ミーロの日記

日々の出来事をつれづれなるままに書き綴っています。

写真を見ながら認知症改善作戦

2014-04-18 16:58:55 | 介護
高齢者住宅にいる父が認知症と診断されてから一年。

「投薬は認知症を遅らせるだけであって治すことはできません。ゆっくりですが徐々に進行していくでしょう」

そう医師からは言われていた。

あれから一年がたち、父の認知症は「進んだかな」と感じる時と「良くなっている?」と思う時が混在している状態だ。

冬の間はボーっとした顔で反応が鈍く、認知症が進んでいるように思えたが、最近の父は話すことの辻褄が合っていて、けっこうしっかりとしている様に思える。

これは気候が良くなってきたせいか、最近やっているという自転車こぎマシーンの運動の成果か、はたまた職員さんたちの話しかけ等の手厚い介護のおかげか。

多分、そのどれもが良かったのだろう。

特に職員さんや看護師さんなど毎日必ず誰かと顔を合わせて会話をしているということが、よい刺激になっているのだろうと思う。

ひとり暮らしだった頃は、他人と会話をすることなどあまりなかった父だったので、あのままひとり暮らしを続けていたら、今頃はもっと認知症が進んでいたかもしれないと思う。

ところで、父の部屋にある冷蔵庫の扉には孫達や父のペットのオカメインコの写真がたくさん貼られている。

それらは父が寂しくないようにと、私や妹が貼った写真だ。

父が言うには、部屋に来る職員さんたちがよく写真を見て行くのだそうだ。

そして、それをきっかけに父と会話が弾むらしい。

それで思い出したことがあった。

以前、テレビでやっていたのだが、ある老人施設では認知症を改善させるために「写真」を使った取り組みをしているそうだ。

それは患者自身が写した写真でもよいし、患者の昔の写真でもよいのだが、それを見ながら他の人と話をするというものだった。

周囲の人がその写真について質問をして、認知症の患者さんが答えていた。

写真を見ながら、そのときの事を思い出して言葉に出すというのが、認知症の改善に効果があったという内容だったと思う。

妹にそのことを話したところ「じゃあ、写真付きの家系図を作って部屋に貼ってあげよう」と妹が言う。

「それはいい考え!」ということで、実家の古いアルバムから写真を持ってきたり、私たち子供の家族写真などを集めて家系図を作った。

家系図と言っても、父の方は私の祖父の時に北海道へ渡ってきたので、父も私たちも先祖のことはほとんど知らない。

私の祖父は20歳の時に家出をして来たそうで、その後ふるさとには帰らなかったため、本州にいる親戚とは付き合いもなく、今ではまったく分からなくなっている。

かろうじて父の祖父母に当たる方々の写真が一枚と、その息子達つまり父の二人の叔父の写真が一枚ずつ見つかった。

父にそれらの写真を見せると、父は祖父母には会ったことがないと言った。

これは祖父がふるさとに帰らなかったということから、父が忘れているのではなく本当の事だろうと思う。

祖父は故郷には帰らなかったが、両親が写ったたった一枚の写真は大切に持っていたのだろう。

父の話によると、祖父母は訪ねて来る事はなかったが、祖父の二人の弟である叔父達は遊びに来たそうだ。

父が子供だった頃、二人の叔父に会ったことを父はよく覚えていて話をしてくれた。

私と妹も初めて聞く話だった。

また父は叔父たちの名前もちゃんと覚えていて、叔父達の写真の下にその名を書き込むことができた。

出来上がった家系図を見ながら、父と妹、そして私の3人でしばらく話が盛り上がったのだが、「ところで・・・」と父が言った。

「ところで、○○(私の弟)の娘の名前は○子と言うんだったか?」

「違うよ、お父さん。それはお嫁さんの名前だよ」

どうやら父は昔1~2度しか会ったことのない叔父さんたちの名前は覚えているが、自分の孫の名前は忘れているようだ。

でも、これでしばらくは職員さんたちとも話題に事欠かないかな~

孫の名前も忘れないようにねと願いながら、出来上がった家系図を父の部屋の壁に貼った。







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