外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

在日クルド人家庭訪問~素朴なギモン編

2017-06-03 01:35:58 | クルド


最近、埼玉在住のトルコ系クルド人と関わる機会がじわじわ増えている。

以前クルド料理講習会に参加したとき(もう記憶の沼の底だが、おそらく昨年2月)、クルド人のために無料で日本語教室を開いているという日本人女性と知り合い、トルコ語通訳としてお手伝いを買って出たのが事の始まりだ。

彼女(仮にKさんと呼ぶ)は本当にエライ人で、普段はフルタイムで事務の仕事をこなし、終業後や休みの日に精力的にクルド人の支援活動をしている。日本語教室のみならず、役所などに提出する書類の代筆、試験前の子供の家庭教師、入学準備のための制服やその他の物品の用意の手伝い、自宅にこもりがちな子供たちの気分転換のためのレクリエーション活動など、あらゆる方面で生活をサポートしているのだ。しかも団体ではなく、個人で。最近はKさんを中心にグループを形成する流れになってきているが、これまではずっと一人でがんばっていたそうだ。それで、猫の手レベルではあっても、私も助太刀したいと思ったのだ。トルコ語の復習にもなるし(あくまで一石二鳥を狙う私)。

トルコ出身のクルド人コミュニティ近辺の在住で、トルコ語を知っている日本人というのは貴重なので(クルド語ができる日本人はこの辺にはいないようだ。日本語が上手なクルド人はそれなりにいるが)、やろうと思えば、お手伝いできることはいっぱいあるはずなのだが、「不用意に忙しくなったら、家でごろごろする時間が減っちゃうな・・・(ごろごろ) 」「大雨だから日本語教室サボっちゃおうかな・・・(ごろごろ)」「ボランティアだから遅刻しても怒られないかも・・・(ごろごろ)」などとロクでもないことばかり考えているという、カメハメハ大王の子孫か雨の日の猫のような省エネ体質なので、大したことはやっていない。

最近主にやっていたのは、来日してからまだ数ヶ月で日本語が話せない一家をKさんが訪問するのに同行して、通訳することだった。その家庭では、3人の娘全員が4月に中学校や小学校に入学したので、そのための様々な準備や、入学後に学校からもらってくる書類の説明などのケアが必要だったのだ。子育ての経験もなく、地元出身でもない私は、予備知識がないという点では外国人と大差ないので、こういった実務の役には立たない。このため、Kさんがてきぱきと書類を処理するのを眺めつつ、出されたお茶を飲みながら母娘と談笑し、必要に応じて通訳するのみだった。

日本に来たばかりの外国人は、目にする様々なことに疑問を持つものだ。クルド人も例外ではない。その家庭のお母さんや娘たちにも(お父さんはたいてい出かけている)、訪問するたびに色々質問された。こちらの意表を突いてくるような質問ばかりで、まともに答えられないことも少なくない。例えば―

「日本の洗濯機はなぜ水しかでないの?」
(トルコのはお湯が出る。私は日本の洗濯機ではお湯が出ないことすら意識していなかった)

「日本のマカルナ(パスタ)はなぜどれも長いの?」
(な、なぜだろう…トルコではショートパスタもよく食べられる)

「日本の住宅の庭木に果物がなっていても、どうして食べずにずっとそのままにしておくの?」
(気にしたことがなかった…なぜなんだろう)

などなど。

一番当惑した質問は、「日本の救急車はどうしてあんなにゆっくり走るの?」だった。

ゆっくり?

トルコの救急車はもっとスピードが速いそうで、在日クルド人の間では「救急車に乗ったら、死ぬ前に日本をゆっくり観光させてもらえる」というジョークすらあるらしい。

ちなみに、私は日本で救急車に乗ったことはないが、イタリア滞在中に一度だけ乗った経験がある。語学学校のフェスタで飲みすぎ、意識不明になった私を心配して、友人が救急車を呼んでくれたのだ。でも意識不明だったわけだから、スピードが速かったかどうかはわからないな~


イタリアの救急車



トルコの救急車



ヨルダンの救急車






(終わり)









コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

クルドの新年のお祭りネウロズ2017 in 川口

2017-05-26 17:19:06 | クルド

またまたご無沙汰していました。
時間が過ぎるのは、なぜこんなに早いのだろう。私の内なる世界と外界では時間の流れ方が違うかのよう・・・

というわけで、もう2ヶ月以上経ってしまったが、3月20日にJR川口駅東口のキュポ・ラ広場(なんでポとラの間に中黒があるんやろ)で開催されたクルドの新年のお祭り、「ネウロズ」のイベントの写真を載せます。Newroz pîroz be! ネウロズおめでとうございます!(遅いやつ)

2016年のネウロズについて書いた記事はこちら。去年の会場は蕨市民公園で、広くて緑豊かでよかったけれど、音がうるさいと近隣住民から苦情が出て会場を変えざるを得なかったらしい。まあ開催されただけでもよしとしよう・・・こちらは駅前なので移動に便利ではあった。


2017年のネウロズの様子は以下の通り。但し、私は終了時間の14時ぎりぎりに行ったので(それでも一生懸命早起きしたのだ。我ながらなんてエライんだろう)、特別のパフォーマンスなどは見られず、販売されたクルド料理も全て売り切れており、皆さんがひたすら踊っているのを撮ることしかできなかったので、ご了承くださいませ。


なんの変哲もない埼玉の駅前が、非日常的な異国の祝祭空間に早変わり。ほとんどシュールレアリズムの世界



片隅に設置された舞台。会場側の指示で、今回はクルドの政治的なスローガンや旗はなし



上には見物人がずらり



男性も踊る。ダボダボのズボンがかわいい。背後に咲いているのは安行寒桜



かわいい子供がいっぱいいた。みんなまつげが長くて目元ぱっちり



お姫様みたいな女性多し。この服は年一回しか着ないのだろうか、洗濯は手洗いだろうか、と去年と同じことを考える私



1台だけ止まっていたケバブワゴン。ケバブの屋台にカメラを向けると、お店の人が瞬時にそれを察知して、カメラ目線になる確率が非常に高いのはなぜなのか



終わった後に駅西口の公園を散歩していたら、小さなお姫様たちに出会ったので記念撮影。日本育ちで日本語ぺらぺら。この子達、アイドルグループを結成したら売れるのでは




(おまけ)

近所の駐車場の猫、たま2号。かつてはうちの裏の猫椿公園を根城にしていたが、最近はもっぱらこちら。野良なのに肥満が進み、そのせいで身づくろいが大変なのか、かなり薄汚れてきた・・・でもかわいい




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

蕨市民公園のネウロズ(クルドの新年のお祭り)2016

2016-05-02 05:07:23 | クルド


しばらく前のことで恐縮だが、3月20日に埼玉県蕨市で開催されたネウロズ(クルドの新年のお祭り)を見に行ってきた。

蕨市にクルド人が大勢定住していてワラビスタンと呼ばれていること等の関連記事はこちら。
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20160414/asahi_2016041200241.html

以前川口市でクルド料理講習会に参加したときの様子についてこのブログに書いた記事はこちら
http://blog.goo.ne.jp/mendokusainoyo/e/db346ce0e36ac475ed98b5d278bb72a4

ネウロズを見に行くのはこれが初めてだった。
朝10時からやっていると聞いていたが、昼夜逆転生活を送る私が会場の蕨市民公園にたどり着いたのは、夕方16時頃だった。間に合ってよかった・・・寝ぼけた心と身体に鞭打ってなんとかたどり着いたら(蕨駅から10分以上歩いたので疲れた。体力がないのですぐへなへなになる私)、そこはクルドの地だった。公園にいる人の大半がクルド人で、そのうち日本語が話せる人は少数派。ケバブを焼く匂いと煙が充満し、鳴り響くクルド音楽に合わせて人々は輪になって踊りまくり、そこかしこにクルド人民防衛隊(YPG)やアブドゥッラー・オジャラン(クルド人のリーダー、現在トルコのイムラル島で服役中)の旗が翻っている。うちから最も近い外国はここじゃないだろうか。SUICAで行けるおトクな外国、ワラビスタン。


クルド料理講習会で知り合った女の子(お姫様仕様)と公園の入口で偶然会った。帰るところだというので、写真だけ撮らせてもらった。旦那さんも一緒。



ね、日本じゃないでしょう~



隅っこの特設ステージ



女性は皆こういう華やかな衣装を身につけていた。これ、洗濯機では洗えませんよね・・・



実に楽しそうにクルディッシュダンスを踊る人たち。男性の服装は地味だ。



ケバブの妖精発見



こちらもケバブを持った父娘。男女を問わず、クルド人に「写真撮らせてください」と頼んで断られたことは一度もない。



お腹が減ったので、私もケバブを買いに行った。この煙と匂い・・・シリアやトルコやパレスチナやヨルダンのケバブ屋台を思い出す。



サンドイッチ1個500円。お肉(羊だと思う)がたっぷり入っている。ちょっと辛くて味に勢いがあって美味しい。うちの近所で売ってたらちょくちょく買いに行くと思う。



皆さんずっと踊ってるけど疲れないのだろうか。体力があってうらやましいわ~


隅っこのコーナーで、2015年1月の「コバニ奪還」をテーマにしたDVDをタダでもらった。うまく再生できなかったけど。そもそもクルド語オンリーだけど。*「コバニ奪還」は、2014年の秋からISがシリア北部のクルド人の町コバニ(アラブ名はアイン・アラブ)を包囲して攻勢をかけていたのを、クルド人民防衛隊(YPG)等が撃退した戦闘のこと。関連記事はこちら



この数日前に、シリア北部の諸地域を支配するクルド人勢力が、「連邦制」を敷くと宣言していた。関連記事はこちら。せっかくの機会だから、連邦制についてどう思うかそのへんにいたクルド人男性たちに聞いてみたが、1人は「よくわからない」と答え(高校生くらいの若者だった)、もう1人は「連邦制の宣言は形式的なものに過ぎないだろう。シリア北部の情勢はまだまだ不安定だから」という懐疑的な見方を示した。別の1人は逆に肯定的で、「素晴らしいことだ。シリアのクルド人はこれまで虐げられてきた。彼らには自分たちの住む地域を自分たちの手で統治する権利がある!」と雄弁に語ってくれた。もっと他の人にも聞きたかったけど、この日は私のトルコ語の調子がイマイチだったし(波があるのだ)、ジャーナリストでもないのに知らない人たちにこんな突っ込んだ質問をしまくるのも気が引けたので、止めておいた。弱気な私・・・

踊りはまだ続いていたが、写真も撮ってケバブも食べて、やるべきことは一通りやったので、日が暮れる前に帰途についた。日本へ・・・


ついでに、市民公園から蕨駅までの道すがら気にかかったものを写真に収めたので、そちらも載せますね。


ねずみとこでまり



妖怪っぽいやつ


ワラビー



マリリン



斬戯利(ZANGIRI)


こねこ



蕨って、ワラビスタンがどうこういう以前に、なにか微妙なオーラを出してるかも・・・

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

クルド料理講習会で聞いたトルコ南東部出身のクルド人女性のお話

2016-03-01 01:51:37 | クルド


先日、埼玉県のクルド文化協会主催のクルド料理講習会に行ってきた。


料理講習会に行ったといっても、目的は料理の習得ではない。クルド料理とかトルコ料理とかアラブ料理とか、あの辺の地域の料理は、作るのにすごく手間と時間がかかるのだ。材料を揃えることを考えただけで、すでにメンドくさい・・・

私の目的は、写真を撮って、食べて、在日クルド人の方々のお話を聞くことだった。当然、材料配合や料理手順などは記憶に残っていない。
料理写真は撮ったのだが、それを載せるのは後日にして、今回は講習会で美味しい料理を作ってくれたクルドの女性陣のひとり、Nさんの話をご紹介したいと思う。食事の時に私の隣に座ったNさんに、トルコでクルド人が置かれている状況について拙いトルコ語で色々質問したら(クルド語は全然できないので)、オスマン帝国時代から将来の展望にいたるまで、実に熱心に話してくれたのだ。忘れないうちに、ぜひここに書き留めておきたい。何しろ、記憶力がメジロ並みなんで・・・(メジロに失礼か)

話の順序を適宜入れ替えたり、内容を多少取捨選択したりしてまとめたが、基本的には聞いた話をそのまま載せている。「ひとりのトルコ南東部出身の在日クルド人女性の視点で見たトルコのクルド情勢」だということを念頭に置いて、読んでいただければ幸いだ。内容を逐一検証する余裕はなかったので。なお、必要だと思われる部分にはカッコ付きで注釈をつけ、また関連記事のリンクを貼った。
しかし、こんなやたら長くてマニアックな話を読んでくれる人っているんだろうか…


まず、Nさんの現況など:

Nさんはトルコのガージーアンテプ出身の女性。4人の子供たち(16歳~9歳)と共に約2年前に来日した。一足先に来日した夫は、空港当局に拘束され、その後9ヶ月留置所で過ごした。Nさんたちが来る前に仮放免となったが、法的に働くことができない。子供たちの学費補助として、4ヶ月に1度支援金が支給されるが、足りない(どこからの補助金かは聞きそこねた)。トルコを出国するときに土地や家、家財を売り払ってお金を作ったが、それが尽きたので、親戚に送金を頼んだ。そのお金も尽きた。

埼玉県蕨市には、トルコのガージーアンテプ出身者が集まって住んでおり、親類関係のある人も多いが、Nさんたちに近い親戚はいない。なお、埼玉県にはシリア出身のクルド人もいるが、彼らは蕨ではなく、他市に住んでいる。

クルド文化協会主催の日本語講座に週3回通っているが、普段日本人と交流する機会がなく、家の中ではクルド語を話すので上達しない。子供たちはすぐに日本語を覚え、自分たちの間では日本語で話しているが、Nさんには理解できない。子供たちがクルド語を忘れないように、クルド語で話しかけるようにしているので、ますます日本語が遠くなる。


トルコでクルド人が置かれている状況をめぐるNさんの話:
(ここから独白スタイルに移行するよ)


トルコ南東部のディヤルバクル県などには、当局により長期にわたって外出禁止令が出されている地域がいくつかある。その口実は「テロ組織PKKの掃討」だが、PKK戦闘員らは基本的に山中の拠点にいて、町や村にはいない。トルコ軍が攻撃しているのは一般の住民だ。軍の車両が町に入って来られないように塹壕を掘っているのは、PKKではなく住民たちだ。家から出た10歳の少年や、幼子を抱えた母親が兵士らに撃たれたケースもある。葬儀を執り行うことすらできないので、遺体を冷蔵庫等に保存していたと聞いた。こういった南東部のクルド人多数居住地域への軍の攻撃は、昨年(6月)の1回目の選挙で、エルドアン率いるAKPが議会の過半数を失ってから始まった。それまでクルド人との和解を謳っていたエルドアンが、クルド人に対する軍事作戦を開始したのだ。(11月の)再選挙でAKPは議会での過半数を奪回したが、その後も軍事作戦は続いている。

トルコ軍の南東部での軍事作戦についての関連記事(日本語)
http://www.huffingtonpost.jp/2016/02/02/turkey-kurdish_n_9137012.html

(英語)http://www.bbc.com/news/world-europe-34206924

オスマン帝国の支配下では、クルド民族(他の諸民族も同様)は自治を認められ、税金さえ納めればよかった。しかし、オスマン帝国の弱体化につれて次第に領土が縮小し、やがて第一次世界大戦が勃発した。戦争中、トルコの指導部は「勝ったらトルコの西半分はトルコ人、東半分はクルド人の領土となる」と約束した。このため、クルド人は男女を問わず諸外国の部隊と戦い、多くの犠牲者を出した。しかし、戦争が終わった後、ケマル・アタトゥルクはこの約束を破り、「トルコにいるのは全員トルコ人だ」と宣言した。この状態は現在に至るまで続いている。

クルド人の子供たちは、学校でトルコ語しか教わらないので、クルド語の語学力がトルコ語よりも弱い。一方、南東部の辺鄙な地域の住民には、トルコ語が話せない人たちもいる。学校にはトルコ人の教師が中央から派遣されることになっているが、彼らは「クルド人の村に行くとテロに遭い、殺されるかもしれない」と恐れているので、赴任したがらず、赴任しても長続きしない。このため、トルコ語を習えなかった人々が存在するのだ。

クルド人には長い間、公的な場所でのクルド語の使用が禁じられていた。クルド人女性のレイラ・ザナは(1991年に)国会議員に当選し、就任時の宣誓文をクルド語で読んだため、投獄されて長い年月を刑務所で過ごした。レイラは(2011年に)再び国会議員に当選し、またクルド語で宣誓文を読んだが、今度は逮捕されなかった。

レイラ・ザナのクルド語での宣誓についての関連記事(英語)
http://www.reuters.com/article/us-turkey-politics-kurds-idUSKCN0T627T20151117

クルド系のHDP(人民民主党)は、真のクルド人代表からなる政党で、クルド人はこれを支持している。デミルタシュHDP共同党首のことも、私たちは好きだ。HDPやクルド人多数地域の地方自治体では、男女ひと組の共同党首、共同市長(町長・村長)が立てられる。クルドでは、男女は平等なのだ。そして、一人の人物が権力を独占することはない。

PKK創始者のアブドゥッラー・オジャランを、クルド人はみな慕っている。彼はクルドのリーダーで、良い人だ。私は彼の著作も読んだ。彼は(1999年にケニアで)拘束されてトルコに移送され、現在に至るまで、(マルマラ海に位置する)イムラル島の牢獄に収監されている。これは不当なことだ。

南東部でのトルコ軍の攻撃のため、多くの住民が他地域の親類を頼って逃げた。あるいは、私たちのように外国に避難した。しかし、最近では当局による締め付けが厳しくなり、クルド人は簡単に出国できなくなったらしい。もしかしたら、当局は出生届けを受け付ける際、生まれた子供がクルド人であることを密かに登録し、それによってクルド人を管理しているのかもしれないという気がする。

南東部の諸地域での外出禁止令や、トルコ軍の作戦によるクルド系住民の殺害を、一般のトルコ人は知らない。これに関しては報道規制が敷かれており、取材したジャーナリストらが投獄されたこともある。トルコメディアは、「テロ組織PKKが軍の兵士を○人殺した」といった報道しかしない。エルドアン政府は、自分たちがやっていることをトルコの世論や外国から隠そうとしている。このため、トルコ人の中には、クルド人に憎しみを覚える人々も出てきた。イスタンブールでは、クルド語を話していた男性がトルコ人らに殺害される事件も起きた。

トルコ南東部で取材中に拘束された英人ジャーナリストらについての記事(日本語)
http://www.afpbb.com/articles/-/3058957

イスタンブールで愛国主義者のトルコ人らに襲われて死亡したクルド人についての記事(反政府系トルコ紙の英語版)
http://www.todayszaman.com/anasayfa_kurdish-man-stabbed-to-death-in-alleged-racist-attack_398560.html

クルド人が求めてきたのは、トルコ国内での自治だ。自分たちの言語で教育を受け、民族の文化を保存し、自分たちの選んだ代表者らによる政府が統治することを求めている。クルド人はトルコの各地に住み、通婚等を通してトルコ人と混ざり合っている。トルコから完全に分離独立することは望ましくない。しかし、エルドアン政府はそれすらも許そうとしない。エルドアンだけでなく、他の政治家らも同様だ。クルド人もトルコ人も、誰も殺し合いを望んではいない。しかし、自分たちを守る必要がある。それゆえ、PKKは武器を取ったのだ。

トルコ国内での自治を望んできたけれど、このままの状態が続いたら、いずれクルド人は分離独立以外の方法はないと考えるようになるかもしれない。独立をめざしたらトルコとの戦争が起こるから、それは避けたい事態だが、どうなるかわからない。その際、シリア北部のクルディスタン(ロジャワ)との合併をめざす可能性がある。元々1つの地域が国境により分断されていたが、また1つに戻るのだ。


(終わり)




(おまけ写真)

美味しい料理を作ってくれたクルド美女たち





コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シリア北部のクルド人地域ROJAVA(ロジャヴァ)って、どこ?

2015-08-18 02:47:03 | クルド


最近、日本はますます秋めいてきましたね。
涼しい風が吹くし、夜は虫の鳴き声が聞こえるし。
よかった、今年もなんとか夏を越せたようだ・・・
うちの実家では、今年も鈴虫が大量に孵化して、りりりり鳴いているそうだ。
鈴虫はいかにも虫ってかんじで、気味が悪いと私は思うが、両親はこよなく愛しているらしい。


ウィキペディアから取った鈴虫の写真。虫だなあ



私の好きな「秋味」も発売された。日本のビールの季節感はだいすきだ



最近トルコ情勢が激しい展開を見せているので、ニュースをチェックするのに忙しかった。

トルコのTVは概して政府寄りで、ISを放置してPKKの方を熱心に叩くというエルドアン大統領の方針にツッコミを入れる報道などにはお目にかかれない。
PKKについて言及するときは、必ず「terör orgütü」(テロ組織)という枕詞を付けるのがお決まりだ。
「テロ組織といえばPKK、PKKといえばテロ組織」という図式を、トルコ国民の潜在意識に刻み込もうとしているかのよう・・・
もちろんPKKはテロ組織だし、やってることはテロなんだけど、それを一方的に非難して、彼らがテロを行っている理由であるトルコ政府の政策には一切触れないっていうのもどうかなあ~と思う。

こんな偏ったニュースばかり見ていたら洗脳されかねないので、、私はTRTなどの王道トルコニュースを追うと同時に、クルド系サイト「Bestanuce」(のトルコ語ページ)の定時ニュースの録画も見るようにしていた。このサイトでは、「エルドアン率いるファシスト政党AKP」とか、「罪のないクルド人の一般市民を虐殺し、国家テロを行うエルドアン政府」などという、これまた極端な報道がなされている。くらくらくら

これ以外にも、アラブニュースも追わなきゃいけないし、トルコドラマも見ないといけないし(どっちも趣味ですが)、なんだかいくら時間があっても足りない・・・なにしろ10時間近く寝ているので、起きている時は妙に忙しいのだ。ハトや猫の餌付けもあるし。
やっぱりアラブニュースに専念しようかなあ・・・

私はこれまで、あまりトルコやクルドのニュースを追ってこなかったので、知識が非常に乏しい。
シリアのクルド関係のニュースでよく出てくる「ROJAVA」(ロジャヴァ)がどこかも知らなかったのだが、ふと気になって調べてみた。

ロジャヴァとは、シリア北部のクルド人多数居住地域で、ここに独立国家を建設するのがクルドの悲願のようだ。
シリアのクルド人部隊YPG(クルド人民防衛隊)は、近隣諸国から派遣されたクルド諸部隊やアメリカの率いる有志連合の支援を得てISと戦いつつ、着々と支配地域を広げて自治を行っている。つまり、悲願達成にかなり近づいているわけだが、それを何が何でも阻止したいトルコ政府は、このロジャヴァを2つに分断する形で、クルド人部隊不在の「安全地帯」を設置しようと画策している。YPGのバックにいるアメリカが、そのトルコの動きに水を差したりしているが。


ロジャヴァは3区域に分けられる。東からジズレ、コバニ、エフリン(「Anarchist Writers」という怪しいサイトで使われていたトルコ語の地図)



トルコ政府が設置しようとしている「安全地帯」は、「KOBANE」と「AFRIN」の間の黒いシマシマんとこ



ついでに、ウィキペディア英語版に載ってた1976年当時のシリアの民族・宗教分布図



クルドの野望、どうなるんですかね~・・・
個人的には、クルド人に独立国家を持たせてあげたいと思う(私がなにかするわけじゃないけどさ)。
歴史的にこの地域に住んでいて、人数も全然少数じゃないわけだし、その権利は十分あると思う。
でも、独立国家を作る場合、その地域に住むアラブ人やトルクメン人などの他民族を追い出したり、差別したりしないで欲しいよな、とも思う。
現在YPGは制圧した地域から、アラブ人やトルクメン人を強制退去させているとよく聞くし・・・


みんなで仲良く暮らそうよ~・・・





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする