たかたかのトレッキング

駆け足登山は卒業、これからは一日で登れる山を二日かけ自然と語らいながら自由気ままに登りたい。

(3)鹿島槍ヶ岳~蓮華岳縦走

2021年07月06日 | 心に残る思い出の山

続き(冷池山荘~新越山荘)

鹿島槍への稜線は数えきれない程の花の数で、ついカメラを向けたくなってしまうが電池が点滅状態では無駄撮りできない。撮影ポイントをチェックしながらイワオオギが一面に咲く斜面を左に見て先ずは鋭い三角の布引山を目指す。布引山頂はハイマツと岩屑と言う地味なピークだが今まで見られなかった鹿島槍の全容が望める展望峰なのだ。

7時30分、ザラザラと滑りやすい斜面を熟し、ついに鹿島槍山頂に到着した。何といえば良いのだろう。吊り尾根で繋がった北峰とその先の五竜岳、そして頸城山塊、上信越、奥秩父、八ヶ岳連峰や槍ヶ岳、南アルプス、黒部源流の山々、蓮華、針の木、剱、立山連峰、毛勝三山、富山湾の先には能登半島まで見渡せるこの豪華な眺め。そして見上げれば抜ける様な空の青。

私はいつもの様に連続写真を試みた。一枚、二枚、三枚・・・ここでシャッターが切れなくなった。こんな素晴らしい展望を前にして何て事!

“小屋に電池は置いてあるだろうか、使い捨てカメラは有るだろうか”運を天に任せてカメラに収められないこの限りない山座を脳裏に刻み下山した。

冷池山荘に戻るなり先ず電池が置いてあるか尋ねると電池は無いが使い捨てカメラなら有るという。 1500円と高かったが棚に置いてあった2個を購入。 思わず「良かった~」

 

 

  

タカネツメクサ & イワギキョウ

爺ヶ岳山頂は踏まず巻き道を取りトイレ臭のする小屋近くは敬遠し富士山が望める爺ヶ岳何峰直下のザレで昼食とした。雄さんは狐うどん、私は焼きそば、何だか無性にパンが食べたかった。 そこへ20歳くらいの女性が一人、脇を通ったので巨峰を薦めると「美味しい」と言って喜んで下って行った。

緑の世界に緑の風、我身はスッカリ山に同化した様だ。 未だまだ先は長い。おもむろに腰を上げ種池山荘に向かった。

  

タカネバラ & ハクサンシャクナゲ

山荘を右に下がった雪田に何やら動くもの。猿の群れだ。数えたら20匹、気づかれない様にソーッと歩いたつもりだったが山靴の下で岩屑がカラッと音を立てた。と同時に今まで姿の見えなかった猿と合わせて30匹以上が一斉に木立の中に消え去った。

種池山荘は相変わらず登山者でいっぱいだった。冷池山荘で使わなかったサービス券で水を頂き再び歩き始める。

  

サンカヨウ & キヌガサソウ

樹林の中を下ってテント場を抜けるとキヌガサソウの群落、白も有ればピンクも有る。少し下った所ではキヌガサソウに交じってサンカヨウも見られた。エンレイソウはもう花を終えている。

 

(キンポウゲの奥に針の木と蓮華岳)

辺りが開けるとハクサンフウロやクルマユリが山道を彩る様になり、その先は多種多様の花のオンパレード。

そうした中で私達を驚かせたのは斜面を黄色に染めるキンポウゲの大群落だった。心が浮き立ち足が前に進まない。

(たった今、下りてきた爺ヶ岳)

対岸に昨日歩いた水平動を望見。数年前ドキュメンタリードラマで観た柏原さんの苦労話が思い出された。白い布を木に垂らし対岸から眺めては付け替え、また眺めては付け替えるとった作業を繰り返しながら柏原新道を作ったと言っていた。あの石畳もその一つである。眺めたという場所とは私達が今、立っている場所ではないだろうか。

新越山荘へはもう一山越えなければならない。既に休憩含め7時間を超えている。そうゆっくりもしてられない。

種池山荘から新越山荘へ向かうボッカさんが「すぐ後からもう一人来ます」と言って物凄いスピードで私達を追い抜いて行った。だがそのもう一人は中々来なかった。岩沢小屋岳への稜線に来てやっと姿を見せた。ボッカさんにも勤務評定はあるのだろうかと思いながら前方を見れば先に行ったボッカさんは既に二つ目のピークを目指している。

花に導かれた稜線も次第に傾斜を増しいつの間にか花が目に映らなくなっていた。そんな喘ぎ喘ぎの登りも人間の一歩一歩は確実に山頂に近づいている。2630mの岩小屋沢岳に着いたのは14時30分だった。

ー略ー

新越山荘15時25分着。こじんまりした小屋だが擦違った登山者が教えてくれた様に清潔で気持ちが良い。トイレ臭が無いのが何よりだ。

同室者は八王子、千葉の各夫婦、そしてヒョウキンな若者二人。八王子の御主人(65歳)は五竜からテントを担いで来たというが、その荷物は雄さんの大きな荷物の未だ上をいく。学生時代、国体に出場、冬になればアルプスの山々をテレマークスキーで駆け回るというツワモノだ。だが決して偉ぶったりしない存在感のある人だった。

私達は消灯時間まで五竜の下りで40m滑落、大けがをしたにも関わらず自力で登ってきた人の話、お花畑に居たというの話(私達が興奮してみていたキンポウゲの群落の辺りらしい)等々楽しい語らいの時を過ごした

8月27日、風は有るものの今日も天気は上々だ。いよいよ針の木登頂の時が来た。何時か登りたいと色んな所から情報収集して練りに練ってきた山である。一体どんな形で私達を迎えてくれるだろうか。

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コメント (2)
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