イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

「ほろ酔い文学辞典」読了

2015年09月27日 | 読書
重金敦之 「ほろ酔い文学辞典」読了

いままで読んできたこの手の本は、“OO編”という形で、文章を切り取って並べているだけという形であったが、この本は第1分類がお酒の種類で作家の文章を引用しながら展開されてゆく。
有名、無名(僕が知らないだけだが・・・。)この人はどれだけの本を読んできたのだろう、そしてどんなデータベースを持っているのだろうと恐ろしくなるほどの情報量だ。最近の新書は教養を高めると言いながら読んだ後にはいつもこれのどこが教養だと大半が損をしたと思ってしまう内容だが、この本は教養が身につくのかどうかは別にして、著者の教養の深さに驚かされる。元新聞記者だそうだが、記者独特であろう簡潔で要旨がはっきりしたスパッとした文章も好感が持てる。

このような形で書評を書く人々は必ず推理小説を揚げる。僕は基本的に推理小説やホラー、ミステリーは読まない人間なのだが、読む人が読むとこのジャンルは非常に魅力的なのかもしれない。このように新しい本を紹介してもらえるのも書評を読む楽しみだ。紹介されているいくつかの本はぜひとも読んでみたい。また古本屋めぐりが楽しみになる。


日本酒のページ、居酒屋でひとりで呑むことができれば男として一人前だ。みたいな記述がある。男がひとり、見ず知らずの人と酒を介して何の利害もない会話を交わすことができる人というのは確かに大人だ。もう放送が終わってしまったが、「ヨルタモリ」のようなお酒の呑み方にはあこがれる。そして大人になり切れない僕には絶対無理なのだ。ひとりで暖簾をくぐる勇気もない。まあ、奥さんが作ってくれる料理がけっこう美味しいのでそれをあてにして黙ってお酒を呑むのが安く上がってくつろげる。こっちのほうがいいと思うのは、これは幸せなのかそれとも男としては未熟、もしくは堕落しているのか・・・。
そんなことに悩んでいるということ自体が未熟だということを物語っているということを理解しているというのは少しだけ大人になったのだと思っておきたいものだ。


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