イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

「動的平衡2」読了

2018年02月25日 | 2018読書
福岡伸一 「動的平衡2」読了

前回読んだ「動的平衡」の続編だ。
今回はDNAとは一体何者だろうかということが全体を通してのテーマになっている。リチャード・ドーキンスという学者は、「DNAは遺伝子の乗り物に過ぎない。」と言うけれども、著者はそれに異議を唱える。
犬はどんな犬でも同じ遺伝子を持っていているはずだがあれだけたくさんの種類の犬がいる。逆にチンパンジーと人間は98%は同じDNAの構成だがこれだけの差がある。いったいこれはなぜだろうか?この、なぜ?という疑問は、生物学的な疑問ではなく、どうしてDNAはこれだけの多様性を見せる必要、もしくは見せなければならないのだろうか。そいうなぜ?である。

著者は一言、それは、“遊ぶため”にほかならないと説明する。歴史学者ヨハン・ホイジンガは人間は遊ぶ動物であると言う。また梁塵秘抄には「遊びをせんとや生まれけむ」と書かれている。生物は単に遺伝子を運ぶだけのロボット、世代を繋いでゆくだけの存在ではない。そう言っているのだ。だから、生きることを楽しみ、遊び、それでもって世代を繋いでゆく。それこそが本当の動的平衡というものであると言っている。

この本には遺伝物質に関して偉大な研究をしたたくさんの生物学者が紹介されている。しかし、それは生物学としての発見であり、人が、生物が生きてゆくという意義のようなものはやはり発見できない。もちろん、それはそれで重要な研究であるわけであるが、学問が発達すればするほど一方では余計に自分たちのレーゾンデートルをしっかり見つめないと効率という波に飲まれてしまうではないかと警鐘を鳴らしているような気もする。
コメント
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