バージニア労働者

アメリカで働くってどんな感じ?アメリカの企業で働く統計アナリストの労働ブログ。アメリカ生活小話や猫も登場。

理不尽な叱責

2018年09月08日 | お仕事

この話、とてもややこしくて厳しくて、思い出すだけで気分が落ちそうになるけど

できるだけ完結に、かつ分かりやすく、私の文才でどれだけ表現できるかわからないが、

とりあえず自分自身の今後のためにも残しておこうと思う。



前回はハニバニの災難で、今回は私に降りかかった災いの話。







2週間前のある朝。

私は前日のセールスの解析に取り掛かっていた最中、ディレクターのメリルに「今からジョンとの会議に一緒に参加して欲しい。」と言われる。

ちょっと説明。この先の登場人物のポジション。

ケイエス(統計ジュニアアナリスト)<ジャスティン(ファイナンスチームのシニアアナリスト)
                      <ブラッド(ケイエスの上司)<メリル(ディレクターでブラッドの上司)<ジョン(組織幹部でメリルの上司)


右に行くほどポジションは上になる感じ。

会議の内容は私が前いた職場の海外事業部のこと。もう部署はなくなっているが、今回本格的にマーケティングから撤退する際の、決済の問題。

何がややこしいって、この決済には2つ大きな問題が残されており、凄い肩書があるわけでもないこのケイエスが

ただシステムのサポートをしていたシステムアナリストだったということだけで、

その2つの問題にどっぷりと拘わらなけばならなくなったということ。

その会議は、ジョンとメリルの二人だけで行われる予定だったのに、急遽メリルに同行を頼まれて

準備もしてないし、なんか嫌な予感だけがしていた。

何を聞かれて、何を話せばいいのか。



ジョンの大きなオフィスに入って、静かにドアを閉める。

ジョンはもうすっかり苛立ちながらパソコンに向かい合っていて

メリルは何も言わず下を向いて厳しい顔してるし、これから何が起こるのかわからない私は

ジョンとメリルの顔を順番にキョロキョロ見ては、ため息が出るばかりだった。



いきなりジョンが、「で?ケイエス、プロジェクトはどうなってるの?」

私は、「2つの別々のプロジェクトで仕事を進めてますが、わかりません、どちらのプロジェクトですか?」と言おうとしていた。

みなさん、倒置方ってご存知かな?

「空が、青いね。」の倒置法を使った文章が「青いね、空が。」になる。

こうすることで空の青さがぐんと強調されるので、文章では良く使われるテクニックの一つ。

別に私が不意に倒置法を用いてジョンとの会話に使おうとしていたわけではないが、後の方の文章が先に口から飛び出した。

つまり、「わかりません、」の「I don't know...」が、ジョンの質問に対する最初の回答だったわけだ。

次の「どちらのプロジェクトですか?」を言おうとした瞬間に、ジョンの言葉に遮られる。

「やっぱりそうじゃないか!そういう回答されるとは分かっていたんだ。
なんでお前らは俺の時間をこうやって無駄にするんだ。もう一回みんなで話をまとめて出なおせ!」


凄い剣幕だった。

そして彼はいきなり椅子から立ち上がり、ドアを開ける。これってまさに暗黙の

Get the fuck out! (出てけ)

ジョンはニューヨーク出身のやり手のビジネスマンで、気性が荒い。

彼に怒鳴られて、辞めていった幹部たちを私はたくさん見てきた。

まさか私も怒鳴られるとは。

幹部じゃないのに。



まあここでしょげてもしょうがない。分からないことを分かったように話すことがバカげたことなのに

素直にわからないと言って怒鳴られるのは気分が良いことではなかったが、考えてもしょうがない。

そして気を取り直して、さっきまでしていたレポートを完成させようと自分のキューブに戻ろうとしたら

メリルが「私のオフィスに寄ってくれる?」と言ってきた。

彼女のあんなにふるえる声を聞いたことなかったので、そこで改めて事の重大さに気が付いたのだった。



今度は彼女のオフィスに入り、静かにドアを閉める。

彼女はすでに涙目で、顔が高揚して赤くなっていた。

「ケイエス、ごめんね。急に会議に同行を頼んだ私がいけなかったの。ジョンはケイエスに怒りをぶつけたんじゃないのよ。」

ありがたいフォローだったが、胸の内の悶々とした気持ちは拭えない。

ここでファイナンスチームのシニアアナリのジャスティンをオフィスに呼ぶ。

そして改めて、2つのプロジェクトのシステムサポートとファイナンスサポートの今後の進め方について話合っていたその時。

メリルが顔をよそに向けたままじっとして動かなくなった。

不審に思ったのは私だけでなく、ジャスティンもそうで、お互いに顔を見合わせてメリルに視線を戻すと

彼女が静かに泣いていた。

彼女は私よりも若いのに、彼女のポジションのせいなのかとても落ち着いている。

彼女が声を上げ笑ったのも聞いたことがない。

あんまり感情を表さない感じの人なんだなとずっと思っていた。

そのメリルが泣いていた。

再び私とジャスティンが顔を合わせて、視線を落とす。何か気まずい。

それでもメリルは涙をさっと拭いて、何もなかったみたいに話を進める。



ジャスティンが入って来たときに閉め忘れたのか、ドアが少し開いたままになっていて

ちょうどジョンがドアの前を通りかかるのが見えた。その彼とちょうど目が合い、ギョッとする。

その目が私を睨みつけていたから。慌てて私は目を逸らした。

「機嫌悪いのはわかるけど、なんでそんなに私を睨むんだろ?」

その時は単にそうとしか思っていなかった。

でも私が自分のデスクに戻り、メールをチェックした時、自分がどんな悪い状況に晒されたかを知ることになる。




長くなるので続きは次回で。
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