醍醐麻沙夫 「アマゾン河の食物誌」読了
作家は、師の釣り紀行「オーパ!」の案内役をした人だ。師に手紙を送り、それがきっかけであの名著が生まれたのである。
醍醐麻沙夫という作家をウイキペディアで調べてみると、元サックス奏者でその後ブラジルに渡り作家活動に入ったとなっている。僕の親世代の人ではあるけれども、そんな世代の人がどうして音楽家をやめてブラジルに渡ることになったのか本の内容よりもそっちに興味がわいてくるがネット上でも大した情報を見つけることはできない。
「オーパ!」では現地の食べ物についてはそれほど多くは触れられていなかったように思う。記憶にあるのは、ブラジルではファリーニャという、芋から取ったでんぷんが主食で、それを食べすぎるとウンコが水に浮くようになり、ハウスボートの上のトイレから落とすとすかさず魚が食べに集まってくるのだ。というくだりぐらいだ。
この本はそれを補ってくれるかのような内容になっている。
流域の都会での食習慣と支流などでの自然の中での食習慣が章ごとに交互して紹介されている。
とある評論家の見解では、世界の三大料理とは、フランス料理、中華料理、そしてブラジルの家庭料理だという。
ブラジルも移民の国、世界中の料理が集まって来るが、貧しい移民たちの料理なのでおのずと家庭料理になる。そんな人たちが現地の食材を工夫して多彩なものを作りだす。それが三つ目の三大料理として評価される理由だというのである。
しかし、原住民たちの食べ物は質素だ。原住民の間で広く食べられていたもので特徴的なのはファリーニャ、ツクピーという調味料くらいだ。
ファリーニャは先に書いたけれども、マンジョッカという芋のデンプンだ。そしてそのデンプンを取った時にでる汁を加工したものがツクピーである。ちょっとエスニックっぽい味がするらしく、外国人にも美味しいと感じるそうだ。
この芋のデンプンはタピオカの原料でもある。(東南アジアにいくとキャッサバ芋と名前になる。)大変栄養価が高くて栽培も容易(この芋にはシアン化合物が含まれていて害虫や害獣を寄せ付けないらしい。)、この芋の株が10株もあればひとりの人が1年暮らせるらしい。
それに加えて年中温暖な気候に恵まれたアマゾンでは食材を保存したり食べにくいものをなんとか食べられるように加工しなければならないことがない。だから食文化というものもそれほど発展しなかったというわけだ。魚を焼いてファリーニャを振りかけるというのが原住民の一般的な食事らしい。
しかし、食材は豊富で、魚の種類の多さに加えて亀や獣類、鳥類など種類は数多とあるというのがアマゾンだ。
「オーパ!」の取材途中でサンタレンという年に滞在していた時、著者が作った小エビ料理を食べた師は、「きょう、サンタレンのエビはその本来の輝きをもつにいたった。」と言ったそうだ。これがアマゾンの食材の豊富さを物語っている。
著者は、こういった情報を積極的に得ようとしたのではなく、小説家として題材を取材するついでに得た情報をまとめている。そこには日本からの移民も多くいたのだが、やはり日本人は食べることに対して貪欲というか、自国の食生活に人一倍郷愁を感じる民族のようで、そこで手に入る食材をなんとか利用して日本を懐かしむ料理を作っていた。トウモロコシの粉で漬けたたくあんやマパラという魚を使ったかば焼きが紹介されている。ワラビも採れるらしい。
これも小さなコミュニティの中で食べられていたものだがひとつの食文化だ。日本からだけではなく、たくさんの国から移民がやって来ているように思うブラジルだから、それぞれの母国ごとのコミュニティにそういったものがあったのだろう。
著者は日本のコミュニティを中心に取材をし、そして大の釣り好きだそうで、食材としての魚の紹介、そして移住した日本人の食生活を中心とした紹介になっている。
これはこれで好感が持てるのだ。
作家は、師の釣り紀行「オーパ!」の案内役をした人だ。師に手紙を送り、それがきっかけであの名著が生まれたのである。
醍醐麻沙夫という作家をウイキペディアで調べてみると、元サックス奏者でその後ブラジルに渡り作家活動に入ったとなっている。僕の親世代の人ではあるけれども、そんな世代の人がどうして音楽家をやめてブラジルに渡ることになったのか本の内容よりもそっちに興味がわいてくるがネット上でも大した情報を見つけることはできない。
「オーパ!」では現地の食べ物についてはそれほど多くは触れられていなかったように思う。記憶にあるのは、ブラジルではファリーニャという、芋から取ったでんぷんが主食で、それを食べすぎるとウンコが水に浮くようになり、ハウスボートの上のトイレから落とすとすかさず魚が食べに集まってくるのだ。というくだりぐらいだ。
この本はそれを補ってくれるかのような内容になっている。
流域の都会での食習慣と支流などでの自然の中での食習慣が章ごとに交互して紹介されている。
とある評論家の見解では、世界の三大料理とは、フランス料理、中華料理、そしてブラジルの家庭料理だという。
ブラジルも移民の国、世界中の料理が集まって来るが、貧しい移民たちの料理なのでおのずと家庭料理になる。そんな人たちが現地の食材を工夫して多彩なものを作りだす。それが三つ目の三大料理として評価される理由だというのである。
しかし、原住民たちの食べ物は質素だ。原住民の間で広く食べられていたもので特徴的なのはファリーニャ、ツクピーという調味料くらいだ。
ファリーニャは先に書いたけれども、マンジョッカという芋のデンプンだ。そしてそのデンプンを取った時にでる汁を加工したものがツクピーである。ちょっとエスニックっぽい味がするらしく、外国人にも美味しいと感じるそうだ。
この芋のデンプンはタピオカの原料でもある。(東南アジアにいくとキャッサバ芋と名前になる。)大変栄養価が高くて栽培も容易(この芋にはシアン化合物が含まれていて害虫や害獣を寄せ付けないらしい。)、この芋の株が10株もあればひとりの人が1年暮らせるらしい。
それに加えて年中温暖な気候に恵まれたアマゾンでは食材を保存したり食べにくいものをなんとか食べられるように加工しなければならないことがない。だから食文化というものもそれほど発展しなかったというわけだ。魚を焼いてファリーニャを振りかけるというのが原住民の一般的な食事らしい。
しかし、食材は豊富で、魚の種類の多さに加えて亀や獣類、鳥類など種類は数多とあるというのがアマゾンだ。
「オーパ!」の取材途中でサンタレンという年に滞在していた時、著者が作った小エビ料理を食べた師は、「きょう、サンタレンのエビはその本来の輝きをもつにいたった。」と言ったそうだ。これがアマゾンの食材の豊富さを物語っている。
著者は、こういった情報を積極的に得ようとしたのではなく、小説家として題材を取材するついでに得た情報をまとめている。そこには日本からの移民も多くいたのだが、やはり日本人は食べることに対して貪欲というか、自国の食生活に人一倍郷愁を感じる民族のようで、そこで手に入る食材をなんとか利用して日本を懐かしむ料理を作っていた。トウモロコシの粉で漬けたたくあんやマパラという魚を使ったかば焼きが紹介されている。ワラビも採れるらしい。
これも小さなコミュニティの中で食べられていたものだがひとつの食文化だ。日本からだけではなく、たくさんの国から移民がやって来ているように思うブラジルだから、それぞれの母国ごとのコミュニティにそういったものがあったのだろう。
著者は日本のコミュニティを中心に取材をし、そして大の釣り好きだそうで、食材としての魚の紹介、そして移住した日本人の食生活を中心とした紹介になっている。
これはこれで好感が持てるのだ。