先月のこと。来年度から使用する予定の中学数学教科書を見に行った。きっかけは現役の先生に紹介されて会場へ出かけたからだ。今回は7社が教科書を展示していた。
いつもチェックする所は、正負の数の計算の導入で、加法、減法のところ、それと代数和。代数和というのは、たとえば (+5)+(-3)を5-3と表すこと。
次は、文字式のところで、乗法や除法の表し方。a×2=2a などのこと。そのほか各学年の単元でいくつかチェックポイントはあるが、今回は確率にしぼってみた。
確率の所でさいころの実験観察の扱いをチェックしてみた。
例えば、こんな感じ。
2000回サイコロを投げる実験をすると、1の目が334回。1の芽が出る相対度数が 334/2000=0.167 ちょうど約1/6である。
まるで絵に描いたように・・・。きれいな結果だなー。
サイコロの実験は生易しいものではないことは以前にブログにのせた。ここで
以前教科書会社の営業担当の方にお話をしたことがあった。だいたい私の主張通りに教科書は記述が変ったことを覚えている。
結論から言うと、高々2000回程度の実験では、サイコロである目が出る相対度数。つまり(ある目が出た回数)/(サイコロを投げた総数)の値が、0.166から0.167などという数に収まる、つまり約1/6 に近いことはそう滅多に起こらないのが普通なのだ。
その昔、学校にパソコンがやって来た。PC9801である。大変に性能が良かった。早速これでプログラムを組んで、確率実験のシュミレーションをやってみた。要するにサイコロを何回も投げる実験をパソコンで「仮想的」に行った。つまりは、パソコンの乱数を利用して、1から6のどの数も同じように出現するようなプログラムを組んで、1から6の出現回数とそれぞれの相対度数を調べたのだ。
作って、実験。"試行回数 N=?" などとパソコンが聞いてくるのにウキウキしたものだ。だいたい、部活動が終わってから、夕方から夜にかけてプログラムを組んで、それから動かす。当時のパソコンでは2000回に試行にも何分かはかかったと思う。今なら瞬間なのだが・・・・。Nに2000を入力して待つこと数分。結果が出る。
なんと相対度数は・・・。
私はてっきり、0.166 0.167 0.166 などの相対度数が並ぶのかと思ったのだ。ところが・・・。ここ(前述)
にあるとおり、0.166や0.167などの数が出てこずに0.164などとんでもない数が並んだのだ。
2000回サイコロを投げて、1から6のそれぞれの目が出る相対度数を計算し、表にするプログラムの実行結果がこれ。
2000回というシュミレーションを10回続けて計算させてみた。
こんな感じであった。どうだろう。教科書に掲載されている数値は整いすぎておかしいと思ったのだ。
つづく