記事に関係ないけど、アンマンのゴミ捨て場の猫
海外にいるとき、私は非常に限られた食材で、しかもそうとう手抜きをしながら和食まがいの料理を作って食べていた。外国でもしょうゆだけは簡単に、安く手に入るが、それ以外のものは手に入りにくいか、入っても割高なので(みりんの小瓶が1000円とか)、食費をけちっていた私には買えず、自分で買うのはしょうゆだけで、あとはときどき友人たちが分けてくれるもの(味噌とか、だしの素とか鰹節など)を使うくらいであった。
以下に、当時作っていた料理のレシピ(というほどのものでもないが)をいくつか挙げてみよう。「こだわりの」と書いたが、こだわっているのはもちろん味に、ではない。料理が美味しいか否かよりも、もっと大事な問題が世の中には存在する。それは、いかに手抜きして作るか、である。
(1) マグカップ味噌汁
これは友人にだし入り味噌をもらったとき飲んでいた。
味噌を少量マグカップにいれ、お湯を注いでかき混ぜる。これだけ。これは簡単すぎて料理とも呼べない。日本に住んでいるころは、味噌汁は鍋で作らなきゃいけないと信じ込んでいて、一人前だけ作るときでも、いちいち鍋にお湯を沸かして具をゆがき、そこに味噌を溶かしていた。でも具を入れなければ、別に鍋を使う必要はないのだ、と海外で暮らし始めてようやく悟ったのである。だし入り味噌がなければ、味噌にだしの素を加えればよい。
<バリエーション>
・酢を加える。こうすると、梅干を入れたときのようにさわやかな味になる。ホントよ。
・味噌を濃い目にとき、砂糖を少々入れると、「飲む味噌煮」っぽい味(?)になる。
・卵をおとす。小腹がすいたときに最適!
*卵以外の具は入れてはいけない。ネギを刻んだり、豆腐やワカメを入れたりすると、作るのにも食べるのにも手間がかかって、本来の道に外れる。
*味噌がないときは、コンソメスープの素で代用する。もちろん味は違うが、細かいことは気にせず、味噌汁を飲んでいるつもりで飲めばよい。代用品クッキングには、想像力が必要なのだ。
シリアに留学していた頃、留学生仲間の大学生がある日、「ごはんにしょうゆをたらして、これは納豆ご飯だ、と自分に言い聞かせながら食べたら、本当に納豆ご飯の味がするんですよ~!」と目を輝かせて報告してくれた。海外に住む日本人はこのようにして日々想像力を磨き、一種の超能力を身につけていくのだ。
(2) 塩たまごかけご飯
これも料理とは呼べないな。イタリアに住んでいた頃、しょうゆなしでどのくらい我慢できるか試してみようと考え、半年ほどしょうゆを買わずに暮らしていた時期がある。当時思いついたのがこれ。白いご飯に生卵をかけて、塩で味付けする。それだけだが、案外いけて、しょうゆをかけた時と似たような味になる。
<バリエーション>
塩の代わりにバルサミコ酢を使用する。あまりお勧めできないが。
イタリアに住んでいた頃、知り合いの日本人が、しょうゆが切れたときに「これ、しょうゆに似てるから」と言って、たまごかけご飯にバルサミコ酢をかけて食べているのを目撃した。味はどうだったか後で聞くと、あれ、だめです、と顔をしかめていた。そりゃあそうだろう、似てるのは色だけやん!
(3) 鶏の唐揚げ
鶏のムネ肉を一口大に切って、しょうゆ・砂糖・ニンニクの薄切り・オリーブオイル(サラダ油でも可)にしばらく漬け込んでから(一晩が望ましい)、小麦粉をまぶして油で揚げる。
私は砂糖を、酒やみりんの代用品として常用していた。少しくどくて下世話な感じの味に仕上がるが、慣れてしまえばどうってことない。
ムネ肉よりもモモ肉のほうが、脂肪分が多くておいしいが、海外では、モモ肉は骨付きでしか売ってないことが多くて、切り分けるのが面倒くさいので、私は常にムネ肉を使っていた。油分が少ないので、漬けだれにオイルを加える。ショウガが手に入れば、ニンニクではなくショウガを使ってもよい。
揚げ油をたくさん使うと、後の始末が面倒なので、少量の油で揚げ焼きすること。
知り合いの日本人は(バルサミコ酢の人とは別の人)、酒の代りに白ワインとしょうゆを使って、肉に下味をつけて焼いていた。白ワインとしょうゆが合うとはとても思えないが、試してみてもいいかもしれない。
(4) ゆかりスパゲッティ
ゆでたスパゲッティに、三島食品のふりかけ「ゆかり」を適量と、オリーブオイルをかけて和える。簡単なのに非常に美味。ゆかりはオリーブオイルやパスタになぜかとてもよく合う。ある友人が、「ゆかりって、ご飯にかけるよりもスパゲッティにかけたほうがおいしいと思う」と言っていたが、私も同感である。
(5) ゴルゴンゾーラの納豆ご飯(未実験)
イタリアにはゴルゴンゾーラという青かびチーズがある。このチーズは独特の匂いと風味で、好き嫌いが別れるが、私の大好物である。パスタに絡めたり、ピザにのせたりすると素晴らしく美味しいし、もちろんそのまま食べても、赤ワインのつまみとして最高である。このゴルゴンゾーラの匂いがどうも納豆の匂いに似ている気がしてならない。納豆はイタリアではあまり手に入らないが、このチーズを細かく切って白いご飯に混ぜ、しょうゆをたらしたら、納豆ご飯の代用品になるんじゃないだろうか、とよく思ったものだが、まだ試していない。だれか試してください。
(番外編)鍋でご飯を炊く
海外では、私はいつも鍋でご飯を炊いていた。日本にいた頃は知らなかったが、炊飯器がなくても米は炊けるのだね。
米を洗って(分量はお好みで。私はコップ1杯分を炊くことが多かった)鍋に入れ、その約1.2倍の水を加え、蓋をして強火にかける。沸騰したら弱火にして、7分後に火を止めて10分ほど蒸らす。
これが私の教わったやり方だが、人によってバリエーションがあり、米と水を同量で炊く人も多かったし、20分間火にかける、という人もいた。要するに、どうやっても炊けるかもしれない。
イタリアではローマ米、中東ではエジプト米が日本の米に近く、粒が丸くて粘り気がある。個人的には粒の細長い、さらっとした米のほうが好きだが、このタイプの米を炊くのは水加減が難しく、値段もやや高めなので、あまり買わなかった。
鍋はどんなものでもよいが、フッ素加工のものだと、後で洗うのが楽なことは言うまでもないですね。蓋がなければ、アルミホイルで代用できる!
海外にいるとき、私は非常に限られた食材で、しかもそうとう手抜きをしながら和食まがいの料理を作って食べていた。外国でもしょうゆだけは簡単に、安く手に入るが、それ以外のものは手に入りにくいか、入っても割高なので(みりんの小瓶が1000円とか)、食費をけちっていた私には買えず、自分で買うのはしょうゆだけで、あとはときどき友人たちが分けてくれるもの(味噌とか、だしの素とか鰹節など)を使うくらいであった。
以下に、当時作っていた料理のレシピ(というほどのものでもないが)をいくつか挙げてみよう。「こだわりの」と書いたが、こだわっているのはもちろん味に、ではない。料理が美味しいか否かよりも、もっと大事な問題が世の中には存在する。それは、いかに手抜きして作るか、である。
(1) マグカップ味噌汁
これは友人にだし入り味噌をもらったとき飲んでいた。
味噌を少量マグカップにいれ、お湯を注いでかき混ぜる。これだけ。これは簡単すぎて料理とも呼べない。日本に住んでいるころは、味噌汁は鍋で作らなきゃいけないと信じ込んでいて、一人前だけ作るときでも、いちいち鍋にお湯を沸かして具をゆがき、そこに味噌を溶かしていた。でも具を入れなければ、別に鍋を使う必要はないのだ、と海外で暮らし始めてようやく悟ったのである。だし入り味噌がなければ、味噌にだしの素を加えればよい。
<バリエーション>
・酢を加える。こうすると、梅干を入れたときのようにさわやかな味になる。ホントよ。
・味噌を濃い目にとき、砂糖を少々入れると、「飲む味噌煮」っぽい味(?)になる。
・卵をおとす。小腹がすいたときに最適!
*卵以外の具は入れてはいけない。ネギを刻んだり、豆腐やワカメを入れたりすると、作るのにも食べるのにも手間がかかって、本来の道に外れる。
*味噌がないときは、コンソメスープの素で代用する。もちろん味は違うが、細かいことは気にせず、味噌汁を飲んでいるつもりで飲めばよい。代用品クッキングには、想像力が必要なのだ。
シリアに留学していた頃、留学生仲間の大学生がある日、「ごはんにしょうゆをたらして、これは納豆ご飯だ、と自分に言い聞かせながら食べたら、本当に納豆ご飯の味がするんですよ~!」と目を輝かせて報告してくれた。海外に住む日本人はこのようにして日々想像力を磨き、一種の超能力を身につけていくのだ。
(2) 塩たまごかけご飯
これも料理とは呼べないな。イタリアに住んでいた頃、しょうゆなしでどのくらい我慢できるか試してみようと考え、半年ほどしょうゆを買わずに暮らしていた時期がある。当時思いついたのがこれ。白いご飯に生卵をかけて、塩で味付けする。それだけだが、案外いけて、しょうゆをかけた時と似たような味になる。
<バリエーション>
塩の代わりにバルサミコ酢を使用する。あまりお勧めできないが。
イタリアに住んでいた頃、知り合いの日本人が、しょうゆが切れたときに「これ、しょうゆに似てるから」と言って、たまごかけご飯にバルサミコ酢をかけて食べているのを目撃した。味はどうだったか後で聞くと、あれ、だめです、と顔をしかめていた。そりゃあそうだろう、似てるのは色だけやん!
(3) 鶏の唐揚げ
鶏のムネ肉を一口大に切って、しょうゆ・砂糖・ニンニクの薄切り・オリーブオイル(サラダ油でも可)にしばらく漬け込んでから(一晩が望ましい)、小麦粉をまぶして油で揚げる。
私は砂糖を、酒やみりんの代用品として常用していた。少しくどくて下世話な感じの味に仕上がるが、慣れてしまえばどうってことない。
ムネ肉よりもモモ肉のほうが、脂肪分が多くておいしいが、海外では、モモ肉は骨付きでしか売ってないことが多くて、切り分けるのが面倒くさいので、私は常にムネ肉を使っていた。油分が少ないので、漬けだれにオイルを加える。ショウガが手に入れば、ニンニクではなくショウガを使ってもよい。
揚げ油をたくさん使うと、後の始末が面倒なので、少量の油で揚げ焼きすること。
知り合いの日本人は(バルサミコ酢の人とは別の人)、酒の代りに白ワインとしょうゆを使って、肉に下味をつけて焼いていた。白ワインとしょうゆが合うとはとても思えないが、試してみてもいいかもしれない。
(4) ゆかりスパゲッティ
ゆでたスパゲッティに、三島食品のふりかけ「ゆかり」を適量と、オリーブオイルをかけて和える。簡単なのに非常に美味。ゆかりはオリーブオイルやパスタになぜかとてもよく合う。ある友人が、「ゆかりって、ご飯にかけるよりもスパゲッティにかけたほうがおいしいと思う」と言っていたが、私も同感である。
(5) ゴルゴンゾーラの納豆ご飯(未実験)
イタリアにはゴルゴンゾーラという青かびチーズがある。このチーズは独特の匂いと風味で、好き嫌いが別れるが、私の大好物である。パスタに絡めたり、ピザにのせたりすると素晴らしく美味しいし、もちろんそのまま食べても、赤ワインのつまみとして最高である。このゴルゴンゾーラの匂いがどうも納豆の匂いに似ている気がしてならない。納豆はイタリアではあまり手に入らないが、このチーズを細かく切って白いご飯に混ぜ、しょうゆをたらしたら、納豆ご飯の代用品になるんじゃないだろうか、とよく思ったものだが、まだ試していない。だれか試してください。
(番外編)鍋でご飯を炊く
海外では、私はいつも鍋でご飯を炊いていた。日本にいた頃は知らなかったが、炊飯器がなくても米は炊けるのだね。
米を洗って(分量はお好みで。私はコップ1杯分を炊くことが多かった)鍋に入れ、その約1.2倍の水を加え、蓋をして強火にかける。沸騰したら弱火にして、7分後に火を止めて10分ほど蒸らす。
これが私の教わったやり方だが、人によってバリエーションがあり、米と水を同量で炊く人も多かったし、20分間火にかける、という人もいた。要するに、どうやっても炊けるかもしれない。
イタリアではローマ米、中東ではエジプト米が日本の米に近く、粒が丸くて粘り気がある。個人的には粒の細長い、さらっとした米のほうが好きだが、このタイプの米を炊くのは水加減が難しく、値段もやや高めなので、あまり買わなかった。
鍋はどんなものでもよいが、フッ素加工のものだと、後で洗うのが楽なことは言うまでもないですね。蓋がなければ、アルミホイルで代用できる!