません


座禅山から勿体ないほど下ると弥陀ヶ池の畔に降り立ちました

余りの美しさに15分ほど休憩を取った事

目指す先の立ちはだかる奥白根山にたじろいだ事

今でも鮮明に覚えております




ざれた標高差300mの急坂は周囲の景色に見とれながら

この登りを勢い勇んで登っていると後方から「そっちじゃない、ルートはこっちだという声が・・・

私は時々これをやらかします

慌てて引き返すと50代の男性が「新ルートを開発しようとしたんだよね」

こんな時にこうした冗談は嬉しいものです

あれよあれよと登りあげ山頂に立ちました

この日は晴れてはいるものの遠望は霞み富士山を望む事は出来ませんでしたが

眼下の中禅寺湖は私達に大きな感動を与えてくれました

時刻は昼食には早すぎる10時

かなりの登山者で賑わう山頂を後に五色沼に下ります


砂地の急斜面を滑る様に下ると落葉樹の緑が美しい樹林帯ですが

山頂から1時間の下りは応えました


ここには五色沼避難小屋が建っています

重い戸を開けると光の挿しこまない暗がりに俯いたまま動かない一人の女性の姿

声もかけづらく私はそっと出て来てしまいましたが雄さんが

「ドア、開けて置きますか?」と言うと「開けて置いて下さい」と

消え入るような声でポツリと・・・



小屋の脇からいきなり急な登りになり稜線までは35分

振り返ると先ほど登頂した奥白根山が聳え頂上や稜線には小さく人影が見えます

暫く歩くと広々とした平原となり夏に咲き誇っていたつわぶきに似た花が

来る秋を目の前にして名残惜しげに風に揺れている姿が印象的でした


辿り着いた前白根山は奥白根山程の標高は無いものの

此処まで足を延ばす登山者も居ない広々とした静かな山頂です


(男体山や戦場ヶ原を望む前白根から五色山への稜線)


五色山への稜線は終始、奥白根山を投影した五色沼にを眺めながらの

稜線歩きで自然、シャッターを切る回数も増えてしまいます

紅葉も五色山の麓から色付き始めているので錦になるのも僅かでしょう


五色山から私達は湯元方面に道を取り金精山へと向かいました

此処からは今までの様な解放感は無く偶に湯元の温泉街と湯の湖が

鳥瞰されるのみ


国境平より金精山への急登が始まって25分

狭い頂上でしたが頂からは金精峠を走る車道の蛇行が絵の様でした

たった二人だけの静かな山頂に聞こえて来るものは鳥や動物の鳴き声ばかり


山頂からは急下降、木の根や枝、岩を頼りに下るとガサガサッ

一瞬、身を固くすると昆虫採集の親子連れの姿がニュッと現れました

「金精山の下り、かなりキツカッタでしょう、大丈夫でした?

 今、此処に居るんですから大丈夫だったんですよね」

と私達の返す言葉も全部、引き受けて話かけてきた可笑しな親子でした

金精峠には男根を祀った朽ちた神社が有り

家内安全を祈願して手を合わせていると

「あまり真剣に手を合わせるなよな」と雄さん???

此処から車を停めた場所まではジメッとした暗い道がずっと続きます

この道は金精道路開通までは沼田~日光の街道だったとの事ですが

昔の人はこんな寂しい道を通って日光に出たのでしょうか

冬は閉ざされますが便利な世の中になりました

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