オーウェルの「1984」を思い出した。
近未来を舞台にした小説。
実家で見たテレビ番組で紹介されていたので購入。
一人の「侍女」によるモノローグ。
とある国で宗教を背景とするクーデターが起きて
家族が分断され、男性、女性、子ども等がバラバラに収容される。
他宗教は認めない、有色人種は迫害する。そして男尊女卑。
強烈な監視社会というのは「1984」と共通。
女性の役割は
権力者の妻、権力者の子どもを作るための「侍女」、お世話係、
幹部用歓楽施設のセックスワーカー(脱走や抵抗した人が配置される?)、
その他いろいろに分断されて、互いが交流するのも禁止されている。
トイレも時間が決められている。
主人公は「侍女」の一人。クーデター時、家族で国境を越えて逃げようとして捕まった人。
侍女は子どもを産むために権力者の元に派遣される。
侍女の名は「オブ***」、
***のところに子どもをつくるために派遣された先の権力者の名が入る。
自分自身の名前がない、「モノ」扱い。
子どもを産んだらまた別の権力者のところに派遣される。
性行為は快楽であってはならない。子どもを作るためだけの行為である。
「妻」にとっても子どもを得ることが重要なので、
主人公が属する権力者の妻は夫に生殖能力が無いとみて
主人公に対して使用人との性行為をさせる。
あくまで侍女視点のお話なので権力者の家周辺のことしかわからないけれど、
権力者以外の男性達は監視社会の元、自由な行動は取れていないような?
そのなかでもレジスタンスはあって、主人公は脱走したようです。
その口述した物を文書化した、と歴史研究者がまとめる結論になっていました。
1985年にカナダで出版、日本で初出版されたのは1990年。
女性個人の人格が認められず、「所有物」となっているのは70数年前まで日本に実在しました。
押しつけ憲法だとか言う人も居ますが、
憲法で「男女同権、思想信条、信教の自由」が認められていることはすばらしい。
この小説はあくまで小説だけれど、こんな社会にしちゃったらダメだよね。
基本的人権をないもののようにしようとする改憲の動きには抵抗していかなくては、と
改めて思いました。
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