ミーロの日記

日々の出来事をつれづれなるままに書き綴っています。

カブは何ですか?

2014-06-30 15:52:04 | 日記
道でばったり知り合いの中国人に会った。

彼女はご近所に住んでいる方だが、道で会えば会話をし、時にはお互いに「おすそわけ」などもし合う。

先日は手作りの中華ちまきを頂いて、とても美味しかった。

しかしお互いにそれ以上は踏み込まず、ほどよい距離を保ったお付き合いをさせてもらっている。

というか彼女の日本語がややたどたどしくて、私の中国語にいたっては中国人幼児の1歳児並みなので、込み入った話ができないというのが本当なのだけれど。

ところで彼女はとても優秀な人で、もともと中国では麻酔科の医師をしていたそうだ。

同じ中国人の男性と結婚した後、夫婦一緒に日本の大学に留学し、そのまま日本企業に就職して研究職をしているそうだ。

毎朝、忙しそうに出社して行き、帰宅は午後8時頃なので、その後に家事をしなければいけないのは大変だなぁと思っていた。

ところが彼女が言うには、しばらく会社を休んでいると言う。

そういえば、美味しかった手作りのちまきを頂いた時、「会社を休んでいるから作りました」と言っていたっけ。

・・・ってことは、あれからず~っと休んでいるのかなと思ったが、やはりそうらしかった。

こちらからは、それ以上休んでいる理由は聞かなかったが、しばらく他愛も無い世間話などをしていた。

そんな世間話の中で、私が家で乳酸菌を育てているという話をした。

すると彼女は身を乗り出して「株はなんですか?」と急に話に乗ってきた。

カブ??

カブという意味がよく分からなかったけど、元はお米だということを教えた。

すると彼女は非常に専門的なことを話し始めた。

彼女の日本語が聞き取りにくかったということもあるが、それ以上に専門的な言葉が出てきて私には理解不能という感じだった。

色々と難しい話をしていたが、中でも印象に残ったお話は次のようなことだった。

「乳酸菌は色々あるが、今まで世に出た乳酸菌以外の菌を見つけなければいけない。(彼女はある植物から乳酸菌を作ったらしい)また見つけたとして、いかに少ない菌でたくさん培養できるかという事が企業の利益を考えると重要なことなのです」

「そうね、企業は利益を追求しなければいけないものね」と答えると「ところでどうやって培養しているのですか?」と彼女が聞いてきた。

「お砂糖をあげてるんですよ」と言うと「あぁスクロース(砂糖のことらしい)ね。あれは私もやってみましたが、ある一定以上からは増えませんでした」とのこと。

化学のかの字も知らない家庭の主婦に、スクロースだの培養だのと言われても困ってしまうのだが、実は彼女は仕事のストレスで会社を休んでいるそうだった。

彼女の仕事は研究職なのだが、常に新しいものを見つけなければいけないのだという。

だから、いつも何か無いかと周りをキョロキョロ見回しているのだとか。

しかし、主だったものはほとんど商品化されていて、新しいものを探し続けることが非常に辛くなってきたそうだ。

「日本の企業はキビシイですね。スピードが速い。そして、みんな競争。のんびりした中国人はついていけません」

そういって彼女は笑った。

「本当はもう辞めたいと思いました。でも、私にはこの仕事(研究職)しかない。だから会社行きます」

珍しく踏み込んだ?話をして、最後に彼女がそう言った。

「こんな時間!大変!」

気がつくと夕飯の時間がすっかり過ぎていて、お互いに慌てて反対方向へと別れた。

私は彼女のうしろ姿に「がんばってね」と心の中で声をかけた。









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