ミーロの日記

日々の出来事をつれづれなるままに書き綴っています。

八雲

2021-07-22 14:44:40 | 旅行

道南の渡島半島北部にある八雲町へ行ってきた。

八雲町は、昔一度キャンプに行ったことがあるが、今回はキャンプではなく温泉が目的。

八雲町は渡島半島を横断するように町が広がっており、そのため半島の西側と東側に日本海と内浦湾の2つの海が面している。

さらに内陸には1000mを越える山並みがあって、海と山の両方が楽しめる町になっている。

ちなみに泊まった温泉は、内陸の山の宿。

八雲温泉「おぼこ荘」

こちらの宿の露天風呂からは、目の前に迫るような森林と川を見ることができる。

どこかで見たような景色だなーと思ったら、トムラウシの露天風呂から見た景色とよく似ていた。どちらも露天風呂から森と川が見える。

トムラウシは山奥の秘湯という感じだったが、八雲温泉は日帰り入浴もできるくらいなので秘湯ではないが、それでも夜になると辺りは漆黒の闇に包まれて秘湯っぽさが漂う。

ところで温泉は期待通りの心地良さだったが、なんと言っても夕食の料理が美味しかった。

さすが海と山がある八雲町だけのことはあって、地元でとれた新鮮な海の幸と山の幸(山菜)を使った料理は、他の泊り客からも「美味しい〜」と言う声が聞こえてくるほど美味しかった。

ところで、地元の食材を使った料理が並んだ中に、宿の方が「名古屋コーチンときしめんのお鍋です」と紹介してくれたものがあった。

なぜここに名古屋のものが?と不思議に思ったが、昼間に行った郷土資料館と八雲神社を思い出して納得した。

八雲は、明治11年に旧尾張藩士族の集団移住によって開拓が始まった地域だそうだ。

尾張藩徳川家第17代当主の徳川慶勝は、明治維新によって失職し、生活に困窮する旧家臣たちを憂い、北海道開拓による士族の授産および国益に供する事業を目指して集団移住をしたのだそうだ。

そのため、八雲神社が熱田神宮の御分霊を、唯一正式に許可された神社であることからもわかるように、愛知県名古屋への想いは深く、もしかしたら今でもそうなのかもしれない。

ちなみに「八雲」という地名は、豊かで平和な理想郷建設を願い、日本最古の和歌「八雲立つ 出雲八重垣妻籠みに八雲立つ 出雲八重垣妻籠みに 八重垣作る その八重垣を」を引用して、徳川慶勝が名づけたことに由来しているそうだ。

尾張藩士による集団移住の開拓事業は、徳川家が150万坪の土地を無代価で払い下げを受けるかわりに、開拓使から移住者への扶助は無く、開拓にかかる費用は、徳川家が負担するという、官費に頼らない、民間資本による北海道開拓の先例となった。

この時に作られたのが、徳川農場で、現在も八雲産業株式会社として事業が引き継がれている。

ところで郷土資料館の中に「木彫り熊資料館」と名がつけられた展示室があった。

入って見てみると、木彫りの熊がたくさん展示されていた。

そこで初めて知ったのだが、なんと八雲が木彫り熊の発祥の地なのだとか。

てっきりアイヌ民族が彫ったのが始まりなのかと思っていたが、アイヌの方々は、八雲の影響を受けて彫り始めたのだそうだ。

今はあまり人気がなさそう?だが、北海道の観光みやげといえば木彫りの熊と言われるほどになった木彫り熊の始まりは、八雲町の旧徳川農場主、徳川義親が大正10年に欧州を旅行した際、スイスで買った民芸品の木彫りの熊がきっかけになったそうだ。

当時もなお貧しかった八雲の農民に、徳川義親が、スイスの木彫り熊を見せて、木彫りの熊の制作を奨励したことから始まる。

その後、木彫り熊の人気は徐々に高まり、昭和30~40年代には、北海道の観光ブームが起こり、木彫りの熊が爆発的に売れたそうだ。

そういえば、子供の頃、ウチにも鮭をくわえた木彫りの熊があったこと思い出し、「一家にひとつはある、木彫りの熊」という言葉が浮かんだところで、非常に不思議な感覚に襲われた。

この言葉、つい最近も同じことを言った・・・

そう思った途端、まるで時間をさかのぼるかのように思い出していた。

昨夜(旅行に出発する前夜)夢を見た。

夢の中で、見知らぬ人から木彫りの熊についての話を聞いていた。

それはずいぶん長く聞いていたように思う。

そして、最後に私が「なるほど。。。だから一家にひとつはある、木彫りの熊」と言ったのだった。

旅に出るまで、八雲の郷土資料館や木彫り熊の資料館のことを知っていた訳ではなく、もちろん行こうとは微塵も思っていなかった。

昼食で入った八雲の食堂で「宿のチェックインに少し時間があるし、どこか見る所はないか」と、スマホで調べていて、資料館があることを知った。

この時は、まだ木彫り熊の夢は思い出していなかったのだが、木彫り熊の数々を見て行くうちに突然思い出した。

なんとも不思議な感覚だった。

それにしても、木彫りの熊のことをずっと教えてくれていた人は、誰だったのだろう?

今でも時々、考えている。

熱田神宮の御分霊がある八雲神社。

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